樹に宙吊りに…。知ってほしい『富士号』のこと。

樹に宙吊りに…。知ってほしい『富士号』のこと。

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昭和の終わりごろの話です。山中から聞こえてくる悲しい犬の声。女性がそれをたどると、なんと、大きなシェパードが樹に宙吊りにくくりつけられたまま捨てられていました。たくさんの人に知ってほしい、実際にあった犬と人間の物語。

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実際にあったシェパード犬『富士号』のお話

犬の後ろ姿

犬が出てくるお話で、思わず泣いてしまう話は世界各地にありますが、日本にいた『富士号』という犬のことをご存知でしょうか。
富士号は、ある山で発見されたシェパード犬です。
一冊の本「いのち輝け富士号 」には、悲しくも心あたたまるエピソードが記されています。
これは、ほんとうにあったお話なんです。

時は昭和の終わりごろ。
本の著者である女性は、あるとき犬の鳴き声を聞きます。
それは、なんとも悲しい遠吠えでした。

女性の住む町は富士山麓に広がる箱根連山の近くにあり、声はどうやら、山中から聞こえてくるようでした。

うめくような鳴き声は、それから毎日聞こえてきました。
女性は心配になり、山に入ります。
広い樹海を必死にさがしますが、どうしても声の主は見つかりません。

『どこにいるの。早く見つけてあげたい。』

そう思いながら数日。聞こえてくる鳴き声は、だんだんとか細くなっていきました。

翌日から予報が雨だと知った女性は、どうしても今日中に見つけたいと近所の人とその飼い犬と共に山に入ります。
くたくたになるまで歩き、そして、ようやくひとつの樹に宙吊りにされた大きな犬を発見しました。

明らかに、人間の仕業でした。
誰かがここに吊るし、犬を捨てていったのです。
目を背けたくなるような非道な行いでした。

発見された犬は、まるで狼のようないでたちでした。
シェパードだとわかったのは後のことで、はじめは女性を見るなりまるで近寄るなとばかりに唸り牙を剥き、警戒したといいます。

歩くシェパード

瀕死の状態でいて牙を剥くのは、一体どんな思いからでしょうか。

女性は連れの方の制止をふり切って犬を保護すると、なんとかくくりつけられていた鎖を外し、持ってきていた水と餌を与えました。

一心不乱に食らいつく犬を撫でてやります。
すると、犬はその目から大粒の涙をこぼしました。

実際に犬が泣くのかどうか、それは定かではありませんが、このとき女性はたしかに犬の目から落ちる涙を見たといいます。

よく見てみると、犬のからだは痩せ細り、爪はどうにか逃がれようと地面をたくさんひっかいたのか、全部剥がれていました。
樹にくくりつけられ放置されてから発見されるまでの間、どのような苦しみがあったのかは想像にかたくありません。

仰ぎみると、そこには富士がそびえたっていました。
女性は犬に『富士号』と名付け、これからの幸せを約束しました。

極度の緊張状態からでしょうか、連れ帰るための車に乗せたとたんすべてを吐いてしまった富士号を病院に連れていくと、かなりの衰弱状態であることがわかりました。
からだにはたくさんのノミがたかっていて、痒みにも苦しめられていたにちがいありません。
すぐさま、点滴などの治療が開始されました。

懸命な治療の甲斐あって、富士号はだんだんと回復していきました。
女性は、傷つけられた富士号のこころに寄り添いつづけ、愛情をそそぎ、仲間の犬たちと共に約束どおり幸せに暮らせるよう、こころを尽くしたそうです。

富士号は、人間の仕打ちを許してくれたでしょうか。

さいごに

寝そべるシェパード

ことわざに、捨てる神あれば拾う神ありということばがあります。
富士号のお話は、この世には残酷な人間もいれば、こころ優しい人間もいるということ、そして、いのちの尊さを教えてくれています。

富士号の生きたいという思いと、死なせたくないという女性の思いが結んだ奇跡の物語。

助けを求める鳴き声が聞こえたとき、どれだけの人が優しいこころと強い意思を持って動けるでしょうか。

たった一人ではむずかしくても、誰か共に行動してくれる人がいれば、人は勇気を持てる生き物だと思います。
運良く富士号は発見されましたが、今こうしている最中にも、誰にも発見されないままいのちを終えたり、不幸なめに遭っている犬たちがどこかにいるのです。

すべての悲劇を救うことはできませんが、せめて目の前で起こっていることには、手をさしのべてみませんか?
出来ることをする。それで救われるいのちもあります。

そして、一匹でも多くの犬の幸福を願うと共に、犬を苦しめる行いを決して許さないとつよく主張していきましょう。

ユーザーのコメント

  • 投稿者

    40代 女性 wan子

    富士号の後述談ですが、その後、保護主の女性は目が見えない為かウーと
    威嚇しブルブルと震えている全盲の犬も引き取りました。すると富士号は
    「怖がらなくても大丈夫だよ。」と言わんばかりに新入りワンコにやさしく
    寄り添ったり面倒を見てあげたりして次第に全盲犬も落ち着いてきて
    唸ることも怯えることもなくなったそうです。

    確か十数年位前の女性セブンか女性自身だかの週刊誌に、この様な記事が
    掲載されていて読んで感動した覚えがあります。やはり不幸な境遇の犬を
    見ると自分の事を思い出し放ってはおけなかったのでしょうね。
  • 投稿者

    30代 女性 mii

    先日図書館で見かけ途中まで読みましたが、感動してネットでさがしたしだいです。とても心ある方に助けられて良かったなと思う反面、こんなひどいことをする人間がいるということを知らせてくれた本だと思います。他にも捨て犬を二匹飼われてたようですが、手いっぱいと思わず迷わず迎え入れたことに感銘を受けました
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