コンパニオンアニマルという考え方を知っていますか?

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コンパニオンアニマルという考え方を知っていますか?

“ペット”という言葉、何となくモヤモヤ感がつきまといませんか? 犬や猫と暮らす人々は「うちのペットが」とは言いません。犬を愛する私たちが“ペット”に感じるモヤモヤの正体、そして“ペット”と“コンパニオンアニマル”の違いを解き明かしてみたいと思います。

ペットからコンパニオンアニマルへ

家族

ペット? コンパニオン? それとも???

日頃何気なく目にし耳にするペットという呼称。犬を愛する人々は、どこか違和感を感じませんか?
その違和感、どこから来るのでしょうか。

言葉の定義や、言葉に含まれるイメージからひもといてみたいと思います。

ペット

愛玩動物、もしくは愛玩を目的として飼育される動物を指す言葉。

  • ほ乳類、鳥類、は虫類も含まれる
  • 「愛玩動物飼養責任」といった言葉に見られるように法律的に使われる用語である
  • 盲導犬、聴導犬、介助犬は「身体障害者補助犬法」でペットではないことが示されている。
  • 警察犬、狩猟犬、災害救助犬はペット保険の加入対象から外れることから、厳密にペットの範疇ではない
  • 「所有」の意味が強い
  • 一方的に「可愛がる」イメージ

コンパニオンアニマル

伴侶動物、もしくは生活を共にする伴侶として、より密接な関係を人間と持つ動物を指す言葉。

  • 「仲間」「パートナー」「家族」など同等のイメージ
  • 相手を尊重するニュアンスが含まれる

盲導犬や聴導犬はもちろんペットではなく「仕事をする犬」ですが、必要とする人にとっては欠かせない家族であり、コンパニオンの範疇に含まれると言えます。
警察犬や災害救助犬も、ハンドラーとの信頼関係は欠かせず、やはり彼らはコンパニオンと言えるでしょう。

犬はすなわち、高い能力を持つからこそ人間の生活をサポートできる重要な存在です。
こうして見て行くと、“ペット”という位置づけは、犬の存在価値をかなり狭めているように感じます。

“ペット”という言葉は侮蔑的?! 扱い方までも左右される?!

オックスフォード大学の研究者によって動物倫理学の専門誌(『journal of Animal Ethics)に発表された論文が、“ペット”という言葉に付随するモヤモヤを晴らしてくれる助けになりそうです。

下記に、分りやすく要旨だけまとめてみました。

  • “pet”あるいは“owner(飼い主、所有者)”という言葉は大変侮辱的である
  • ゆえに“companion animals(伴侶動物)”、“human cares(世話する人)”と置き換えるべきである
  • 同様に“wild life(野生動物)”も“free living”(自由に生きるもの)と置き換えるべきである(wildnessには「野蛮」「乱暴」の意味が含まれるため)
  • 「キツネのようにズル賢い」「ブタのように食べる」などの形容詞的使い方も、その動物への正しい見方を誤らせる
  • 動物を下に見るような言葉は、彼らの扱われ方自体に影響を与えるものである

“ペット”は「所有」、“コンパニオン”は「伴侶」

上記の論文は、これまでの偏った動物観を修正に導き、正しい認識を促していると言えます。
特に、動物を下に見る言葉が動物の扱われ方に大いに影響を与える点については、「なるほど」とうなづけるものがあります。

「所有」の対象は、多くの場合、「物」です。
そこには所有者の都合によっていかようにも扱うことのできるという、危うい意味合いが含まれます。

道義的には別として、所有者が動物を正しく扱っていなくても「自分のものなのだからどう扱おうと自由なのだ」というスタンスが成り立ちます。
動物を虐待する、あるいは不適切な飼育を続ける人々の常套句です。

上も下もない関係〜言葉から始まる尊重

「動物並み」とか「動物以下」「犬畜生」という言葉もあるように、長い人間至上主義の歴史の中で、人間は動物を常に下に見てきました。
まるで彼らを自由に扱う権利を天から与えられでもしたかのように・・・。

けれど、あまりに人間目線で世界を作り上げてきたために自然が壊され人の心も荒廃し、ひいては自分たちの首を絞めている現実があります。
また、動物を理解するための様々な研究が進んだことで、今や私たちは「動物より自分たちのほうが優れている」と決めつけることが間違いであることに気付き始めました。

