犬税がドイツで導入された理由
古い歴史のある犬税と国民性
ドイツはもともと一部の富裕層や貴族が、富の象徴として犬を愛玩用や狩猟用に飼っていたという歴史があり、犬税は贅沢〔富裕〕税として設けられたそうです。
その後、犬を飼うことが一般化して多くの人が飼育するようになって、犬税だけが残ったということです。
犬税は意外にも目的税ではなく市町村別の一般税で税額も様々、徴収していない市もあり、犬を飼っている人の中で登録・納税しているのは全体の4分の一くらいだということですが、その法律を守らない人を取り締まる機能がないのが問題点のようです。
現在の犬税の目的は?
現在の犬税の目的は、それぞれの自治体の犬の頭数をコントロールすることにあるようです。
そのために犬税も額は自治体によって異なりますが、飼育している犬の頭数がふえるほど、税金は多くなる仕組みです。(一頭目より二頭目、三頭めのほうが高い)
それによって、国全体の犬の数が爆発的に増えるのを防ぐということです。
犬税の仕組みと効果
ドイツの犬税はなぜ、頭数をコントロールすることにつながるのでしょうか?
その仕組みをみるとなるほど、と納得できるはずです。
税金の額は様々のようですが、大体犬一頭飼育すると、日本円で1万円から、2万円くらいのようです。
そして二頭めになると安くなりそうなものですが反対に高くなるのです。
例えばドイツの中で、一番最初にシェルターが建てられたシュトゥトゥガルトでは年間で、一頭めが約12700円程度ですが、2頭め25500円、3頭めからも一頭につき25500円程度かかるのです。
また、犬をおりに入れて飼うと、そのほかにおり内の頭数によって税金が課され、おりに入れて飼うことを減らす目的もあります。
また、闘犬指定種は3倍くらいの犬税か課せられ、安易なきもちで流行りや、珍しさなどの無責任な飼い方をできないようになっています。
日本でも導入されたことがあった?
古くは将軍綱吉の時代?
あの有名な〝生類あわれみの令〟が一番古い歴史のようです。
ご存知の通り5代将軍綱吉が発した、綱吉の干支である犬を飼ったり、いじめたりすると処刑、殺してしまうようなことがあれば死刑という法律です。
綱吉の令のために犬たちのために数百棟もの野犬収容のための犬小屋がつくられ、8万匹もの犬がかわれていたそうですが、その犬たちの飼料が白米、味噌、干鰯と大変良い物が使用されていたそうで、その費用の出処がなんと、犬金上納という、犬税だったそうです。
農民高100石につき一石、町民間口一間につき金三分と決まっていたというのですから驚きです。
昭和30年頃は犬税も普通だった?
今からたった50年くらい前には、日本にも犬税が存在していました。
いわゆる〝法定外普通税〟という法律によらず市町村が設けていたものですが、昭和30年頃は全国約2700もの自治体が課税していました。
しかし、昭和57年長野県の四賀村を最後にこの税はなくなりました。
税額としてはこの当時で四賀村の場合、生後3か月以上の犬一頭につき年300円(今でいうところの15万円)ほどの年収だったそうです。
当時はそれほど注目される税でもなかったようで、犬税の徴収コストのほうが犬税の税収を上回ったのが廃止の原因だそうです。
なぜ今は犬税がないのか
平成のペットブームで再びペット税について考える時が来ていると思いますが、平成26年度に大阪府泉佐野市で検討された時も、犬税の税収より、徴収コストのほうが高くつくことが予想されて断念されています。しかし、考え方によっては、フードやペット用品にかかる消費税、また、年一回の狂犬病予防注射と登録による収入を犬税と考えることもできるような気がします。
広島県神石高原町のふるさと納税
殺処分0をめざしてピースウインズジャパンと神石高原町のプロジェクト
かつて全国ワーストを記録した広島県がピースワンコジャパンと協力して、2016年までと期限をきめて県内殺処分0を目指し1000日計画をたて、ふるさと納税に保護犬への寄付を取り入れました。
その結果、目標額を大きく上回る、2億4540万余の寄付をあつめることに成功しました。
これにより、殺処分対象だった犬たちを保護し、あらたな里親をさがすまでの医療処置やケアもできる保護犬舎の建設が実現しました。
