落ち着いた犬との暮らしは飼い主も愛犬もハッピー
落ち着きがない=危険も多い
落ち着きがないワンちゃんはダメだとは言いません。
飼い主さんにしかわからない可愛いところがありますし、その子の個性でもあります。
しかし、ある程度大人になって落ち着きがないと、様々なリスクにさらされることになるのです。
家の中を走り回って怪我をしたり、散歩中他の人に飛びついて怪我をさせてしまったり…。
小型犬なら飼い主さんが物理的に抑制することは可能ですが、中型犬や大型犬ではそれも難しいでしょう。
落ち着きがある=きちんとコントロールができる
飼い主さんによっては、元気いっぱいのワンちゃんの方がいいという方もいると思います。
しかし、ここでいう「落ち着きがある」ということは「元気がない」ということではありません。
元気いっぱいでも、ワンちゃんのテンションや行動を飼い主さんがきちんとコントロールできればいいのです。
コントロールがきちんとできれば、落ち着かなければならない場面できちんと落ち着くことができ、日常に潜む危険を回避できるということです。
その方が飼い主さんにとっても愛犬にとってもずっとハッピーでいられるはずです。
トレーニングの開始時期
いつまでヤンチャ盛りなの?
犬種や環境によっても異なりますが、生後6ヶ月くらいまでの子犬はみんなヤンチャです。
長い子だと、2年くらいはヤンチャ期が続く子もいます。
お散歩に行けるようになるのが生後3ヶ月経ったくらいですから、それくらいまでは体力が余っていることもあって、家の中を暴れまわったり家具をボロボロにするまで噛んでしまったりしますが、これは普通の事です。
また、お散歩に行けるようになったとしても、生後6ヶ月くらいまでは見るもの全てが新しいものに感じられ、好奇心いっぱいのパピーですから、これくらいまでヤンチャなのは仕方ありません。
犬の年齢を人間の年齢に換算してみると、確かにとうなずける部分があると思います。
犬の年齢と人間の年齢の換算(犬が2歳まで)
犬1ヶ月 ≒ 人間1歳 |
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犬2ヶ月 ≒ 人間3歳 |
犬3ヶ月 ≒ 人間5歳 |
犬6ヶ月 ≒ 人間9歳 |
犬9ヶ月 ≒ 人間13歳 |
犬1歳 ≒ 人間17歳 |
犬1歳半 ≒ 人間20歳 |
犬2歳 ≒ 人間23歳 |
人間の子どもだって、落ち着き出す年齢は様々です。
早ければ小学生くらいから徐々に落ち着いてくる子もいれば、学生時代はヤンチャだったけど働き始めてから落ち着いたという人だっています。
ワンちゃんも同じで、早くから落ち着く子もいれば、少し遅い子もいます。
それでも2歳が基準となるので、それ以上の年齢で落ち着きがないようなら、それはしつけがうまくいっていないのかもしれません。
トレーニングの開始時期
トレーニングの開始は早ければ早いほどいいということではありません。
基本的にコントロールのトレーニングは、お散歩開始時期である生後3ヶ月くらいを目安に始めるのがいいと思います。
それでも、いきなりあらゆる場面で落ち着いてもらうのは無理ですから、少しずつ、1場面ずつ教えていってあげましょう。
最初の1ヶ月間はお散歩トレーニングだけ、それができるようになってから室内で、というように少しずつできることを増やしていくイメージです。
どんな場面でも「待て」を、お散歩のときには場所を問わずに「つけ」をできるようにしていきましょう。
トレーニングの方法
落ち着きがない原因
愛犬をコントロールする方法はいくつかありますが、その前にあなたの愛犬がどうして落ち着きがないのかをしっかり考えることが重要です。
原因によってトレーニングの方法も変わってきます。
最も多い原因は次の3つです。
- 原因1:ワンちゃんの「動きたい!」という欲求が満たされていない
- 原因2:はしゃぐことで飼い主さんがかまってくれるものだと誤解している
- 原因3:飼い主さんに対して不信感がある
動きたい!という欲求が満たされていないワンちゃんへのトレーニング
飼い主さんの中には「うちの子は毎日かなりたくさんお散歩に行っているから大丈夫」という方もいらっしゃると思いますが、ワンちゃんの「動きたい」という欲求には2種類あるということをご存知でしょうか?
一つは文字どおり「体を動かしたい」という欲求、もう一つは「頭(脳)を動かしたい」という欲求です。
散歩に行くという行動で満たされるのは一つ目の欲求です。
もう一つの欲求は考えさせることによって満たされます。
具体的には、新しいコマンドを教えたり、「待て」の合図で待たせる時間を長くするといいでしょう。
あるいは、おやつを入れて愛犬が試行錯誤して取り出すおもちゃを使うのもいいと思います。
できたときには思い切り褒めてあげることが大切です。
そうすることで頭(脳)を動かしたいという欲求と同時に、人の役に立ちたいという作業欲求も満たされ、愛犬は落ち着くようになります。
はしゃぐことで飼い主さんがかまってくれると誤解しているワンちゃんへのトレーニング
家の中でワンワン!と吠えていたり、走り回ったりしているときに、飼い主さんが、
「こら!静かにしなさい!」と愛犬に近づいて言うことで、ワンちゃんは、『はしゃぐと近くに来てくれる』『はしゃぐとこっちを見て声をかけてくれる』と誤解してしまうことが多くあります。
このタイプの子の特徴は、注意すればするほどそのはしゃぎ方が過激になってくるということです。
愛犬が落ち着きのない様子のときに、話しかけたり目を合わせたりしてはいけません。
かわいそうだという気持ちは心にしまって、無視してください。
ワンちゃんだってずっとははしゃぎ続けられません。
そのうちに疲れて、はしゃぐのをやめてくれます。
そして、ここからが大切なところです!
はしゃぐのをやめたなと思ったら、ゆっくり近づいてかまってあげましょう。
これを繰り返すことで「静かにしていた方が飼い主さんがかまってくれる」と認識するようになります。
飼い主さんに対して不信感があるワンちゃんへのトレーニング
ワンちゃんが落ち着いていられるのは、自分のいる場所が「安心できる」場所だからこそです。
飼い主さんが愛情を注いでくれ、そして愛犬自身の愛情を飼い主さんが受け取ってくれるからこそ、そこに信頼関係が生まれるのです。
飼い主さんの愛情が不足していたり、愛犬が愛情不足だと感じてしまっていると、犬は落ち着きを失ってしまいます。
子犬の頃からたくさんの愛情を注ぎ、コミュニケーションをとることが何よりも重要なのです。
犬を保護する活動などでも、捨てられたワンちゃんを保護した際に、スタッフさんはいきなりトレーニングを始めたりはしません。
ゆっくり話かけ、歩み寄り、愛情を注ぎ、そしてその愛情をワンちゃんが受け取り心を開いてリラックスしてくれるのをひたすら待つのです。
盲導犬の育成も最初の1年は一般の家庭で愛情をたくさん受けて育ち、トレーニングはその後行います。
トレーニングは愛情という信頼があってこそ成り立ちます。
まずはそばにいて、目を合わせたり、撫でたりしてあげてください。
そうすることで少しずつ落ち着きが出てきます。