SNSで拡散されたガル君事件とは?
迷い犬のポスティング
10月2日に保健所に収容された若い柴犬の男の子(仮名ガルくん) 青い首輪を着けています。
きれいな柴犬だし首輪してるし 迷子だから飼い主さんが探しているかも…。
最初はそう思い、いつも通りチラシを作成しコピーし保護地区にメンバーとポスティングを始めました。
新聞折込
すぐに見つかると思っていたのに見つからず日にちは過ぎました…。
そしてこの子は 人を威嚇し噛む可能性があるので 一般への譲渡対象から外されました。
譲渡が出来ないなら元の飼い主さんをさがし返すしかない!と思いました。
保健所にお願いして も少し殺処分の日をのばしてもらいました。
ポスティングでは限界があるので保護地区周辺に新聞折り込みを約10000枚入れました。
それでも飼い主さんは見つかりませんでした。
希望の光
殺処分の日が来ました!
殺処分場に行くトラックが来て すごい悲鳴が聞こえ トラックに乗せられた柴犬ガルくん
号泣しながらトラックを見ていたIさんの元に電話が…。
メンバーのHさんでした。
私 ガルくんを訓練に出して ガルくんを飼いたい! 駄目かな!って
Iさんはすぐ職員さんに事情を話して トラックから ガルくんを降ろしてもらいました。
これで生きていけると メンバーみんなが喜びました。
私はすぐ獣医さんに去勢手術の予約を入れ受け入れて下さる訓練士さんを探し予約しました。
恐怖心からの行動
しかし トラックから下ろされたガルくんに 保健所の職員さんが胴輪を着けようとし噛まれてしまいました。
ガルくんの気持ちになれば信頼関係の築けていない人達に無理やりおさえられた事が恐怖だったのだと私は思います。
でも そんな状況だった事は重視されず噛んだ!と言う事実しか言われず ガルくんの立場はどんどん悪くなりました。
必死の努力
元の飼い主さんの目に届く様に1週間連続で迷子犬情報を新聞に掲載し、前回折り込みを入れていない他の新聞にも折り込みを入れてみました。
それでも飼い主は見つかりませんでした。
まだ若く訓練すれば家庭犬として きっと飼える!
とりあえず6ヶ月 駄目なら延長して訓練してもらおう!と メンバーで話し合いました。
懇願
保健所に、引き出しすぐ去勢して訓練に出す事を伝え その後 メンバーが責任を持って飼う事も伝えました。
しかし保健所は噛んだから金曜日に殺処分すると…。
最後の最後まで諦められず 今日 島根動物愛護ネットワーク代表Nさんが 訓練士さんと
連絡を取り保健所へ話に行って下さいました。
訓練士さんも来週 ガルくんを保健所に見に来て判断すると言ってくれました。
頑なに殺処分を主張する保健所
それなのに保健所の回答は絶対に噛まない保証がない!
噛む可能性がある犬は出さない! 金曜日(明日)殺処分する。と言う答えでした。
かなりながい時間をかけて話し合いしてくださったのに何を言っても噛む犬は出さない!が
保健所の答えでした。
まだ若い柴犬ガルくん訓練に出すと言っているのに
その後 アニマルレスキュードリームロードのメンバーが 気をつけて飼うと言っているのに 頑なに『噛む可能性のある犬は保健所から譲渡出来ない!』でした。
殺処分
そしてガル君は、殺処分されてしまいました。
フェイスブックでこの件は拡散され、かなり大きな反響を呼びました。
フェイスブックでのシェア800件以上、コメントは1,000件も入っています。
「里親希望者がいるのに…どうか殺処分しないでくれ!」という電話も当時保健所に殺到したはずです。
しかしながら、鳴りやまない電話の中で、ガル君の殺処分は行われました。
ガス室での苦しみながらの窒息死でした。
実際に、ガル君をなんとか引き出そうとしたアニマルレスキュードリームロードのスタッフは
と筆者のインタビューに答えられました。
県が動いた!
