犬の社会化不足と問題行動 3/3:第二社会化期

犬の社会化不足と問題行動 3/3:第二社会化期

「犬の社会化」は、広く知られている言葉ですが、どういう意味や効果があるのでしょうか。本稿では3回に分けて、社会化不足のリスクと社会化の仕組みを見ながら、その効果について考えていきます。3回目の今回は社会化の仕上げとなる第二社会化期について見ていきます。

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【Healthy Dog Ownership 犬の行動心理カウンセリング ドッグビヘイビアリスト】DBCA認定ドッグビヘイビアリスト・JCSA認定ドッグトレーナー。 JDBA日本ドッグビヘイビアリスト協会理事長。ISAP国際アニマルプロフェッショナル協会正会員(MISAP)。心理学・動物行動学が専門。重度な問題行動のリハビリも行う。
《公式HP》Healthy Dog Ownership

これまでの記事
■犬の社会化不足と問題行動 1/3:攻撃性と分離不安
■犬の社会化不足と問題行動 2/3:第一社会化期

犬の「第二社会化期」とは

服を着ている犬

第一社会化期は、生後4週齢〜13週齢ごろとされています。その後の13週齢〜1歳2ヶ月(学説によっては1歳6ヶ月ごろ)までが第二社会化期となります。この第二社会化期では、第一社会化期で作った基盤を生かし、長い時間をかけた社会化の仕上げの期間となります。

方法は第一社会化期よりも行動範囲を広げ、多くの犬と遊べる環境に置くようにします。犬の幼稚園などを週2~3回ほど利用するのが良いでしょう。または、犬が多く集まる公園に通い、他の犬やその飼い主さんに触れ合ってもらいます。

第一社会化期でしっかりとした社会化ができていれば、この第二社会化期は随分と楽に過ごすことができます。反対に第一社会化期がうまくできなかった場合では慎重に進めていく必要があります。

犬の警戒心が高まる頃

警戒している犬

13週齢〜14週齢頃になると、脳の感情を司る器官である扁桃体や側坐核の発育が進み、警戒心が高まります。今までは怖がることのなかった対象に、少しづつ怖がるような行動が現れるようになります。これには個体差がありますが、大なり小なり警戒心が高まってきます。

第一社会化期で沢山の物や生物に慣らしておけば、ここで多少怖がっても、すぐに慣れることができます。反対に第一社会化期が失敗している場合では、様々な対象に恐怖心を抱くので少々てこずることになります。

犬の第一社会化期での実践が結果を分ける

こちらを見ているチワワ

では、第一社会化期をうまく過ごせたケースと、失敗したケースで比較をしてみましょう。

第一社会化期を成功させた場合

  • 散歩を怖がらない
  • 他の犬と遊べる、挨拶が上手になる
  • 他の人へフレンドリーに振る舞える
  • 車やバイクなども気にせずやり過ごせる
  • 来訪者にもフレンドリーに振る舞える

第一社会化期が失敗した場合

  • 散歩に出ても外を怖がり連れ出せなくなる
  • 他の犬がいると怖がり吠える、または逃げる
  • 他の人がいると怖がり吠える、または逃げる
  • 車やバイクなどが近づくと吠える、または逃げる
  • 来訪者に激しく吠えて威嚇する

これはほんの一例にすぎませんが、第一社会化期で失敗していると、いわゆる問題行動の代名詞のような行動の前兆が見え始めます。これらの行動は、徐々に強まっていくので飼い主は見落としがちです。もしこのような行動が見られるようになったらすぐに専門家に依頼し、恐怖心を克服するようにしましょう。行動が悪化する前なら比較的にすぐに慣らすことができます。

この頃に見せ始める行動を放置していると、あっという間に行動はより激しくなり、一度吠え始めると中々落ち着くことができなくなります。こうした行動に対し、困った飼い主が吠えを止めようとすると噛まれるなどの攻撃性も出る可能性があります。

こうした行動が現ると、いよいよ大変になってきます。なんとか散歩に慣れさせても、他の犬が入れば激しく吠え掛かり、車やバイクも怖がるかもしれません。家に訪れる来訪者へも激しく吠え続ける可能性も高まります。

犬の第一社会化期を成功させた場合の対処

散歩中の犬

一方で第一社会化期が成功していれば、多少怖がることがあっても、対象をよく観察させたり、怖がる対象が現れた時に食べ物を与えたりすることで恐怖心を簡単に下げることができます。生後4週齢〜13週齢の短い時間での出来事によって、こうまでも行動が変わってしまいます。これ故に第一社会化期が最も大切な時期だと言われるのです。

犬の第一社会化期が失敗した場合の対処

悲しい顔をする犬

第二社会化期に入る頃にはワクチンも終わっている頃です。怖がりが悪化する前に積極的に外界に慣らします。犬が何を怖がっているかの観察をしっかりと行います。尻込みをしたり、逃げようとしたり、吠えるなどの行動があれば、その対象を覚えておきます。ここでは幾つかの例を挙げて対処法を考えて見ます。

外を怖がる場合

玄関から出てすぐの場所で、おもちゃで遊ぶや、食べ物を与えます。玄関の近くでも怖がるようなら、玄関のドアを開けて家の中から初めて怖がないようなら徐々に外に向かっていくようにして移動します。これには数日〜数週間かけます。

他の犬を怖がる場合

犬が他の犬を見ても一切の反応をしない距離まで離れます。距離は個体差があり、数メートルの場合もあれば100m以上距離が必要なこともあります。安全な距離をとったら、犬が相手を確認した時点で直ちに食べ物を与えます。もしここで食べないようなら、さらに距離をとって食べられるようになる距離を探します。適度な距離が取れたら、日を追うごとに距離を縮めます。

