どうして犬は口でボールを捕り、猫は手で捕ろうとするのか?

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どうして犬は口でボールを捕り、猫は手で捕ろうとするのか?

以前、ある外国企業のサイトで面白いCMを見ました。退屈した猫が犬ライフに目覚め、散歩をしたり公園で走り回ったり、最後は飛んできたフリスビーを口でジャンピングキャッチするというシーンで終わります。素敵なCMでしたが、見終わってから「なんか変だな」と違和感を覚えました。それはフリスビーが大き過ぎるというのではなく、猫が飛んでいるものを直接口でキャッチするなんてしないのでは?ということです。

犬は口、猫は手を使ってボールをキャッチ

ボールをキャッチしようとしている犬

犬とボールキャッチをして遊ぶ方はたくさんいらっしゃると思います。飛んできたボールを犬がパクっとくわえて口で捕まえる姿は日常の光景でしょう。猫のように前足を伸ばし、前足の先、つまり手を使ってキャッチしようとする犬ほとんどいないはず(前腕と胸を使って受け止める犬はいるようです)。そのような犬と猫の違いはいったいどこからくるのでしょう。

地球環境の変化が犬と猫の違いをつくった

地球

そもそも犬と猫は同じ食肉目に属する動物で、4800~4000万年前にいた共通の祖先から進化しました。その祖先とは、ミアキスという森で樹上生活をしていた小型の肉食動物です。その後地球の環境変動によって気候が乾燥化すると、森が縮小して平原が広がるという出来事が起こります。結果的にその出来事が犬と猫を分かつきっかけとなります。森を去って新しい住処、平原へと進出していったのが犬の祖先、森にとどまって樹上生活を続けたのが猫の祖先です。平原と森という環境の違いが、犬と猫の違いをつくりだしました。

狩りの方法が違う

平原での狩りは森と同じようにはいきません。森には隠れるところがたくさんあり、獲物に気づかれず近づくことができましたが、平原には隠れる場所がありません。そこで平原の犬たちは、長時間獲物を追い回して疲れたところを集団で襲う「追尾型」の狩りをするようになりました。一方、森に残った猫は単独で木陰に潜んで獲物を待ち伏せし、一気に飛びかかる「待ち伏せ型」の狩りを極めていきました。

足のつくりが違う

「追尾型」の狩りをする犬は何日も獲物を追い続けます。そのためには持続的に走れる足が必要となります。そこで犬はエネルギー効率のよい細長い足を発達させたのですが、ことのことが前足の鎖骨の退化に繋がりました。
鎖骨は腕を内側にひねり、何かに抱きつく動作をするのに必要とされる骨です。実際鎖骨がある動物は、霊長類や小型のげっ歯類など木登りが得意な動物です。犬の足は走ることに特化し、足を単純に前・後ろに動かせればよくなったために、鎖骨は不要となり、退化して完全に無くなってしまいました。
一方、猫には小さいながらも鎖骨があります。それは猫の祖先が樹上生活を続けていたためです。猫が今でも木に登れるのはもちろん鋭いカギ爪のおかげでもありますが、鎖骨があるからと考えられます。さらに人の鎖骨のように他の骨に関節することなく、筋肉だけでつながっているので猫の前足は柔軟性にも富み、獲物を仕留めるための大きな武器となっています。

犬は獲物に口で、猫は手で襲いかかる

ボールを咥えている柴犬

狩りの方法の違いと手の動きの違いによって、獲物に飛びかかる方法も違ってきます。
犬は先ほどお話したように獲物に抱きつくことができないため、口で直接捕まえようとします。
犬は相手が弱ってから襲うことも多いですが、待ち伏せ型の狩りをする猫の場合、元気な獲物に飛びつかなくてはなりません。最終的には犬と同じように獲物の喉に噛みつきますが、獲物に飛びつく時は鋭い爪を持った前足を伸ばし、しっかり相手を捕らえてしがみつきます。
このような、獲物に襲いかかる方法の違いがそのまま普段の犬と猫のボール遊びの違いに表れるということなのでしょう。

まとめ

ボールを口でキャッチする犬

ボールキャッチの方法もそうですが、犬と猫の違いはたくさんあれども、両方を飼った経験がある飼い主さんじゃないとなかなか気がつかないものです。でも互いの違いを認識すれば、愛犬・愛猫のことがよりはっきりと見えてくるはずです。犬も猫もボール遊びは大好きです。犬には犬の、猫には猫のやり方で遊んであげることが大切だと思います。

碇 京子

記事の提供
  • 博物館アドバイザー(元自然史博物館学芸員)
  • 碇 京子

20年近く自然史博物館学芸員として恐竜をはじめとする古生物の展示に携わってきました。専門は古生物学と地質学で、博物館教育を通して化石生物とその進化に関する研究成果の普及に努めてまいりました。現在は個人で博物館などの恐竜・古生物展示のアドバイザーをしています。動物の体のしくみ、生態や行動に関する科学的知識をわかりやすく情報発信していきたいと考えています。

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