自治体のふるさと納税のページをのぞいてみると、〝選べる使い道〟とのことで、教育、子育て、福祉など、寄付したい団体を指定できるようになっており、その中にピースワンコジャパンのプロジェクトがはいっています。
寄付をされた方からのコメント欄も公開されていて、犬猫の殺処分に心を痛め、殺処分0の取り組みを応援してくれる人々が大勢いることがわかります。
ピースワンコジャパンでは、広島県の殺処分0の取り組みを第一段階とし、2020年オリンピックの年までに日本の犬の殺処分0を目標に活動を続けています。
まとめ
日本とドイツの意識の違い
犬の税金について世界のなかで一番うまくいっているドイツでも、過去に日本で犬税が廃止になった理由である『税金を徴収するコスト』が課題になっているのは、犬には戸籍があるわけでもなく、どこの誰が犬を何頭飼育しているかということまで調査していられない、というのが原因のようです。
犬税はあっても、実際ドイツにある500超の里親探しのための動物の家はすべて民間のもので、遺産贈与や、寄付、ボランティアでなりたっているのです。
しかし、ドイツでは犬のための法律がかなり細かく定められています。犬をオリに入れて飼うことを減らすために税金をかけることだけでなく、オリに入れる場合は、犬の大きさにたいしてのオリの広さが細かく決められています。
また、散歩のときのリードも一定以上ないといけない、6時間以上室内に閉じ込めてはいけない、外の気温が21度をこえたら車に犬を置き去りにしてはいけない、など犬に対する配慮がきちんと考えられています。
違反すると警察がやってきますし、見た人は通報します。
また、動物がEU内を旅行するときに必要なパスポートがあったり、公共のバスや地下鉄も子供料金で同乗できます。
レストランも犬同伴できるところが多数あり、人との共存が当たり前にできています。
そして犬が人間社会になじむように犬の学校に通わせるのが一般的で、料金も週一回日本円で1200円くらい。
また、各都市の自治体に対して最低一か所は、犬をリードなしで遊ばせることのできる場所を法律で決めるようにしています。
犬税のあり方としても、犬にたいする気持ちのあり方としても残念ながらドイツと日本ではまったく違っているようです。
大きな違いは人の都合を優先している日本と、犬の立場を尊重したドイツの考え方の違いです。
平成26年度に検討された大阪府の場合も、その発端は犬の糞尿被害でした。
糞の放置が改善されないため、登録された飼い犬一匹あたり年2千円を徴収し、税収として約1千万円を対策費にあてようとしたが、未登録の犬の数を含めた実際の犬の数の多さと、徴税のための費用が初年度2600万,次年度以降も1600万かかる試算で、導入困難で見送りになったということです。
犬の糞の始末はごみやたばこのポイ捨てもおなじで、対策のために新しく税を設けるようなことではなく、犬を飼う人の意識改革が大事です。
しかし、犬を飼っている立場からすると、特に都会では犬の散歩お断りの公園がふえたり、すべての電信柱におしっこ厳禁などとかかれていて、犬なのに排泄はすべて家のペットシーツでさせなくてはいけないような風潮になっています。
ドイツは犬のためのトイレや糞専用のごみ箱や糞をとる紙まであちこちに設置されているし、犬を散歩させられない公園など考えられないことでしょう。
犬と人間は古くからの友達。
お互いをよく理解して気持ちよく暮らすためには人間側がきちんと犬を尊重し、犬の習性や犬にストレスをかけない共存の仕方を本気で考えていかなければ、日本はペット先進国に追いつかないと思います。
ピースワンコジャパンの取り組みをふるさと納税にとりいれた広島県のやり方が、今の日本では一番の近道かもしれません。
もっと多くの自治体でとりいれれば、かなりの税収が集まると思います。
そして保護団体がいくらシェルターをつくって里親募集しても、ペット産業の取り締まりを厳密に法律で取り締まらなければ、殺処分の問題もボランティアや民間の団体の負担がふえるだけで解決になりません。
ドイツの考え方は〝殺処分は問題解決にならない〟です。
