犬の犬嫌いを克服する方法

犬の犬嫌いを克服する方法

「うちのコは犬がダメなの」と諦めてしまっている飼い主さんは意外と多いもの。それだと毎日のお散歩も憂鬱になってしまいますよね。でも、「犬が怖い!」はちゃんと克服できるんです! ポイントを押えて、愛犬と一緒に頑張ってみませんか?

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記事の監修

埼玉を中心に、しつけ方教室/問題行動のリハビリ/ドッグダンスレッスンまで行う。ドギーホームルームでは、愛犬のトレーニングのみにとどまらず、飼い主様のフォローに力を入れる事でQOLを向上させます。また、JCHA公認のハイドロセラピスト・フィットネストレーナーでもある為、愛犬の健康増進にも力を入れています。【埼玉・東京・横浜でオーナーレッスン随時開催】
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犬なのに犬が怖い?!

ケンカする犬

「相手がヒトならフレンドリーなのに、犬となると態度が一変してしまう」
そんなワンコが犬を怖がる理由、犬の側に立って考えてみましょう。

経験不足

特にペットショップで売られている犬に多く見られる傾向。

生後3ヶ月くらいまでを社会化期といい、子犬はその期間、甘噛みが過ぎて親犬から叱られたり、兄弟犬と遊んだりして、噛む加減やテンションの保ち方を学んでく、非常に重要な時期に当たります。

しかし、現在の動物愛護法では生後45日を過ぎれば販売可能なため、その重要な時期に親犬・兄弟犬から離されてパピーオークションにかけられ、子犬同士が仕切られたペットショップのガラスケージの中で過ごすことになります。

さらに子犬期のワクチンが一通り完了するまではお散歩には出さないということも今や常識。
人間の家族やその周辺の人に対しては大丈夫でも、他の犬となると経験値が足りず、恐怖心や警戒心を持つようになってしまうことが考えられます。

こうしたことを踏まえ、ペットショップではなく、引き渡し時期を最低でも生後2ヶ月以降と決めているきちんとしたブリーダーから子犬を迎えてほしいと思います。
ブリーダーの元を直接訪れれば、犬舎の清潔さやブリーダー自身の考え方から判断できます。

犬の先進国と言われるドイツでは、子犬の引き渡しは、犬の精神と体の健康を考慮して、2ヶ月以上経ってからと決められていて、理想的には3ヶ月以上とされています。
それだけ社会化期が重要視されているということです。

怖い経験

さて、ワクチンが終了し、晴れて外へ出られるようになると、飼い主としては、これからが楽しいワンコ生活の始まりとばかりに、お散歩はもちろんドッグランなど、あちこち一緒にお出かけしたくなるもの。

けれど、ここに大きな問題があります。
生後4ヶ月頃から、子犬は新たな学習段階に移行して、敵や危険に対する認識を深めていきます。

こうした時期に、他の犬に飛びかかられるなど怖い経験をしてしまうと、犬=怖い!と脳のプログラムに書き込まれ、向こうから来る犬が危険かどうかを判断する余裕なく、犬を見ただけで「怖い」のスイッチが入るようになってしまいます。
子犬の時期に他の犬との出会いに失敗して、犬が苦手になってしまったというケースは非常に多く見られます。

「犬が怖い!」を克服するために

遊ぶ犬

克服できるの?

その犬の性格や経験の度合いによって時間がかかることはありますが、その犬に合った、ストレスの少ない方法で行えば克服は可能です!
犬の動物としての能力を信頼してあげてください!
ただし、その前に「犬が苦手」の素地を作らないよう、怖がりを助長しないよう気をつける点がいくつかあります。

いきなりドッグランに放り込まない

よくワクチンが終って、「社会化のため」だとか「他の犬に教育してもらわないと」などと言って、すぐドッグランに連れて来る飼い主さんがいますが、お勧めできません。

ドッグランはある意味、無法地帯です。社会化ができておらず、恐怖心からやたらと吠えたり唸ったりする犬もいれば、子犬に対して恐怖心を与えるほど遊び方が激しい犬もいます。
2~3才くらいの成犬では、子犬のせわしない動きや、しつこいじゃれつきを嫌う犬もいます。
この環境では、良い経験より悪い経験をする確率のほうが高くなります。

ドッグランは犬を飼う上で必須の環境ではありません。
すでに犬に対して恐怖心を持っている様子なら、無理に入れる必要はないのです。そうする前に、まず恐怖心を克服してあげることを考えてください。

子犬の幼稚園を利用する

子犬を迎えたなら、怖い経験をさせる前に犬の幼稚園へ。
犬を熟知しているスタッフは、それぞれの性格を見極めて一緒に遊ばせるなどして、犬同士が負の経験をしないように気をつけ、良い経験を積めるようにサポートします。

