世界初!体外受精によって子犬が誕生!

世界初!体外受精によって子犬が誕生!

体外受精により初めて人間の子供が生まれたのが1978年。当時、このニュースは世界を駆け巡り、かなりの物議をかもしたものですが、30年のときを経て、今度は初の犬の体外受精に成功! この研究成果に期待されることとは?!

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米研究チームが初めて体外受精で子犬誕生に成功

子犬

合計7頭の子犬は普通に元気!

このたびアメリカのコーネル大学とスミソニアン協会の研究チームによって、初めて犬の体外受精に成功し、7月にビーグル犬が5頭、ビーグルとコッカースパニエルのミックス犬2頭、計7頭の子犬が生まれたことが発表されました。(2015年12月9日科学誌『プロスワン』)

研究チームのリーダーであるトラビス博士によれば、「生まれた7匹の子犬は普通に健康で元気」とのこと。
また、
「1970年代より多くの研究者が犬で体外受精を試みてきたが失敗を重ねてきた。
しかし、今回成功した技術を用いれば絶滅危惧種の遺伝子を保存することができる」
と今後の可能性を示唆しています。

期待される今後の可能性

この研究成果は「獣医学における重大な1歩」として科学者達に大きく評価されており、そこには二つの意義が見込まれています。

1. アフリカの野生犬など絶滅危惧種の保護に貢献できる
2.生理的かつ病気・症候群の面で犬とヒトとは共通項が多く、この技術によって犬の病気だけでなく人間の病気の研究にも貢献できる可能性がある(英エジンバラ大学獣医学部アーガイル学部長・談)

絶滅が危惧される希少犬種

ブルテリア

さて、この体外受精研究がさらに進み、一般化した場合、犬の世界にどのような変化がもたらされるのでしょう。
トラビス博士の語るように、絶滅危惧種とされる犬種が再び日の目を浴びる日が来るのでしょうか?

そもそも絶滅危惧犬種の定義とは?

現在、世界では非公認犬種含めて700から800の犬種が存在すると言われていますが、国際畜犬連盟(FCI)では343犬種を公認しており、そのうち194犬種がジャパンケネルクラブに登録されています。(2015年の数字)。

あくまで純血種として認められ公認されている数であり、認められていないその他多くの犬種では実質的にどの犬が現在、絶滅に瀕しているのかざっと調べた限りで定かではありません。

ただ、すでに絶滅した犬種の定義では、たとえば闘犬廃止により飼育・繁殖されなくなるなど、「飼育目的の変化」や「交雑」したため純血種が絶滅した犬種ということですので、絶滅が危惧されるのは、それに準ずる犬種ということになります。

登録犬数がきわめて少ない犬種(ジャパンケネルクラブ)

参考までに現状で日本において登録犬数がひと桁台しかいない犬種をピックアップしてみました。

ブルテリア

闘犬/毛色により発症しやすい病気がある。噛み付きは少なく人間に親しみやすいが、一度噛みつくと容易には離さない。

マスティフ

ガーディング(家畜の見張りや外敵から守る)/語源は「パワフル」を意味。世界で最も大きな犬。飼育に広いスペースが必要で食事量も大量。

ブービエ・デ・フランダース

牧牛犬/『フランダースの犬』のパトラッシュのモデル。パワフルで愛嬌があるが、時として非常に攻撃的になることがある。

イングリッシュ・セター

鳥猟犬/大人しく子供にもなつき、しつけやすい。遺伝性疾患で盲目になる犬が少なくない。運動量がかなり必要。

グレイハウンド

猟犬/最も足の速い犬。のんびりした性格だが、動くものに反応しやすい。

コトン・ド・テュレアール

コンパニオン/豊かなロングヘアーでまめなグルーミングが不可欠。温和で勇敢。

ディアハウンド

鹿狩犬/昔はスコットランド貴族以外の所有が禁止されていたが、狩猟の減少に伴い人気を失いスコットランドの生息数が激減。

こうして見て行くと、頭数が少ない犬種には、本来の作出目的が薄れ、家庭犬として飼育するには大き過ぎ、気質の面でも走るものに反応しやすい、突然攻撃的になるなど突発的な反応があり、その犬に対してかなりの知識と力量を持つ人でなければ飼うのが困難、といった共通項があるように見受けられます。

犬の長い歴史を見て行くと、もともとが人の生活に適した犬が選択交配されてきた経緯があり、昨今では犬種全体を見ても小型化されている傾向があります。
時代の風潮により、おのずと手入れが大変だったりしつけが大変な犬種は、飼育頭数が減って行くことは避けられないのでしょう。
ただし、過去を振り返ると一度は絶滅に瀕したものの、愛好家の努力で復活したバーニーズやロットワイラー、ビションフリーゼといった犬種もあるため、なかなか予測がつかないところもあります。

日本の在来犬種の存続は?

秋田犬

日本犬でも、昔から特定の地域に生息してきた犬種を「地犬」と呼び、現在も地元の保存会などの努力で維持されているようですが、その多くは絶滅が危ぶまれているようです。

日本各地に複数の地犬が存在しており、現在、地元の保存会などの努力で維持されているようですが、以下のような犬種が挙げられます。

  • 川上犬
  • 薩摩犬
  • 十国犬
  • 肥後狼犬
  • 岩手犬
  • 大東犬 など

ちなみに現在、天然記念物に指定されている日本犬は、秋田犬、甲斐犬、紀州犬、柴犬、四国犬 北海道犬の6犬種。
柴犬や秋田犬も、一時の洋犬ブームで存続が危ぶまれたものの、みごと返り咲いて、今や欧米で人気が高まっています。

まとめ

世界で初めて犬の体外受精に成功し、2015年7月に7匹の子犬が生まれたことが発表されました。
この研究成果は、下記のような理由から今後に生かされることが期待されています。

  • 絶滅危惧犬種の復活
  • 犬だけでなく人の病気研究に対しても貢献が期待

さて、そもそも私たちが日常的に見かける犬は、小サイズは1キロ余りのチワワからセントバーナードのような超大型犬まで様々。
しかし、これらの犬種は、自然発生したわけではなく、全て人の手が加わり、人間生活に適合するよう、あるいは時代の風潮に合わせて作出されてきたもの。
今世紀に入って、多くの種類が絶滅する一方で新種も次々と誕生するなど、犬種の世界は常に変動しています。

人間によって作出・飼育されてきた犬種ではありますが、一つの犬種をとっても初期と現在とでは、同じ犬種かと疑いたくなるほど姿形が変わってしまっているものもあります。

さて、絶滅危惧犬種、どのような犬種をどのような意図で復活させるのか・・・。
倫理的な議論を重ね、明確なガイドラインが設けられる必要がありそうです。

もう一つの側面としては、昨今、遺伝的疾患を持つ犬があまりに多く商売目的の為に繁殖されているという現状で、疾患のない健康な犬を増やしていくという意味では、意義深いものがありそうです。

いずれにせよ、命は命。
人の欲得ではなく、真に有意義な形で技術が生かされることを願ってやみません。

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