私の母が犬を飼わない理由

私の母が犬を飼わない理由

私の実家には、母が決めたルールがあります。この記事を通して少しでも多くの方に、「犬を飼う」ということがどういうことなのかを改めて考えてほしいと思います。

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私の母が決めたルール

芝生で座る犬

私の実家では、母が決めた絶対のルールがあります。
それは、「何があっても犬は飼わない。」というルールです。
子供の頃から動物が大好きだった私は、「犬を飼いたい!」と何度泣いて頼んでも、絶対に破られることはありませんでした。
その反動で今もこの歳まで、動物看護師をしているのかもしれません。

母が頑として犬を飼わない理由。
それは、実家で飼っていた最初で最期の愛犬「ミッキー」のことがあったからです。

ミッキーとの思い出

笑顔の犬

私がまだ幼稚園の時、我が家ではミッキーという名前の犬を飼っていました。
紀州犬と雑種のミックスで、白と黒の毛色から姉がミッキーと名付けました。
ミッキーは近所の友達の家で生まれ、私と同じように動物好きな小学生の姉が両親に頼み、初めて飼うことになった犬でした。

子供の守られることがない約束

「私達が面倒みるから!」
その言葉に母は騙され、渋々ミッキー飼うことなったそうです。結局、面倒をみることになったのは両親でした。
父と母は犬を飼った経験がありませんでした。何の知識もなく、よく解らないままミッキーを飼いはじめました。
今でこそドックフードの種類はたくさんありましたが、その頃は犬のご飯は家族の残飯で、ワクチンやフィラリアの予防は、お金持ちの血統書のある犬がするものと思われていた時代です。
「犬は番犬」、「犬は外で飼うもの」、「犬にお金をかけるなんて、お金持ちがすること」、そんな時代でした。

ミッキーを飼っていた頃、両親は共働きでした。いつも幼稚園が終わると、私は裏口から家に入ります。
ミッキーは、家の小さな庭で父が作った小さな犬小屋で飼っていました。
裏口に周るとミッキーの小屋があり、私が帰ると嬉しくてしっぽをバタバタさせて喜んでくれました。
母が仕事でおらず、姉は学校、誰もいない家に帰ってきた私にとって、ミッキーは最高の遊び相手でした。
私が帰ると唯一、「お帰り!」と言ってくれるのがミッキーでした。それが私が覚えている数少ないミッキーとの思い出です。

交通事故

ミッキーが生後半年ほどたった頃、父が散歩に行こうとリードを付け替えようとした時、事故はおこりました。
ミッキーは、少し空いた裏口のドアから飛び出し、家の前の道路で車に轢かれてしまいました。
両親はその頃は数少なかった動物病院にミッキーを連れていきましたが、獣医さんに「半身不随で介護なしでは生きていけない」と言われたそうです。父も母も悩みましたが、小学生と幼稚園の娘2人がいる上、共働きの両親。犬の介護をする余裕はありませんでした。

ミッキーの最後

獣医さんから介護なしでは生きれないと聞かされた父は、ミッキーの安楽死を決めました。
獣医さんと話している時、ミッキーは母の顔をじっと見つめ、怯えた目で痛みと闘いながら、一生懸命訴えているように見えたそうです。
「殺さないで・・・」
そんな風に見えたといいます。

両親は、最初ミッキーは事故で死んだと私達に話していました。
私が小学生になった頃、犬を飼いたいと訴える私にミッキーがどうして死んでしまったのか教えてくれました。

母は犬を飼ったことを今でも後悔しています。不注意で半身不随にさせてしまったこと、介護することもできず安楽死させてしまったこと。
「今でもあの目を忘れることはない、でも助けることは出来なかった。時間もお金も余裕がないのに、私達は犬を飼うべきではなかった。」
ミッキーが亡くなってから30年近く経ちますが、今でも母は私にそう言います。

最後に

犬の横顔

子供の頃、ミッキーを安楽死させてしまった両親に対して怒りの気持ちがありました。
どうして介護しなかったのか?なんとか出来なかったのか・・・。犬を飼うのを反対されていたこともあり、余計怒りが湧いてきたのかもしれません。
安楽死を選んだ両親を今も理解することは出来ませんが、もしあの時私が両親の立場だったなら・・・と考えることはよくあります。

現在、私は愛犬である老犬の介護をしています。
その前に飼っていた愛犬も介護をして看取りました。簡単に介護といいますが、犬の介護は綺麗事では片付けられない程大変です。自分の生活を犠牲にしても、それでもまだ足りません。それにお金も時間も必要です。
今、自分が愛犬の介護をしていて思うのは、犬を飼うのは簡単かもしれませんが、看取ることはその100倍、それ以上大変なのです。