飼い主が過剰に反応しないこと

リードの張りに注意

犬どうしの挨拶の時、愛犬が噛まれやしないかと、ビクビクしている人を見かけますが、そうした場合、大方、リードはピンと張っています。
飼い主の緊張はリードを通じて犬に伝わります。
またリードが張った状態では、犬自身も行動が制限されるため、余計に緊張します。この状態で犬同士を引き合わせることは、良い結果を招きません。

むやみに抱き上げない

他の犬が近づいて来ると、慌てて抱き上げてしまう人もいます。これは必要以上に「危険な状態」と刷り込むことにつながります。
相手の犬も、抱き上げられた犬に対しては、興味を持って飛びついてきたり吠えたりしがちですが、そのことがさらに恐怖心をあおる結果になります。

まずは自分がリラックス

そもそもが、他の犬と出会った時に、飼い主がびくついてリードを張ったり、抱き上げたりするような状況を作らないことが大切です。
自分も愛犬も、自信の無い状態で他の犬に急に近づくことは避けるべきなのですが、もしそういう状況になった時には、相手の犬と距離を保ちつつ、飼い主自身がリラックスしていることが実はとても大切なポイントです。

急がず距離を保って段階的に

他の犬とのファーストコンタクトには、飼い主のサポートが必要です。
散歩中に出会った他の犬に、「ほら、挨拶しなさい」などと無理に近づけることはやめましょう。
人間の感覚と犬の感覚は違うのだということを忘れないでください。

「犬のことは犬にまかせて」という人もいますが、それも相手の犬によりけり。
相手も、もしかしたら犬が苦手な犬かもしれません。

犬どうしが出会ったら、接近させる前に相手の飼い主さんに「挨拶させても大丈夫ですか?」と断ること。
そのうえで、無理に相手の犬に近づけないこと。

まだ犬に対して強い警戒心を持っていないのであれば、自分から相手の犬に近づいていけるか、様子を見守ってください。
この時は、自分の犬だけでなく、相手の犬の体全体が発するサインの観察も怠りなく。

犬への恐怖心を克服していく方法

怖がる犬

では、すでに犬が苦手になってしまっている犬はどうすれば良いのでしょう。
多くの飼い主さんは、「うちのコは他の犬がダメだから」と他の犬との接触を回避しようとします。

小型犬ならサッと抱き上げてしまえばトラブルは避けられますが、散歩ではどうしても他の犬と出会うことになりますし、ペットホテルに預ける時、また災害などで飼い主と離れてシェルターに入らなければならないような状況では、ストレスから体調を崩してしまうこともあります。

「犬が苦手」は克服できます。
愛犬のストレスを解き放ってあげるためにも、諦めずに一緒に頑張ってみましょう。

穏やかで経験豊富な犬を先生に

人間と同じように、犬の性格は様々です。怖がりな犬もいれば、他の犬に無関心なくらいのんびりしている犬もいます。低姿勢な犬もいれば高圧的な犬もいます。

どんな犬にも対応できるようにするには、ハードルの低い相手から。
他の犬に出会っても呼吸が落ち着いている穏やかな性質の犬と接触できるように、まわりの犬友の協力を頼むのも手です。

柵越しに

いきなり犬に近づけたり、ドッグランなどに入れることはせず、柵などを挟んで、自分の犬が反応しないくらいの距離を保って、行ったり来たりしてみます。

この時、穏やかな先生犬にも、柵の内側を行き来してもらいます。
どちらもリードをつけて飼い主が誘導します。

大丈夫そうになってきたら、徐々に距離を縮め、柵越しに挨拶できるか、様子を見てみましょう。
こうして一歩ずつ段階を踏んで近づいていくことは、「怖くない犬もいるんだ」と自ら確かめるだけの余裕を与えてあげることになります。

同じスペースで、それぞれ違うことに集中させる

犬どうし互いの気配が伝わりつつも反応しない距離を保ち、それぞれに行き来したり、「お座り」「待て」などの基本的なトレーニングに集中させましょう。
他の犬がいる環境でも落ち着いていられる経験を積ませ、犬が自信を持てるように手伝ってあげます。

犬どうしの距離を縮める時に気をつけたいこと

互いの犬が注目し合わないように

犬と犬との間にそれぞれの飼い主が入ったり、声をかけるなどして犬の関心を自分に向けて、相手の犬を凝視しないように気をつけましょう。

リードをたるませる

犬に、逃げるかそこに留まるか判断する余地を与えてあげるためにリードは張らずにたるませておきましょう。

飼い主自身がリラックスする

飼い主が心の中で緊張しているだけでも、犬には伝わります。
柵越しで距離を取れば、飼い主自身も精神的な余裕を保てるので、その意味でもこの練習は犬と飼い主の両方に自信をつけることができます。