ところが、この”ガル君事件”は悲しみだけでは終わらなかったのです。
後日、こんな記事内容で大手新聞社のONLINEニュースに掲載されました。記事はすでに閲覧できなくなっていますが、筆者はその記事を保存していましたので、概要を書きます。
殺処分の判断を下す前に、動物の訓練士に預けるなどして、外部の意見を聞く仕組みの導入を検討している。
この件に関しては、11月に同県出雲市の愛護団体が保護を訴えながら、殺処分された1匹の犬がきっかけになった。
県の薬事衛生課によると、この犬は10月、市民からの通報を受けて出雲市で保護され、同市の保健所に収容された。犬は首輪をしていたが、通報者の手をかんだり県職員を威嚇したりしたということで譲渡対象から外された。
今回は飼い主が見つからず、県が2009年に策定した譲渡マニュアルに示した「性格が温和で、新しい飼い主や飼育環境に順応できるもの」にも該当しなかったことから殺処分を決めたという。
ソーシャル・ネットワーキング・サービス(SNS)に地元の愛護団体が経緯を投稿したことから、SNS上でこの犬に里親希望者がいるにもかかわらず、殺処分されたことが拡散された。そのため、同課にはその後も「かわいそう」「殺さずに済む方法はなかったのか」などの苦情や意見が寄せられた。
同課は、現在のマニュアルに、凶暴性がある犬をいったん動物の訓練士に預けるなどして、外部の意見を取り入れる選択肢がないことなどから、今回の一件からマニュアルの見直しを決めた。早急に素案を作成し、各保健所や動物愛護団体の意見などを聞いた上で決定するという。
同課のグループリーダーは「殺処分される動物を減らしたい気持ちは愛護団体の方々と同じ。よりよいマニュアルづくりを目指したい」と述べている。
愛護団体の理事は「死んだ犬は戻ってこないが、マニュアルが変わることで、少しでも助かる命が増えることを願う」と話している。』
これがONLINEニュースでの当時の記事の概要です。
この記事がすでに閲覧できなくなっているのは、誠に残念なのですが、ガル君の尊い命、そして地元で活動する動物愛護団体アニマルレスキュードリーム、さらにSNSで集まった多くの人達の声が、とうとう県を動かしたのです。
自己防衛の手段
人間は、言葉が喋れます。でも、犬や猫など動物達は人間に通じるような言葉は喋れません。
人間も相手から攻撃されたり、恐怖心を持った場合、自己防衛として抵抗します。
猫の場合は、抵抗の手段として、猫パンチや爪でひっかきます。
では、犬は?というと、犬は吠えて噛みつきます。それが犬の自己防衛手段なのです。
それを十分に理解している人は、猫がひっかいたり、犬が噛んだからといって激怒したり、殺したりはしません。
実際、筆者も迷い犬を保護しようとして、先日噛みつかれました。
筆者が今年保健所から引き出した保護犬も、未だに噛みつきます。(現在訓練中)
また、もう10年以上一緒に暮らしている愛猫も、時々、猫パンチをしてきます。
だからといって、筆者は彼らには反撃はしませんし、怒りも覚えません。
それが彼らの自己防衛手段だと知っているからです。
保健所の職員さんの立場
本来、保護犬猫の命の最終判断を下さなければならない保健所の職員さんも、そのことを十分に把握しておくべきだと思うのですが、殺処分ありの地区の職員さんは次々に収容される犬猫たちの処分をしなければなりません。
その判断基準は、”人間に害を及ぼさないこと”なのではないでしょうか。
だから、今回のように噛みついてきた犬に対して殺処分するという判断をくだされたのでしょう。
さらに噛みついた経歴のある犬を譲渡することで、万が一、誰かを負傷させてしまった場合、保健所の責任になると恐らく考えられたかもしれません。そう考えると一概には保健所の職員さんが間違った判断をしたとは言えないのかもしれません。
大勢の人々からの声
しかしながら、今回のように、噛むことを十分に理解し、訓練するという約束までした里親希望者、しかも愛護団体のスタッフが、これほど懇願していたにもかかわらず、それをすべて無視して”噛む=殺処分”と譲らなかったことは、多くの人々の異論や反感を買ってしまいました。
県の素早い対応
そんな状況を知った島根県は、素晴らしい判断を早い段階で下しました。
