「マテ」と「おあずけ」の違いとは?
おあずけ
食事を犬の前に置き、食べ始めの合図の指示をするのが「おあずけ」です。飼い主の存在を無視して食事に集中してしまう事を防ぎます。食べたい欲求よりも飼い主の指示を聞く耳があることは、事故防止の意味でもとても大きな役割をもちます。
指示がないと食べ物などを口にしてはいけないと習慣にすることで、散歩中の拾い食いや家の中に落ちている小さいおもちゃなどの誤飲防止に繋がります。飼い主が与えた物だけ食べることは服従心も自然と生まれ、信頼関係を築くことにも繋がります。
おあずけは、長く待たせる必要はありません。待たせる時間が長くなると、勢いよく食べてしまい空気も大量にお腹に入ってしまうことから、胃捻転や腸捻転など命に関わる病気のリスクがあるため注意が必要です。
おあずけは、犬が自分の欲求を抑えることを学ぶことが出来ます。「よし」など解除するコマンドは家族で統一しましょう。ちなみに、おあずけが長くできるからといってマテも長くできるとは限らないので、おあずけの長さはほどほどにしましょう。
マテ
「マテ」は、どんな状況でも飼い主から指示があったら解除されるまでその場を動かないことです。
たとえば、子どもがキャッチボールをしていてそのボールが犬の方面に転がってきたので飼い主の存在を忘れてボールに食いつこうとするとき、キッチンから調理中の食材が落ちたのを食べようとする、車の往来が激しい道や信号の手前など、日々の生活の中で犬を危険から守るためにも重要なコマンドです。
犬がマテを理解すると、飼い主が出掛けるときや、少しの買い物時間を車の中で吠えることなく静かに過ごすことなどができるようになります。
監修ドッグトレーナーによる補足
コマンドの中でも「マテ」はとても重要なしつけです。
散歩中の拾いぐいや排泄物を処理している時、家のドアを閉め忘れて飛び出そうとした時、車から降ろすとき等、犬が勝手に飛び出してしまったらケガや事故に巻き込まれてしまいとても危険です。
愛犬の健康と安全を守るためにもマテは必ず習得させたいコマンドです。
重要な「マテ」の教え方
最初はリードをつけた状態でしつけを始めます。犬を飼い主の左側につけ、飼い主の足と犬の前足が水平なる位置に立ちます。この立ち位置がどのしつけを行うにも基本となります。
リードをゆるめた状態でマテと指示をかけて飼い主が一歩前へ出ます。
マテの学び始めには、手符(手の合図)も一緒に出すとわかりやすいです。「マテ」という声符(声の合図)と同時に手をパーの状態にして「来てはいけないよ」という合図を送ります。これを繰り返します。
犬が前に進んでしまったら、必ず動く前のスタートラインまで戻ります。出来なかったらやり直しという意味を理解させるためです。これをやっておかないと、マテの状態でもズルズルと動いてしまう癖がつくようになってしまいます。
マテが出来たら成功のタイミングから3秒保持して、飼い主が基本の位置の戻っても動かなければ成功です。成功したらよしといって待っていたその場所を動いてOKです。ボールやおやつなどのご褒美を与えます。
始めは離れる距離を短くし、上手にできたら少しずつ距離を伸ばしたり立ち位置を向かい合わせに変ていきます。マテは根気よく教えることが大切です。そして学習の最後は必ず成功させて褒めて終わることが大切です。
監修ドッグトレーナーによる補足
「マテ」のしつけは「動かなかったらご褒美」の繰り返しが基本となります。
何もなくただ待つことは人間でも簡単ではありません。犬ならなおさらです。 待つと大好きなおもちゃで遊べる、おいしいおやつが貰えるなど、犬にとって良い目的や報酬を用意してあげましょう。そうすることで少しずつマテを覚えてくれるようになりますよ。
まとめ
マテは、人間と暮らす上で環境や状況によって犬の安全を守る上でも重要なしつけです。おあずけと同じと思われてる飼い主さんもいますが、意味が違うことを理解しましょう。
犬の基本のしつけは、犬の健康や安全を守るために必要なことですが、できないからと焦るのは禁物です。愛犬の性格や理解度を確認しながら根気よく諦めずにしつけを進めましょう。