犬の寿命は30年で2倍に!
平成27年度の一般社団法人ペットフード協会の資料によりますと、犬の平均寿命は14.85歳。約30年の間に犬の寿命は大幅に伸び、ほぼ倍の年齢になりました。愛犬と一緒に過ごせる時間が長くなったことは大変喜ばしいことですが、それに伴い、寝たきりや痴呆などの老齢化による様々な問題も出てきています。
シニア対策はいつから始めるべき?
個体差はありますが、一般的に中年期とよばれる7歳頃(人間の40〜50代)から、徐々に老化現象がみられるようになります。具体的にはこのような症状が見られます。
- 被毛に白髪が生え始める
- 筋力が落ち始める、疲れやすくなる
- 消化機能が衰えだす
- 新しいことに興味を示さなくなる
- 寝ている時間が増え始める
とはいえ、若い頃ほど勢いはないにしても「シニア」と呼ぶには元気な愛犬の姿を見ていると、シニア対策をするのはまだ先だと考えてしまう飼い主さんが多いでしょう。しかし、人間でも若い時の過ごし方で、歳をとって元気に過ごせるかどうかに差が出てきますよね?それは犬でも同じことなのです。
では、愛犬がいつまでも元気に過ごすためには、いつから対策するのがよいのでしょうか?その答えは、とってもシンプルです。「年齢」ではなく早ければ早い方がよい、つまりまさに「今」がその時なのです。
お手入れに慣れさせよう
お手入れは、愛犬の健康管理において最も重要です。日常からお手入れを欠かさないことで、些細な変化に気がつくことができます。しかし、犬は高齢になればなるほど、苦手なことへの順応性が落ちてきます。若い頃から、体のどこに触られても大丈夫なように慣れさえておくことで、問題があった場合に早めの対処が可能になったり、介護が必要になった時でも飼い主さんも困らず、愛犬にストレスをかけずに過ごすことができます。
歯磨き
3歳以上の犬の8割以上が、歯周病にかかっているといいます。歯垢がたまったままにしていることで炎症をおこし、ひどくなると歯茎に膿がたまり歯が抜け落ちてしまいます。最悪の場合は、細菌が内臓や脳に広がり命にかかわることもあるのです。
若い頃は、硬いおもちゃやオヤツを噛むことで多少の歯磨き効果も期待できますが、高齢になるとそうはいきません。歳をとると唾液の分泌が減り、歯周病になりやすくなるため、できるだけ若いうちから歯磨きに慣れさせ、シニアになった時には犬に負担をかけずに歯磨きができるようにするとよいでしょう。
ブラッシング
ブラッシングは見た目の美しさを保つためだけで行うわけではありません。ブラッシングの一番の目的は、皮膚の健康を保つことです。皮膚と被毛の間にある死毛(抜け毛)をとり去ることで皮膚炎を防ぎ、血行を促進します。
7歳以降は腫瘍ができやすくなるため、ブラッシングの習慣をつけることで、体にできたしこりやイボなどを見つけやすくなります。またシニアになると、肌の水分が不足しがちになりますが、ブラッシングすることで新陳代謝を高め被毛を健康に保つことができます。
目や耳、肉球や爪のお手入れ
目の病気の大きなサインである目やに。実は目やには、目の病気だけでなく、アレルギーや免疫力の低下など、体全体の健康のサインでもあるのです。
若いうちは歩くことで削れていくため、爪切りをあまりしていない飼い主さんもいるようです。しかし、歳をとりあまり歩かなくなると、伸びてしまった爪が肉球に食い込んで痛みを感じたり、うまく歩けず関節に負担をかけてしまったりします。
また年齢とともに水分が失われた肉球は、角質化して硬くなり怪我をしやすくなってしまいます。肉球や爪などの足を触られるのが苦手な犬は多いので、若いうちから慣れさせておきたい部分です。
散歩は老化防止に最高の時間
散歩は「排泄のために行くもの」と考えている飼い主さんが少なくないといいます。しかし犬にとって、散歩は運動であり、社会での情報収集であり、様々な経験をするチャンスであり、飼い主さんとの絆を深める時間でもあります。どれも犬がシニアになった時に関わってくる大きな要素です。
運動
若いうちからしっかりと体を鍛え、筋力をつけることは、愛犬がいつまでも若々しく元気に過ごすためにとても大切なことです。犬が高齢に近づくにつれ最初に筋力が落ちるのが、後ろ足。後ろ足の衰えは、歩行が困難になるだけでなく自力での排泄にも大きく影響します。
後ろ足を鍛えるには、上り坂や階段を昇る時などは、意識してゆっくりと歩いてみましょう。股関節が鍛えられるように、散歩の途中で引っ張りっこして遊ぶ時間を組み込んでもいいですね。
社会での情報収集
犬にとって重要な情報収集である匂い嗅ぎも、脳をフル活動する大切な時間です。犬にとっての嗅覚は、人間にとって視覚と同じもの。例えば残された他犬のにおいから、年齢や性別だけでなく、その犬の健康状態や精神状態まで、様々な情報をえることができます。
人から見るとただにおいを嗅いでいるだけに見えますが、その時の犬の頭の中はフル回転しているのです。家庭犬は刺激が少なすぎる生活をしている場合も多く、匂い嗅ぎは数少ない脳への刺激。認知症予防にもなると言われている大切な作業です。
もうひとつ、散歩の大切な役目に太陽の光をあびることがあります。高齢の犬が夜鳴きをする原因のひとつに「体内時計の狂い」があります。昼間しっかりと太陽の光をあび、外からの刺激を受けることで脳へ刺激を与えることで、大きな予防になります。
まとめ
タイトルには「若いうちからできること」としましたが、実際には「若いうちだからこそしたいこと」とも言えるでしょう。もちろん、いくつになってから始めても遅すぎることはありません。どんな犬でも、翌日よりも今日の方が若いのです。
そして若いうちから健康診断の習慣をつけることで、愛犬の健康な時の数値や状態を知っておくこと、しっかりとスキンシップをとってわずかな変化でも見落とさないようにすることが大切です。大切な家族である愛犬の健康、それを守ることが出来るのは飼い主さんだけ。いつまでも一緒に元気に過ごすためにも、時々、毎日の暮らしを見直してみるとよいでしょう。
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