譲渡マニュアルの改正をすぐに検討し、よりよい方向へもっていくと発表したのです。
すでに殺処分されてしまったガル君は、二度と戻ってくることはありませんが、今回の県の譲渡マニュアルの改正が実現することで、今後救われる命が増えることは間違いないでしょう。
心の傷
しかしながら、ガル君のことを最後まで何とか助けようとしていたアニマルレスキュードリームのスタッフは、ガル君をやっとの思いで引き渡してもらえると安堵した直後に職員さんの手を噛んでしまったガル君は、彼女たちの目の前でトラックに乗せられて連れ去られてしまった光景を忘れられないし、助けられなかった自分たちの無力さに涙が止まらないと未だに苦しんでおられます。
ガル君に対する殺処分が与えた影響は、そういう意味でもとても大きかったと言わざるを得ません。
今回のガル君の殺処分に関しては、深い心の傷を負ってしまった人たちが未だに存在しているということも、忘れてはならないことなのだ、と筆者はここに敢て明記しておきます。
全国の保健所で
ガルちゃん事件のようなケースは、たぶん全国各地の保健所で発生していると思われます。
実際、その後他県の保健所で同じようなケースがSNSで拡散され、たくさんの人々の議論を呼んでいます。
その犬のケースも、噛むのを承知の上で引き出した後にちゃんとトレーナーの元で訓練するからと里親希望者が名乗り出ていらっしゃるのですが、噛む犬を譲渡するわけにはいかないと保健所の職員さんが頑なに殺処分を主張されていました。
ですが、SNSで大騒ぎになったことをきっかけに、県会議員さんの耳に届き、直接保健所まで出向いて保健所の職員さんとお話しされたそうです。
その成果なのか詳細はわかりませんが、殺処分予定だったその犬は、とりあえず処分を延期されました。
ですが、里親希望者に譲渡されるということにまではまだ至っておらず、その犬の元の飼い主さんが現れるのを待っていらっしゃるようです。これだけ騒ぎになったのだから、迷い犬の飼い主の耳にももしかしたら届くのではないかと考えられているようです。
動物保護をされているある方が、「噛む犬は、保健所としては譲渡はできないため、引き出せるのは元の飼い主だけだときいたことがあります。」と言われています。
どうかこの子の命が繋がりますように…
最後に
今回のように噛むことを理解した上で引き出した後の犬のトレーニング覚悟をしている里親希望者がちゃんといる場合は、保健所も”噛む=殺処分”と頑なにはならないでほしいと心から願います。その犬を必死で助けようとしている人たちの声にちゃんと耳を傾けてほしいです。
そしてこの件も含め、こういう時にSNSで助けを呼びかけている方は必ず「誹謗中傷は絶対にされないで嘆願のみお願いします!」とされています。なぜなら誹謗中傷をした時点で、すべてが水の泡となってしまうからです。相手を責め立てることで、それは迷惑な苦情と受け止められてしまい、救える命も救えなくなってしまいます。命を救うために、一致団結することは大切ですが、それは相手を責めて攻撃することではありません。
唯一責めるべき部分があるとしたら、それは命を粗末にし、犬猫をいらなくなったからと保健所に持ち込んだりどこかに遺棄することではないでしょうか?
そもそも、犬猫を無責任に捨てる人がいなければ、このような悲しい出来事は起きないのですから…
ガル君事件から私たちが学ばなければならないことは、とてもたくさんあると思います。
突然信じていた人間に捨てられ、異様な鳴き声が常にしている知らない場所に収容され、そして殺される犬猫たちのこと。
どの命を殺すかを毎週決めなければならない保健所の職員さんたちのこと。
そんな命を1つでも多く救おうとしている動物愛護ボランティアさんたちのこと。
そんな命を引き取って幸せにしてあげようと名乗り出る里親さんたちのこと。
みんなそれぞれの立場で、怖いし、辛いし、悲しいし、とても大変なのです。
そもそもたくさんの命にそんな思いをさせているのは誰なのかってこと。
この機会にいろいろちゃんと考えていただければと…
追記
このお話に出てきたハスキー犬にとてもうれしい展開がありました。
2018年1月11日、なんと飼い主さんのお迎えがあったのです!
