犬のホルネル症候群とは?
ホルネル症候群とは、犬の脳と目の周りをつなぐ交感神経の障害によって引き起こされる病態で、別名『ホーナー症候群』とも呼ばれ、犬だけでなく、猫や人間にも起こる病気です。
交感神経は瞳孔を開いたり、発汗量を調節したりする役割を担っています。この神経に何らかの原因で障害がおこると、瞳孔の調節がうまくいかない、瞬膜が飛び出すなど目に症状が現れてきます。片方の目に症状が現れることが多く、両目に症状が出る事はほとんどありません。
ホルネル症候群は猫や人間にも起こる病気ですが、犬などの動物の場合、原因特定が難しく自然治癒で治るまでに数ヶ月かかる事もあります。これが、ホルネル症候群です。
犬のホルネル症候群の原因
犬のホルネル症候群の原因の多くは、眼を司っている交感神経が傷つけられる事で、感染や炎症が起こり発生します。
頚部交感神経は視床下部から眼球までを走行しており、そのルートは脳から脊髄を下って胸まで行き、首の頚動脈に沿って頭の方へ戻り、眼まで到着します。どこの部位が傷つけられるかによって、ホルネル症候群の現れる症状も変わってきます。食道癌の腫瘍で頚部交感神経が圧迫され、ホルネル症候群の症状が現れることもあります。
犬がどんな時に神経が傷つけられるかというと、例えば中耳炎や内耳炎などの耳のトラブは、頭頚部の神経節や眼窩までの神経が遮断されてしまう原因になりえます。
リードやチョークチェーンで犬の首が傷ついてしまうと、脊髄から頭頚部の神経節に影響が出る場合があります。他にも、腫瘍や脳脊髄炎、脳梗塞などによって脳や脊髄にかけて神経が遮断された場合は、ホルネル症候群以外の神経症状もでてきます。また、犬の場合は原因不明で突発的に現れる事も多く、特にゴールデンレトリーバーでよく見られるようです。
犬のホルネル症候群の症状
- 瞳孔が縮む
- 瞬膜が飛び出て見える
- 眼球がくぼむ
- 瞼が垂れ下がる
ホルネル症候群で瞳孔が縮むのは縮瞳と呼ばれ、瞳孔の大きさが左右対称でなくなる状態を言います。
動眼神経に障害が起こっていると考えられます。また瞳孔が縮んでいるため、犬の黒目が小さく見えることもあります。
瞬膜と言う言葉はご存知ですか?第三のまぶたと言うとご存知の方も多いかもしれません。上まぶた、下まぶたに続く第三のまぶた瞬膜は、まぶた同様に犬の眼球の保護、保湿をする働きがあります。目頭辺りにある半透明な膜で、よく犬がウトウトと眠たいときに出てくる事があるので見たことがある方も多いと思います。ホルネル症候群にはこの瞬膜が飛び出して見える症状があります。
眼球がくぼんだ状態は眼球陥没と言い、目の周りの骨で囲まれたくぼみの奥に眼球が入ってしまっている様な状態です。視力や視覚には問題ありません。
ホルネル症候群では瞼が垂れ下がってくるのも特徴的な症状です。片方の目だけに垂れ下がるなどの症状が出るので、犬の顔を全体的に見ると目の大きさが左右不対称に見えるでしょう。
これらの症状がホルネル症候群の代表的なものですが、特に痛みはありません。痛そうにしていないにも関わらず、犬の目に異常があるようなら、ホルネル症候群を疑ってもよいかもしれません。
犬のホルネル症候群の検査方法
- 身体検査:耳や首に炎症はないか、歩き方に異常はないかを検査をします。
- 眼科学的検査
- 神経学的検査
- 耳鏡検査
- X線検査:頭部、胸部、脊髄を検査
- CTMRI検査:脳幹部、眼球周囲、中耳を検査
- 超音波検査:眼球周囲の検査
- 薬理学的検査:目薬を使って神経のどの部分が障害されているのか点眼試験を行います。
犬のホルネル症候群の治療法
検査によって原因がわかったら、その元の疾患を治療していきます。ホルネル症候群は原因が様々なため、ホルネル症候群そのものの薬や特別な治療法はないようです。経過は原因疾患の程度によって変わってきますが、回復するまでに4ヶ月くらいかかる犬もいます。