「子供が犬を欲しがったから」、「子供が喜ぶから」、「誕生日のプレゼントに」、という理由で犬を飼う方もいるかもしれません。
しかし、犬はおもちゃではありません。何年も生き、病気や怪我もして老犬になれば、介護が必要になる時が来るのです。
犬を飼うということがどういうことなのか、今一度よく考え、おもちゃ感覚で無知なまま犬を飼う方がいなくなることを願っています。

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ユーザーのコメント

  • 投稿者

    女性 匿名

    初めまして。こんにちは。
    この記事を読んで悲しみと気分が悪くなりました。

    もちろん安楽死に対して私は良いとは思いませんし私はしませんが、事情がそれぞれあると思います。

    貴女様が愛犬の面倒を見ると言い飼い始めて、結局ご両親が金銭面やお散歩をしていたのにもかかわらず、愛犬の安楽死という結果に怒る権利も文句も言う資格は無いと思います。

    厳しい言い方ですが子供の頃の事だったとしても、貴女様の飼いたいと言ってご両親が許して頂けた事に感謝するべきです。

    この様な事がおこり命の大切さに気付いて、今の職業についたのであれば…。
    尚更ご両親に怒るのは間違えで、過去の貴女様の世話をしなかった事に後悔と怒りを感じるべきではないでしょうか?
  • 投稿者

    女性 1の匿名さんへ

    「私が面倒みるから」とご両親に言ったのは投稿者さんのお姉さんですよ。
    安易な気持ちで犬を飼うな!ということを言いたいのだと思います。
    投稿者さんに腹を立てらっしゃるみたいなので一応お伝えしておきますね。
  • 投稿者

    20代 女性 AI

    世話は自分達でやると言ったのに、結局親任せにして私は良くないと思いますよ。
    まず、犬や猫を飼う時には約束をするんです。
    愛犬が亡くなるまでずっとそばにいて上げる。愛情沢山で育ててあげる。
    介護なしでは生きられないから安楽死するという立場にいたら、私はもちろん反対します。
    まず、自分達がしてしまったことに反省してほしいです。
    動物にだって命はありますよ?
    それを人間のかってで生きれる命を無くすことはとても許せません。
  • 投稿者

    女性 1の匿名

    勘違いでしたが、お姉様が飼いたいとおっしゃったにしても、投稿者様がご両親に怒りを感じるのは違うと思います。

    私は腹も立ててもいませんし、安易に動物を飼う事に関しては、飼いたい方の考え方がそれぞれなので私は毛頭安易に飼うなとは言うつもりは無いです。

    ただ、投稿者様のご両親のその時の事情、背景に何があったか全てを分かって安楽死をされた事を怒っていらっしゃるのかと思ったのて投稿させて頂きました。
    可愛がってる愛犬を好き好んで安楽死を選ぶ方はいないし、本当に苦渋の選択で辛かったご両親のお気持ちが癒されて無いし、更に娘さんに攻めらるような事は辛いと思います。

    だからと言って、私は安楽死はしませんが。

  • 投稿者

    20代 男性 K.S

    この記事とコメントを読ませていただきました。

    私が率直に思ったことは、母の強さと優しさ。

    この記事を見て不快に思うこと、腹立たしく思うことは確かにあるとは思いますが、その経験を経て今の職場や両親への疑問と理解、さらに自分の思いが交錯しているのだと思います。まだ知識の無い子供、たとえ知識のある大人でも事故に遭うことは誰にも予想し得ない悲しい事実です。その経験から母の気丈なまでの決意がわかると思います。

    それでもなお筆者は犬好きなことに変わりありません。
    それはひとえに母の気遣いと優しさに他ならないのではないでしょうか。


    介護をすることの大切さ、大変さも伝わってきました。私も家でチワワを飼っている身なのでこれから介護をすることになった時、この記事を読んだことで最後まで看取ってあげたいと強く思うことができました。
    正直、犬を飼う時の気持ちは筆者の言うおもちゃ感覚だったかもしれません。そしていざ飼うとなると家の両親や家族総出で面倒を見なければここまで育ってくれなかったでしょう。

    ご飯を食べるという存在が1人(匹)増えるということがとても大きなことだと感じました。そして、一緒に生活することで犬の気持ちや存在を学び、おそらく犬も人間のことを学んでくれているんじゃないかな、なんて思ったり。そういったこともあり、互いに成長させてくれたと思っています。


    最後まとめることができませんでしたが、つらつらと感想を書かせていただきました。色々と考えさせられた記事です、ありがとうございました。
    K.Sの投稿画像
  • 投稿者

    50代以上 女性 ゆう

    書き込みしたかったのですが コマーシャル画面がじゃましてかけませんでした 今はなぜか?じゃましませんね~ 私63さい 猫4ひき 犬二匹かっています~ 時々プラス犬二匹 プラス仔猫 野良猫10匹などなど 金も時間もありませんが… エサ代 病院代がなくなるとアケビ乱れかごを持って 年金もらったら返すので…とお借りしくらしております やさしい里親さんところで幸せにくらしているのをみて幸せに思います
  • 投稿者