むしろ、動物が持つ優れた5感、ひいては第6感ともなると、人間は彼らの足元にも及びません。
と、同時に動物ー特に犬には喜び、悲しみ、恐怖、愛着、共感など人間とほぼ同じ種類の情動を持つことが明らかになるにつれ、もはや彼らを「犬畜生」などと言う人は、その人間性が疑われても仕方がありません。

犬と共に暮らす関係--様々な考え方

犬と女性

「ママ」ではないし「うちのコ」でもありません

私は時々ふざけて自分のことを「飼い主」と称します。そこには逆説的な気持ちを込めているつもりですが、人によっては眉をひそめたくなるかもしれません。

その一方では自分のことを「ママ」とは言わず、我が家の犬達のことも「うちのコ」と呼ぶことはあえて避けています。
なぜなら、私と彼らは明確に違うからです。
私は彼らのママではなく、彼らもまた私の「子供」ではありません。
「ママ」とか「子供」として関係性を見る中で、どうしてもそこに幾ばくかの彼らに対する甘えや依存性を感じ、擬人化することの危うさを感じるから。
あくまで彼らとは異種であることを認めた上で、犬である彼らを尊重したい、命として対等でありたいという気持ちを忘れないでいたいからでもあります。

癒しの存在?

これまた個人的で恐縮ですが、犬をはじめ他の動物にも「癒される」という表現もあえて使いません。
彼らは私たち人間の癒しのために存在しているわけではないからです。

確かに心慰められることはあります。
彼らがいるから「明日も頑張ろう」と思えることもありますが、一方では彼らも私から安心と安全を得て快適に生きる権利があるわけで、それらを提供するべく努めることが人間である自分にできることだと考えています。

日頃使う言葉は意識を作り、意識は行動に影響するといいます。
そんなことから、彼らを犬として尊重する目線を忘れないよう、使う言葉も気をつけているつもりです。

ちょっと毛深い同居人

ペットでなく親子でなく、そして癒しでもないなら何だろう? 
これまで特別に自分と犬達の関係を表現しようとしことがないので、なかなかうまい言葉が見つからないのですが、あえて言うなら、少しばかり手のかかる同居人、運命共同体といったところでしょうか?
やっぱりコンパニオンもしくはパートナーということになりますね。

正直言えば、時にはイラッと来ることもあるし、ガッカリさせられることもある。
しかし、私とは異なる習慣(習性)を持つ同居人(犬)と思えば、やっぱり双方ストレスなく楽しく暮らしたい。
どちらかがどちらかに無理を強いるような関係では物事はうまく回らないものです。

ありがたいことに、異種と言えども、彼らとはコミュニケーションを取ることができます。
こちらも妥協しつつ、
「あのね、もうちょっと○○してくれないかな〜」
「そのほうが私としては有難いんだけどな〜」
と、彼らが理解できるように誤解が生まれないように、そしてもちろん彼らが苦痛を感じないですむ方法で伝える工夫をするわけです。
それがいわゆる最低限の「しつけ」とか「トレーニング」につながるのではないかと思っています。

別に特別、お利口さんでなくたっていいんです。
人間基準で賢くなくたって。ご近所の迷惑になりさえしなければ。
そして、犬の彼らが、人間である私との生活の中でストレスなく元気で明るい気分でいてくれさえするならば、それで充分!

まとめ

犬を抱く女性

  • “ペット”は「所有」の意味合いが強く、動物に対する尊重の念を欠く言葉。
  • “コンパニオンアニマル”は、人にとっての伴侶という意味を持ち、尊重すべき存在として認める言葉

そもそもコンパニオンアニマルという言葉は1985年頃から使われるようになりましたが、その頃、何があったのか背景を調べてみました。

アメリカ

1985年に「修正動物福祉法」が制定され、動物の愛護と虐待防止のための禁止事項、罰則などが定められた。
また、ペンシルバニア大学獣医学部のジェームス・サーペル教授により、ケンブリッジ大学にコンパニオンアニマル研究グループが設立

ドイツ

1988年に動物保護法が改正、1993年には「動物は物ではない」と宣言する内容が民法に含まれた

イギリス

1983年に動物保護法が改正され、街頭や公共の場でのペット販売が全面的に禁止、1986年には実験動物に関する「動物処置法」が定められた

ヨーロッパ全体

1987年に「ペット動物の保護に関する欧州協定」が結ばれ、人間にはあらゆる生き物を尊重する道徳的義務があり、ペットが人間の生活の質に対して重要な貢献をしており、人間と特別な関係にあることが述べられている