原因がわからない場合は、様子を観察していきます。その際、目薬が処方され点眼が必要になることもあります。ステロイドや神経の回復を助けるビタミン剤などが投与されることもあります。 ホルネル症候群は多くの場合、自然に回復していきますが、犬が元の状態に戻るまで数ヶ月単位でかかる場合があります。
犬のホルネル症候群の予防法
普段から、犬の様子をよく観察しておきましょう。日常生活での何気ない行動に異変を感じたらすぐに動物病院を受診する事をおすすめします。また、リードやチョークチェーンによる犬の首への負担はホルネル症候群を起す原因のひとつになりますので気を配りましょう。
ホルネル症候群と診断されたら
獣医師のアドバイスに従い、ホルネル症候群を引き起こしてしまった原因の病気に合わせたケアを行っていきましょう。ホルネル症候群の原因が不明の場合も多いので、日頃の犬の健康管理をしっかりすることも大切です。
補助治療として、首の付け根~眼の周りにかけての軽いマッサージが効果をもたらす事があるようですが、獣医師と相談した上で行ってください。チョークチェーンを使っていた場合は、首への負担の少ないハーネスなどに変更するのもよいでしょう。
ホルネル症候群になりやすい犬種
ホルネル症候群はどの犬種でも起こる可能性がある病気ですが、ゴールデンレトリバー以外の犬だと、小型犬や短頭種に比較的多いようです。
- ボストンデリア
- ペギニーズ
- トイプードル
- チワワ
- ダックスフンド
小型犬や短頭種の場合、遺伝的要因で発症する先天性水頭症との関係があり、ホルネル症候群を発症する犬が多くいます。しかしホルネル症候群は、原因疾患が多くあるのでどの犬種でも注意が必要です。
ホルネル症候群の参考になる犬ブログ
ホルネル症候群のその後:陸ちゃん
ゴールデンレトリバーの陸ちゃんのブログです。ホルネル症候群の症状が出てから、完治するまでをブログで写真も使い細かく記載されております。
脊髄神経からの影響では?と心配がありましたが、突発性ホルネル症候群だったようです。後ろ足に痛みがある陸ちゃんと、飼い主さんの頑張りが読めるブログです。犬のホルネル症候群の検査や症状について参考になると思います。
https://rikufamily.exblog.jp/23798617/
ホルネル症候群|戸部ウータウン動物病院のブログ
動物病院による犬のホルネル症候群に対する、検査や治療法の1例が紹介されています。ホルネル症候群の検査にはCTなど、全身麻酔が必要になる検査もあるので、犬に対してリスクがあるのだと改めて感じます。
https://ameblo.jp/tobeu-tan/entry-11769225496.html
まとめ
いかがでしたか。突然ワンちゃんの目がおかしくなったり、まぶたが垂れ下がってしまったりするとビックリしてしまいますが、ホルネル症候群という病気があったなぁと覚えておいていただければ嬉しいです。愛犬の変化にすぐ気づき、病気を早期発見できるような飼い主でありたいものですね。
ユーザーのコメント
女性 sakura
女性 ぽんぽん
40代 女性 ケーキ
原因がわからないと、と思いちょっと調べてみたところ犬の場合は50%異常が原因不明とありました。
脳幹や頸髄、胸髄の病変や神経系の障害、中耳や眼球などさまざまな原因がありそうです。
とにかくまぶたが片目だけ落ちてきたりの異変を見つけたら、即刻病院へ行って診察を受けた方が良さそうですね。
なりやすい犬種や、頸が弱い犬はチョークタイプのカラーはよっぽど扱いに長けている人でないと注意しないと危なそう。
しつけトレーニングにはチョークカラーが有効だと聞きますが、やっぱり頸に対する負担は心配です。うちの犬は引っ張り癖がありますが、首輪だとむせるためハーネスを使用しています。引っ張り癖は直りませんが、頸の神経を守るためには良かったなと思います。
30代 女性 nico
20代 女性 visel
特に首が細い子なんかはただでさえ引っ張ったりすると心配になりますが、こんな病気のきっかけになったら…と思うとますます怖いです。やっぱり体や首が細いと首輪よりハーネスにした方がいいのかなと思ってしまいますね。。。