    50代以上 女性 匿名

    昔のペットに関する価値観は今とは雲泥の差があります。
    親御さんが世話をしていたのですからワンちゃんに対して子供達以上に想いはあったことでしょう。
    もし下半身不随のまま飼ったとします。
    どんな生活状況になると思いますか?
    散歩もできない子供に手助けを頼めるはずありません。
    親御さんは苦渋の選択をするしかなかったのでしょう。
  • 投稿者

    50代以上 男性 匿名

    動物を飼うことの重大さと責任を改めて感じました。

    散歩中にうっかりリードを離してしまい、愛犬が道に飛び出してしまった事があります。幸いにも車が通ってなくて大事には至りませんでしたが、本当にひやっとしました。

  • 投稿者

    40代 女性 ポンコ

     私も子どもが飼いたいという理由で飼いました。
    最初は、ただかわいいと思う気持ちだけでしたがこの子のためにと考え、してあげたいと思うことはやってきました。
     だんだん老犬になるにつれ、外出から戻ると鳴いて迎えるようになったり、散歩中合わない犬には、ウーと歯を剥き出して怒っていたのが、尻尾を降って自ら寄って行くようになり、性格が丸くなったとよく言われていました。

     そして14才になってビッコを引くようになり2件の医者にかかりましたがレントゲン、エコー触診などで異常なく、関節炎や爪の伸びかたと言われサプリのような薬を飲んでいましたが、1ヶ月ほどして立てなくなり次には骨肉腫という診断‥肺に転移しており切断しても延命治療にしかならないと‥
    骨肉腫の痛みは自分の手でなぜ殺してやれなかったのかと悔やむほどの痛みだと、ネットで見てしまい、どうか痛みが酷くならないように祈りながらの最後の2ヶ月半でした。幸い我慢していたんでしょうが痛がってなくこともせず、
    最後の日の朝まで自力で排便しに行き、そのままペタンと倒れ抱っこが大嫌いでしたが痩せて軽くなってしまった子を抱いて家に帰り、そのまま呼吸が苦しそうになり亡くなりました。もうポンタには会えないし、ポンタでなくては嫌だから私はもう二度と犬は飼いません。
  • 投稿者

    50代以上 男性 匿名

    うちもジャックを飼っていましたが、12歳頃癌で亡くなりました。最後の2-3ケ月は可哀想でつらかったですが、バタバタしているうちに最後の日を迎えました。ちょうど私が抱き上げて、少し水を飲んで数分後に私の胸でのことでした。あっけなかったです。
    でも、一緒に暮らした12年間はとても楽しい毎日だったので、もしも縁があればまた別のワンちゃんと暮らしたいと思っています。
  • 投稿者

    40代 女性 みゅうこ

    現在18歳の愛犬の介護真っ只中です。
    10年ほど前に変形性関節症を患って少しずつ進行して車椅子を使っていましたが、手の自由もままならなくなり現在は寝たきりです。
    16歳頃からは腎臓も患い、療養食になってからは食べムラも出てフードやトッピングを様々購入し捨てる日々。
    脳の異常も出てきて夜鳴きで私は寝不足になり自律神経失調症になりました。
    てんかん発作も最近出てきて目が離せません。体の不自由のせいもあるのか起きてる時は要求吠えが止まらず私の右耳はストレスから難聴にになりました。
    外出は犬の病院と散歩、日用品の買い物のみ。
    お留守番は長くても3時間程度しかさせられません。
    1〜2ヶ月に1度主人のリモートワークが可能な平日に犬のことを忘れて友人と6時間程度会える日を楽しみに生きております。
    幸い私は子供のいない専業主婦なので24時間365日介護に時間を避けていますが、それでも心身共に削られる日々なので…働きながらの介護は想像するだけで壮絶です。
    医療費も今月は突然下痢からの脱水になり救急病院やかかりつけ医での検査入院3日で10万を超えました。
    動物保険も加入しておりますが年々保険料も上がります。
    18年今も生きてくれていることに感謝しかないですが、正直介護は想像以上に辛く苦しいものです。
    この生活がいつになったら終わるのか、早く解放されたいと願うこと=愛犬の死です。
    少しでも長生きして欲しい、でももう楽になりたい。
    毎日矛盾を抱えながら今日も介護をしています。
    この介護生活を経て私はもう二度と動物とは暮らさないと固く誓っております。
    インスタのフォロワーでも子犬を次々と迎える方が居ますが、皆大体ピンピンコロリでお別れしている印象です。
    それがいいか悪いかは別として、介護させてもらえる人間もほんの一握りなのだなと感じます。
    なので愛犬は私にお別れする準備の時間をくれているんだなと思っています。
    人間も犬も介護は大変、本人も家族も辛い。
    安易に命を購入する人間が1人でも減るよう願っています。
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