解決法はとにかく数のコントロール、不妊手術の普及、ペットショップでの犬猫販売の禁止、繁殖家の責任と法律、これらを我が国でも環境省が本気で進めてくれることが、まず第一歩。
そのうえで、糞尿対策ではないもっと有意義な犬税について検討できる自治体がでてくることを期待します。
ユーザーのコメント
20代 女性 かるみん
ペット税に関しては過去の大阪府の泉佐野市のお話をニュースなどで拝見していました。ペット勢の使い道などが糞の放置対策でしたよね。
理由が理由だけに、マナーを守り糞をきちんと始末している飼い主さんなどは払い損じゃないのか、不公平だな〜くだらないことをしてるな〜なんて思った記憶があります。登録せず未登録の犬が増えるだけですよね。
最終的には、「狂犬病の登録をしているかどうかで税負担の不公平が生じるうえ、徴税経費の点で市の負担が大きくなる」として、「導入は困難」となり、ペット税導入はなくなったそうですが
「『公平の原則』に照らし合わせると、数あるペットの中で、犬だけに税金をかけるのは不公平ではないかという疑問があります。と意見された方もいます。なぜ犬だけなのか、犬税でメリットもないのに飼育しているから払えなんてのは理解不能です。
飼い主のいない野良猫は除いて、外飼いされた猫が及ぼす被害も(未避妊、未去勢、糞など)社会問題になっていますよね。
そして犬猫含めペット自体が日本では“器物・物扱い”なんですよね。
犬税、ペット税について考える前に、まずそこから考えなくてはならないと思っています。
人の都合を優先している日本と、犬の立場を尊重したドイツの考え方の違いが大きすぎますよね。
犬税自体に反対はしませんが、ただ犬を飼育するだけで払うのは嫌です。ドイツのように犬のために、犬が人と暮らすために、そして犬にも人権のような犬権が確立されないのであれば、払いたくありません。
考え方、意識や習慣、すぐには変わらないかもしれないですが、いつか日本もドイツのように変わってくれる事を願います。
糞尿に関しては飼育する以上マナーを守るのが飼い主の務めです。一部のマナーのない飼い主のせいで、公園禁止!利用禁止!になるのは、犬を飼育しているかたや、飼ってないかたの迷惑でしかありません。
糞尿被害に困るならば犬税導入よりも、現在歩きタバコをすると罰金、自転車でも〜で罰金などありますよね、犬税ではなく、糞放置〜罰金などするほうが減る気がします。
10代 女性 匿名
=そういうことです
犬を買うせいきが悪くなる
お金が無くなる
いぬ税を払えなくなる
いぬを捨てるって言う負の連鎖が起きる来もします
そうなるとほごけんでも飼う人も少なくなり結果さつしょぶんになる
という流れになりかねないのでは
とも思う
女性 もふころ
30代 男性 アダケン
是非とも宜しく御願いします。
30代 男性 動物飼育未経験
>私はいぬ税で逆に飼えなくなるなる人が出ないかという心配
それで何か問題でもあるのかな?自分には必要でなくても
他人には必要なものがある。それは理解出来る部分もあるが
他方で動物を飼うことは必須でも何でもないだろう。
望みは誰にでもある。それは分かるが例えば飼う側が
分不相応ならば飼われる動物側も不幸ではないか。
責任を負えない人間は動物を飼うべきではないだろう。
それは子供を作る側についても言えること。
>日本は、犬税を考える前に
>考え方、意識や習慣、すぐには変わらないかもしれないですが、
>いつか日本もドイツのように変わってくれる事を願います。
それは綺麗事ではないだろうか。幾ら道徳を説いても
何も変わらない。それは今迄の日本が証明しているだろう。
あまり詳しくないが日本は先進諸国に比べて罰則が緩いと聞く。
其れが事実ならば厳罰化するべきだと思う。
疑問に思うのは何故に同時進行という考えがないのだろう。
何方か一方ではなく同時進行で良いだろう。
道徳を説く、厳罰化させる。それで良いだろう。
そもそも「願う」とは何だろうか。その間までに
一体どれだけの動物が殺処分されなければならないのか。
非常に無責任な態度だと思うのは自分だけかな。
「命を扱うのは重いことなのだ」と今一度
認識させる必要があると思う。 2018年12月4日付。