一度は殺処分されそうになった犬でした。あの時、殺処分されていたら…と思うとゾッとします。
SNSで拡散され、全国からこの犬について保健所にたくさんの声が届けられたこと、そして県会議員さんが動かれたことでこの犬は殺処分を一時保留となっていました。
この犬が収容されたのは2017年11月23日、飼い主さんのお迎えがあったのは2018年1月11日。その間1か月半以上とかなり時間がかかりました。
今回のことでも日本の保健所での収容期間、命の期限は全国的に短すぎると強く感じました。
このお話は、いろんな意味でとても考えさせられるものではないでしょうか?
※なお、今回の記事及び写真の使用に関してはアニマルレスキュードリームさんの許可を得て行っております。現在進行形の他の犬の写真についても撮影者に許可をいただいております。 アニマルレスキュードリームさんのフェイスブックページ:https://www.facebook.com/izumo.animal/
ユーザーのコメント
40代 男性 匿名
特別な病気でない限り犬のかむ等の攻撃行動は人間の方に原因があるという事を皆さんに知ってもらいたいです。
30代 女性 お父さん系。
特に当時保育園児だった子供が噛まれないように目を離せなかったです。2年たった今も他人や他の犬が苦手です。
半年ぐらいで目つきが変わり自分から側に寄るようになりました。適度な距離感が良いのかケージの中も気に入ったようです。
噛む犬って臆病で神経質なので気長に付き合って、興奮しやすいなら投薬なども検討してあげたら良いと思います。ペット関連の法律って努力目標的な状態なので飼い主次第で不幸になるし地域差がひどい。
もっと海外のように警察が介入する強制力を持たせて欲しいです。
50代以上 女性 匿名
50代以上 女性 匿名
40代 女性 匿名
幸い有り難いことに指はくっつきました。
右も左もわからない犬が、生まれつき噛むことはないと思います。おっしゃる通り犬は噛むこと吠えることしか訴えれないんですよね。
色々悲惨な状態でしたが、噛む犬に育て上げたのは飼い主の私なんですよね。
保健所にとも思われますが、こんな我が家の犬でもドックトレーナーの方により今は、全く嘘のように何をしても噛まなくなりました。幸せです。
このような事も本当にありますので諦めたら終わりです。可能性は本当に本当にあります。
猫も飼っていますが、噛む事、また、爪でかきますし爪は猫の勲章とも言われますので、仕方のない動物だとも思います。
犬につきましては、噛むから、また噛む可能性があると言った考えもわからなくはないですが、最善を尽くされている方々皆様が居られるのですから、尚更決めつけではなく、信じ救うことを考えて小さな可能性も大切にして頂きたいです。その子はその子ひとつの命です。
飼い主様にもよく聞く話しですが、こんな大きくなると思わなかった、こんな気性の荒い犬とは思わなかっと、おっしゃる前に、自分が飼えるのか調べ
覚悟をして、責任を持って貰いたいですね。本当に悲しい切ない事が改善される事を私も祈り願います。
30代 男性 匿名
人を噛む犬は殺処分で当然でしょう。ここは人間社会なのですから。
噛む事の理由には意味がありません。犬のその行為が問題なのです。
不測の事態で被害に遭われた方々の事を皆さんはご存知ないのでしょうか。
確かに犬たちは可哀想です。その原因を作ったのは明らかに無責任な飼い主であった人間です。
だから、犬はしっかりしつけなければならないのです。
私は例え1%でも自分達の愛犬が不幸な目にあうことは耐えられません。
なので、必死に愛犬をしつけます。厳しくトレーニングします。
それが出来ない人間と出会ってしまった子が不幸になることは、もはや仕方ないのでしょう。
駒沢公園近辺や世田谷公園近辺に行ってみてください。いつ事故を起こしてもおかしくない飼い主、飼い犬がごまんといますから。