犬の尻尾は感情を表現するだけのものではない
犬の仕事に精通されていらっしゃる方でしたら、『犬の尻尾の役割とは何か?』と質問されたら全て答えられるでしょう。
でも私達の様な一般人は『尻尾でバランスをとっている』『尻尾を振って感情を表現する』くらいしか知られていないのではないでしょうか。
しかし犬の尻尾の役割ってそれだけではないんです。
犬の尻尾は重要な役割を幾つも持っています。
尻尾の役割を知ることで飼育に役立つ場合もありますので、ぜひ覚えておきましょう。
尻尾の役割は犬にとってとても重要な事
犬は尻尾を上下や左右、または小刻みに動かしたり、実に器用に動かす事が出来ます。
そしてその動かし方で意味や役割が違います。
それらの尻尾の役割は、犬にとってとても重要な事なのですが、ではそれにはどの様な役割があるのか見て行きましょう。
バランスコントロールや舵取り
犬は尻尾を上手に動かしてバランスを取ります。
走っている最中、急に曲がる時や方向転換するのに『舵取り』の役目もします。
また狭い場所を歩く時など、転ばない様に尻尾でバランスコントロールしています。
コミュニケーション
犬は尻尾を振って感情表現したり上下関係を示します。
これは犬の先祖とされている狼にも見られ、群れで生活するための重要な役割を果たします。
また犬同士が挨拶してコミュニケーションをとる際に、お互い尻尾を上げてお尻のニオイを嗅ぎ合います。
それは、肛門のやや下部の左右に【肛門腺】と言う袋があり、そこには個体情報が凝縮された液体が入っています。
犬達はその肛門腺から出るニオイを嗅ぎ合って情報交換しています。
虫などを追い払う
犬も牛や馬と一緒で、目障りな虫やハエなどを尻尾で追い払います。
呼吸器を保護
寒い時は丸くなって寝るのですが、その時に尻尾を鼻の上に乗せ、冷たい空気が鼻から直接侵入しない様に呼吸器を保護しています。
これによって真冬の寒さから身を守る事も出来ますので、犬にとって尻尾は便利なアイテムの一つと言えるでしょう。
生まれて間もない子犬は尻尾を振らない
生まれて間もない子犬達は尻尾を振りません。
平均的には生後1ヶ月で約半数の子犬が尻尾を振る様になり、2ヶ月までには全ての子犬達が尻尾を振る様になるそうです。
と言いますのは、この時期は尻尾を振って社会的コミュニケーションをとる必要がないからです。
子犬達は生後3週間ほどで兄弟達と一緒に食事をし一緒に寝て過ごし、そして6~7週間目ごろ迄には兄弟同士で遊ぶ様になります。
そのため子犬達は社交性を身に付け『犬言葉』を学んで行きます。
犬が尻尾を振る行為は、こうした理由で始まって行くのです。
また子犬は母犬のお乳を飲む時に、先程まで遊んでいた兄弟達に尻尾を振って『休戦の合図』を送るそうです。
私の愛犬も、生まれた頃は母親のお乳を飲んでいたのかと思うと、たまらなく愛しさを感じます(親バカ)
また私の愛犬の話しになってしまいましたね。
私事を言いまして申し訳ございません。
犬の尻尾は主人の気持ちと連動する
犬は尻尾で気持ちを表しますが、主人の表情によって尻尾の動きも連動します。
それはどう言う事かと申しますと、犬は主人の顔を見ながら自分も同じ気分になって尻尾を動かすのです。
主人が笑顔でいると愛犬は尻尾フリフリ、逆に怒った表情をすると尻尾の動きは静止します。
そして笑顔に戻るとまた尻尾が上を向いて動き出します。
実際に動画がありますのでご覧になって下さい。
参考動画 ⇒ https://www.youtube.com/watch?v=26huRu9Xqbw
如何でしたか?
いかに犬が主人の顔の表情を見ているかが分かると思います。
私の愛犬も私の表情を見て良く尻尾を動かしています。
私がテレビで面白い番組を観ている時など笑い顔をしていると、愛犬は尻尾を『ちょこちょこ』と小刻みに動かします。
またPCで執筆作業をしている際に、誤字や脱字をしてミスってしまったりすると私の顔が不機嫌な表情になるのでしょう。
そんな時愛犬は尻尾を動かさず真剣な眼差しで私の顔を見ています。
ですので愛犬がストレスを感じない様に、出来るだけ不機嫌そうな顔をしない様に心掛けています。
下がったままの尻尾は病気のサインかも・・・
愛犬に元気がなく尻尾が上がらずに下がったままの状態が続くようでしたら、もしかしたら体調不良を訴えるサインかも知れません。
その時に考えられるのは肛門周辺のトラブルで、肛門腺に異常があったり、肛門の周囲に炎症を起こしていたりすると、尻尾を下げて患部を庇う仕草をします。
また、『馬尾症候群』が発症すると尻尾が上がらなくなる事があるそうです。
この病気は腰椎・仙椎の中の『馬尾神経』に障害を起こす病気で、痛みのために足腰のふらつきが見られる場合があると言われていて、放っておくと後ろ足が麻痺する事もあるそうです。
何にせよ愛犬が尻尾を下げたままでいた場合、直ぐに動物病院で診察してもらいましょう。
まとめ
犬の尻尾の役割は、こんなに色々な意味があったのですね。
この記事を読んで頂いたみなさんなら、いかに犬にとって尻尾が重要な身体の一部であるかおわかりになられたかと思います。
ですから犬を家に迎えるなら『断尾』されない犬種を選んで欲しいものです。
これは動物愛護の精神から述べさせて戴きますが、もしあなたがペットショップで犬を買うのであれば、まず断尾が有無の犬種なのか確認して購入してください。
気に入った犬種が断尾犬種であったなら、ブリーダーから直接購入する事をお勧めします。
ブリーダーに『断尾しないで欲しい』と言えば尻尾は残してくれるはずです。
犬は尻尾があるのが本来の姿です。
断尾や断耳(耳の整形手術)をしなければならない事情があるのなら仕方がありませんが、普通に家で生活するのであれば断尾・断耳は必要ありません(ここでは断耳のお話はしません)
断尾は産まれて間もなく行われます。
しかも麻酔なしで・・・
断尾を行われた子犬は痛みで一日中泣いていると聞きます。
愛犬にそんな可哀想な思いをさせてはいけません。
これから犬を購入しようとお考えでしたら、ぜひ尻尾を残してあげて下さい。
最後になりますが、どの様な動物と一緒に暮らすにしても『動物愛護』の精神を何時までも忘れない事が大切です。
私は愛犬と言う尊い命を預かった人間の一人として、常に動物愛護を考えながら愛犬と生活しています。
今後、断尾・断耳がなくなり、更には一番大きな問題である『飼育放棄』や『殺処分』が一日でも早く無くなる事を心から願っています。
早く日本もそんな時代になって欲しいものですね。
ユーザーのコメント
50代以上 男性 匿名
犬にとって、尾がとても重要な器官であることは改めて良く分かりましたが、そんなに重要な尾が、何故、ほとんど無いに等しい犬種があるのでしょうか?
50代以上 女性 若丸
50代以上 女性 匿名
50代以上 女性 匿名