お座り、待て、つけの練習を

犬が自信を持って外の世界に接することができるようになるには、飼い主との信頼関係も不可欠です。
基本的なアイコンタクト(犬と飼い主が目を合わせる)や、「オスワリ」「マテ」「ツイテ」などのトレーニングをすることは、「この人といれば大丈夫」という安心感と自信を養うのに役立ちます。

しっかりトレーニングされている犬は、他の犬に過剰な関心を示しません。
ポイントは、おやつを使うなどして、飼い主も犬も楽しく行うことです。

まとめ

3匹の犬

犬が他の犬を怖がるようになる理由は、

  • 社会化期の経験不足から
  • 子犬の時期に他の犬に飛びかかられるなど怖い経験をしたため

犬の「犬が怖い!」を克服することは可能です。
それは、愛犬を幸せにするために飼い主がしてあげられることの一つです。

そのために押えておきたいことは、

  • 犬の行動原理を最低限、知っておくこと。
  • 人間目線で判断して、犬を無理に犬に近づけないこと
  • 愛犬のペースに合わせて、徐々に段階を踏んであげること

愛犬のペースをつかむこと、踏むべき段階を選ぶ時に、犬のカーミングシグナルや行動学など基本的な知識はとても役に立ちます。
最近では、しつけ教室や犬の行動修正のためのワークショップなども頻繁に開催されています。
ぜひ積極的にそうした場に足を運んでみてください。

そして、愛犬の「犬が怖い!」気持ちに寄り添いながら一緒に克服してあげましょう。
それによって、愛犬との絆はさらに深まり、ワンコライフはいっそう楽しいものに変わることでしょう。

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ユーザーのコメント

  • 投稿者

    40代 女性 匿名

    犬嫌いな犬になってしまった条件が見事に重なっていました。散歩も他の犬に会わないようにしたり、何より犬を迎えてから外出が減ってしまって色々な事を諦めて過ごしましたが、まもなく4歳になる愛犬と再びドッグスクール(初回とは違うスクール)に通い始めました。記事にもあったように、アイコンタクト等基本がとても大切なのだと感じています。
  • 投稿者

    30代 女性 ken

    うちの犬は犬が大好き過ぎるほど大好きなので、犬が苦手な犬の気持ちがわからないようで、嫌がる犬に強引に挨拶に行こうとして何度もかわいそうなことをしてしまっています。犬が怖い子にしてみれば、相当なストレスを与えてしまっていることでしょう。
    昔飼っていた犬は犬が大嫌いでしたので、動物病院へ連れて行くと、ただでも具合が悪いのに、他の犬のストレスで終始震えていて本当にかわいそうでした。入院ともなると、他の犬の吠え声が聞こえる中、具合が悪いのに余計に悪くなってしまうのではないかと心配で仕方ありませんでした。
    そういった経緯もあって、今飼っている犬は子犬のころからしつけ教室に預けて他の犬や人との社会化を効率よく行いました。犬の社会化なんて、室内犬で家族に囲まれて暮らすだけならそんなに必要ないかな、と思った時期もあったのですが、ペットホテルや病院に預ける時に余計な心配がなくなって、むしろ他の犬と楽しそうに遊んでいるところを見ると、やっておいてよかったなと思います。
  • 投稿者

    40代 女性 匿名

    四歳になるいぬが本当にいぬ嫌いで困ってます。すれ違ういぬ全てに怒ります。実は怖くて仕方ないみたいで近づくとビクビク。もう何度も沢山のいぬにコミュニケーションとらせて貰ってもだめ。なんかいい方ほうありませんか?
  • 投稿者

    40代 女性 マロンまま

    うちの子も他の犬が恐い様で、あまり遊ばせて上げる事が出来ません。犬の社会化が大切なのは知っていたので、ある程度行っていあたんですが十分じゃなかったようで…時期が過ぎてしまうと中々難しいんですね。犬なのに犬が恐いと言うと、不思議に思いますが、私たち人間だって「人見知り」って言葉があるのでそれと同じですね。色々試してゆっくり慣れさせたいと思います。
  • 投稿者

    20代 女性 まる

    愛犬の犬嫌いはわたしも直したいです。ですが、もう愛犬も13歳でシニア犬になったからか犬嫌いは増し最近では愛犬は中型犬なのに、小型犬にまで吠えるようになりました(_ _;)耳も遠くなっているし恐怖心があるのかもしれないですね。ただその中でも好きな犬も居るようで、その犬がいる家を通ると立ち止って挨拶しようとしています。犬嫌いの愛犬の唯一の友達です(笑)
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