犬ぞりとは
車が入れなかったり、馬などが生きてはいけない過酷な環境で、人間や荷物を運ぶのが『犬ぞり』。
現在も寒い地域などでは交通手段として使われています。
比較的雪のつもりが甘い積雪地帯では娯楽用の犬ぞりがあり、ドッグレースや、犬ぞり大会、犬ぞり体験などが行われています。
犬ぞりレース
マッシャーと呼ばれるドライバーの役割をする人がソリ犬達を率いてゴール地点までそりを走らせ、タイムを競うものです。
積雪地域では冬のスポーツとして人気があります。
雪の降らない地域でも、カートを使った大会などがあり、犬ぞりの人気がよくわかりますね!
レースのカテゴリ分けとしては距離によるものが多いです。
ショート(短距離)、ミドル(中距離)、ロング(長距離)の三種類にわけられます。
ロングの中には1600キロ以上を数日かけて走るものもあります。
犬たちだけではなく、マッシャー達の戦略戦でもありそれによって勝敗が変化することも少なくありません。
つなぎ方・配置・役割
ファンタイプ(扇型)
イヌイット達に伝わる伝統的なスタイルで、開けた土地を走るときに使われます。
犬を扇型に直接つなぐものなのでファンタイプ(扇型)と呼ばれています。
ラインタイプ
森の多い地域や険しい地形が多い地域で使用される、犬たちを一直線に配置する犬ぞりのスタイルです。6〜8頭引きで行われます。
リード
先頭を走る犬で、一番足のはやく、頭の良い犬がここです。マッシャーへの忠誠心や直感力に優れていることが重要です。
ポイント
リード犬のペースを保たせるためのポジションです。チームを導いていく能力が求められます。
スイング
訓練中の犬や老犬、問題児がつきますが、牽引力を高める役割も担っています。
ホイール
体が大きく、力が強い犬がここにくることが多いです。マッシャーや他の犬との協調性が求められます。
何キロまで運べるの?
1頭が引くことができる荷物の目安は犬自体の体重で、これを元に計算してみると10頭引きの場合400〜500キロ程度の荷物を運ぶことが可能です。
すごいですね!
3万年以上前からあった!犬ぞりの歴史について
紀元前から走ってます!
犬ぞりは3万年前〜3万5千年前のモンゴルで多く使われており、モンゴルが発祥ではないかといわれています。
住人の日常的な交通手段として使用されていましたが、その後、モンゴルの住人が移動し居住範囲を広げていくにつれ、犬ぞりは探検をする際にも用いられるようになりました。
南極大陸の探検
犬ぞりを使用した話で有名なものといえば、日本で1956年に南極探検隊(南極地域観測隊)でしょうか。
通常はハスキー犬やサモエド犬がそりを引いていましたが、日本では樺太の素晴らしさを世界へ伝えるという目的のため、15匹の樺太犬を採用しました。
彼らは犬訓練所でそりを引く訓練を受け、南極へと旅立ちました。しかし、その後観測隊は悪天候のため南極からの撤退を余儀なくされました。
このとき15匹の樺太犬は鎖に繋がれたまま基地に取り残され、翌1959年に『タロ』と『ジロ』の二匹のみが生還を果たしました。
この話は『南極物語』として映画化されているので、ご存じの方も多いかと思います。
現在の犬ぞり
シベリアやアラスカ、グリーンランドなどでは馬や車輪のついた乗り物が使用できない地域が多いため、犬ぞりを使用している場合があります。人々のライフラインとして生活を支えているのです。
日本では娯楽として楽しむようになりました。数カ所でしか楽しめませんが、犬ぞりツアーなども容易されており、参加することで探検家の気持ちを味わうことができるかもしれませんね。
驚きの身体能力!犬ぞりを引くわんこたち
犬ぞりを引くわんこたちの身体能力はとても優れています。
犬ぞりを引く力持ちなわんこたち!
犬ぞりを引く犬は以下の犬種が多いようです。
共通しているのは、寒さに強く力強い犬。そしてマッシャーや他の犬と協力できる協調性です。
シベリアン・ハスキー
人になつきやすく好奇心旺盛で、集団生活に向いています。他の犬のように闘争心が強いわけではないですが、適度な警戒心を持っています。
清潔好きで体臭もほとんどなく、従順で親しみやすい性格なので家庭犬にも向いています。
アラスカン・マラミュート
レースでの記録保持者はアラスカン・マラミュートが多いです。理想的な骨格、四肢、そして持久力があり耐寒性に優れているため、長距離のレースに向いているようです。
カナディアン・エスキモー・ドッグ
どんなことにも全力でむかうのがこの犬種。もちろんレースも全力です。
熊やアザラシの猟に使われてきただけあって、寒さに強く重労働にも耐える体を持っています。
サモエド
サモエドは献身的で、過酷な条件下で自分の体重の2倍近い荷物を引けると言われています。そして綺麗なサモエドスマイルも。
樺太犬
性格は温和、そして忠誠心の高い犬です。
『南極物語』のタロとジロで有名な樺太犬。
しかし、犬ぞりが日常生活で使用されなくなるにつれ数を減らし、現在日本に純粋な樺太犬は数頭しかいないと言われほぼ絶滅したような状態となってしまいました。
英雄となったシベリアン・ハスキー
1925年、アラスカのとある村はジフテリアの蔓延により閉鎖されていました。そこに血清を運んできた犬ぞりのリーダーが、バルトというシベリアン・ハスキーです。
なんと氷点下50度を下回る極寒の中、犬ぞりで500キロメートルを超える距離をリレーして、無事に村へと血清を届けました。
その結果、アメリカ国内でシベリアン・ハスキーの知名度はぐんと上がり、ニューヨークのセントラルパークにバルトの像が立てられるまでになりました。
犬ぞりを体験しよう
- SNOWY OWL
- Outrider
- Minakami kogen Ski Resort:アクティビティ:犬ぞり体験
- MUSHING WORKS
- 北海道アドベンチャーツアーズ
- NPO法人 どんころ野外学校:犬橇
まとめ
犬ぞりは犬好きにとっては憧れではないでしょうか?
雪原を颯爽と走る犬たちはとても美しいですよね。犬ぞりの歴史や、そり犬達のポジションなどを知っていただけたかと思います。
日常生活の交通手段としては使われなくなった現在、娯楽としてですが残っているのはとてもありがたいことです。
それだけ人間にとって不可欠で、愛すべき交通手段だったということでしょうか。
皆さんも犬たちが能力をフルに発揮している姿を楽しんでみてはどうですか?
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