このように1985年前後のヨーロッパにおいて、動物に対する概念を大きく書き変える動きのあったことが伺えます。

その頃の日本といえばバブル爛熟期で、犬はまだまだペット扱い、物扱い。お客が酔った勢いでホステスさんに、ペットショップで買った子犬をプレゼントしたなどという話もありました。

その後、動物を物扱いする風潮が動物虐待ひいては深刻な殺傷事件につながっていることに社会が気付いたことが一つの要因ともなり、2012年の愛護法改正に至った経緯があります。

人が先で動物は後回し。犯罪として定められたものの、いまだに動物を物扱いする遺棄や虐待は後を絶ちません。
まだまだ日本は動物後進国と言われますが、多くの関係者の努力によって、動物は物ではなく伴侶であるとする認識は確実に広がっています。

環境に対して影響力の強い人間は、むしろ動物である彼らのために居心地のよい世界を提供する責任があり、ある意味において彼らに仕える立場であるべきなのかもしれません。

現在犬と暮らす私たちも、犬をはじめとする動物達が果たしてくれる役割、彼らの存在の意義についていまいちど思いを巡らし、より良い関係を築く努力、そして正しい認識を広める努力を続けていきたいものです。

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  • 40代 女性 MAKI

    近年犬を飼うという意味合いが、「家族」が増えるという密接な意味合いになってきていると思います。記事にあるように、<所有>ではなく<仲間・パートナー>という同等の位置づけなのでしょうね。コンパニオンアニマルという言葉自体はまだ浸透していませんが、飼い主の気持ちとしてとても大切な事だと思いました。
  • 30代 女性 きなこ

    私も「ペット」は愛玩として扱う動物のことを、「コンパニオンアニマル」はお仕事をしている動物たちの事だという認識でした。
    日本ではペットという名称の方が広まってて、コンパニオンアニマル…?なにそれ??って感じでまだまだ浸透してないですよね。
    ただ個人的にはペットの方が言いやすいし今さら変えるのも難しい。。
    でも、気持ち的には愛犬との主従関係とか自分より下とか一切感じた事はありません。
    だから、愛犬の事を子供として見たりもないし自分が◯◯のママとかいう存在でもないし…一番しっくりくる言葉はやっぱり「パートナー」でしょうか。
    違う動物同士だけど、一緒に住んでる仲間、そんな感じで接しています^^
  • 40代 女性 こみゃこ

    長年、ペットと呼び名がまかり通った日本でも、ほとんどの飼い主の方は、うちの犬は家族=コンパニオンアニマルと同じことと、思っていると思います。人間基準の賢い愛犬ではないけど、居るだけでいいと。日本の動物愛護に関する法律を見ると、守れるのは私だけしかいないと思うようになります。悪い人間の虐待のニュースを見て、散歩中すれ違う人間に、自ら壁のように守れる形で歩いたり。一般の飼い主達だけでは力不足なので、ペットフードを製造している会社や、獣医師会などが政府に今に合った動物愛護法を成立させるように持ちかけてほしいです。
  • 30代 女性 patata

    私は、この記事を見るまでコンパニオンアニマルという言葉を、お恥ずかしながら知りませんでした。
    知らず知らずに使っていた、ペット。わんこさんたちに失礼でしたね。
    この記事を読んで、確かにと思うことが多々ありました。コンパニオンアニマルは、毛の生えた「同居人」ってところです。時々わんこさんを擬人化している方を見かけますが、疑問に思うことがしばしば。彼らは、異種であることを尊重して生活をすることは、大切な事だと思います。明日からペットじゃなくてコンパニオンアニマルって言うように気を付けます。
     
  • 10代 女性 いちごみるく

    ペットと呼ぼうが、コンパニオンアニマルと呼ぼうが、動物にはその概念はありません。神経質になりすぎて、「飼う」「エサ」などの言葉もこの話からすると使えなくなりそうですね。過敏になり過ぎるから「犬狂い」などと呼ばれるのだと思います。
  • 50代以上 女性 ルミ

    同意です。私は50代、子供のころから、犬に対して番犬、ペットと思う環境がありましたが、現在2匹のラブラドールレトリーバと暮らす中、彼らは、ペットではなくコンパニオンととらえております。私は子供ができませんでしたので、周りは2匹を子供代わりにしていると思っているのは承知していますし、特に否定することもありませんが、子供と犬は全く違います。犬は異種の動物であり、お互い理解するのには日々努力が必要ですね。でも、犬たちも同様で、一緒に努力して幸せな日々を暮らしています。
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