他の人を怖がる場合

このケースでは協力者が必要になります。外などで他人から食べ物を貰うのが良いでしょう。あまりに怖がりすぎて他人からは食べない場合は、上記の” 他の犬を怖がる場合”の方法を応用して徐々に近づく練習から始めます。そして相手から食べ物がもらえるようになるまで行い、徐々に慣らします。

家にも人を呼びましょう。客人が家に入ることができる場合は、玄関などで食べ物を与えてもらいます。家に入るのが困難な場合は玄関の外から始め、徐々に家の中へと移動します。これには数日間かかるかも知れません。

この際、協力者には事前のルールとして、犬の目を見ないこと、触らないこと、話しかけないことを徹底して貰うのが成功させるコツです。

犬の第二恐怖期

怖がっている犬

第一社会化期の中に第一恐怖期があったのと同様に、第二社会化期にも恐怖期があり、これを第二恐怖期と呼びます。生後6ヶ月〜14ヶ月の間の3週間ほどが第二恐怖期に当たります。この期間の中のどこに来るかは予測不能です。第二社会化期の最中は、犬をよく観察し、怖がっていることがあるかどうか目を光らせておきます。

少しでも怖がるような仕草が見られれば、怖がる対象が現れた時に食べ物を与えたりすることで慣らしていきます。またこの期間内に強烈な痛みを伴う出来事などがあるとトラウマになり、その出来事を一生怖がるようになります。

犬の社会化不足と問題行動

花に囲まれる犬

社会化が不足とすると、外界のあらゆる物を怖がるようになります。犬が「外には怖いものがいっぱいだ」と認識していると、犬はいつも不安げになり、日常生活でも大きなストレスを受けることになります。こうした不安や恐怖から攻撃性、分離不安障害などの問題行動が生まれます。

しかも恐怖期に感じた強い恐怖心は永続し、極めて高い攻撃性を引き出すこともあります。犬が一生を快適に暮らすためには社会化が必要不可欠になります。

まとめ

走っている2匹の犬

犬の第一社会化期と第一恐怖期、そして第二社会化期と第二恐怖期これらの期間をいかに過ごすかで、その後の一生の性格や行動が変わってきます。特に重要な第一社会化期は真剣に取り組む必要があります。

私は、仕事を休んで社会化に取り組みました。この時期での出来事は一生取り返しができません。第一社会化期がスムーズに進めば第二社会化期では楽に社会化が行えます。お出かけに連れ出し、多くの犬とも遊べるので、スムーズに社会化が完了するでしょう。

もし、第一社会化期に失敗したら、速やかに慣らすためのアプローチを始める必要があります。1日たりとも無駄にはできません。方法が解らない場合は、有資格者のドッグビヘイビアリストや、確固たる資格(CPDT-KAなど)のドッグトレーナーに相談しましょう。

《参考》
DR. JEN'S DOG BLOG,”THE DARK SIDE OF SOCIALIZATION:FEAR PERIODS AND SINGLE EVENT LEARNING”.

Helen Vaterlaws-Whiteside,Amandine Hartmann(2017).Improving puppy behavior using a new standardized socialization program,Applied Animal Behaviour Science.

Lara Batt BAgSc(Hons),Marjolyn Batt RN,DMU,JohnBaguley BVSc(Hons)MACVScMBA,Paul McGreevyBVSc,PhD,MRCVS,Cert(AS)CABC,Grad Cert H.Ed,MACVSc(Animal Welfare)(2008).The effects of structured sessions for juvenile training and socialization on guide dog success and puppy-raiser participation,Journal of Veterinary Behavior: Clinical Applications and Research,Volume 3, Issue 5, September–October 2008, Pages 199-206.

犬の社会化不足と問題行動
■犬の社会化不足と問題行動 1/3:攻撃性と分離不安
■犬の社会化不足と問題行動 2/3:第一社会化期
■犬の社会化不足と問題行動 3/3:第二社会化期
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ユーザーのコメント

  • 投稿者

    40代 男性 キュアパパ

    後付けな理由ですね(ノ_<。)

    飼い主の性格が伝染して、問題行動を起こす愛犬に成っているだけ、犬が悪い訳ではなく、飼い主の他人に対する姿勢がそうさせているのです(*^^*)
  • 投稿者

    40代 女性 匿名

    1歳8カ月の豆柴男の子を飼ってます。
    人もワンコも好きになってもらいたくて 社会性を身につける為に色々やりました。

    田舎に住んでいるので ワンコの保育園はないので 動物病院で行なっているパピー教室に参加したり、家に来た友達にオヤツをあげてもらい 撫でてもらったり、お散歩デビューした時には 声を掛けて下さった人みんなに撫でてもらったり、ご近所の先輩ワンコに遊んでもらったりして 社会性を身につけ 今では人も犬も大好きになりました。

    ワンコ友達もできましたが うちの近所のワンコは 挨拶できないワンコが多く よく吠えられますが 吠えられても吠え返す事はありません。

    またお散歩コースの1つに 闌干のない小さな橋があるのですが 子犬の時は怖がり 中々渡れなかったですが 怖がりながらも渡れた時に ご褒美にオヤツをあげる事で克服し、今は普通に渡れるようになりました。

    今でも苦手なのは 下水の上にある金網ですが 上を歩く事は出来なくても
    ジャンプして通れるようになりました。

    友達が飼っているチワワは 広い庭に放して遊ばせているくらいで あまり散歩にも行かないで育ったので 知らない人が来たらけたたましく吠え 噛み付いた事もあり、動物病院でも 皆んなみたいに 抱っこして待つ事は無理なので 毎回クレートに入れて行っているそうです。

    その様な事にならない為にも 子犬の時に社会性を身につけるのは すごく重要な事だと思います。
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