犬の腹水の原因について

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犬の腹水の原因について

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愛犬の体調が悪そうなので動物病院に連れていくと「腹水がたまっている」と言われてしまった。何が原因で、どんな治療をするのか、治るのかなど色々気になることがありますよね。獣医師として飼い主さんに説明するのは当たり前のことですが、普段の診療ではゆっくり説明できない細かい内容についてわかりやすくまとめました。

記事の監修

山口大学農学部獣医学科卒業。山口県内の複数の動物病院勤務を経て、ふくふく動物病院開業。得意分野は皮膚病です。飼い主さまとペットの笑顔につながる診療を心がけています。

腹水とは

寝ている犬

動物病院で愛犬に「腹水が溜まっている」といわれたらどのような病気を覚悟したらよいのでしょうか。

獣医師として、飼い主さんになるべくわかりやすく説明しているつもりですが、病院では他の患者さんもいてなかなか時間がとれません。
そこで、今回は「腹水」について原因や治療など一般的なものについて解説しようと思います。

腹水ってなにですか?

腹水とは、字を見たとおり「お腹にある水」を指しています。
健康な状態のワンちゃんのお腹(胃腸がある場所)には、ほとんど腹水は溜まりません。

お腹にある臓器は、胃腸・膀胱・子宮など外部とつながっているものが多く、しっかり閉鎖されています。

それらの臓器が炎症を起こしたりした場合に、炎症部位に白血球を届ける役目を果たすのが腹水。炎症がおさまれば、自然と臓器の表面から吸収されてなくなっていくようにできています。

腹水があって困る理由

腹水がたまる症状が出る病気には色々なものがあります。内臓の炎症が原因となるものや、血液のバランスが崩れることで染み出して溜まってしまうものなどが一般的です。

腹水が溜まると愛犬にどのような症状がでるのでしょうか。

  • 急にお腹が太ったように膨らんできた
  • お腹が硬く張っている

飼い主さんが愛犬の腹水に気づくのはこのような症状に気付いたとき。

しかし、見た目に変化がでるということは腹水がかなり大量に溜まっている状態です。血液の一種である腹水がたくさん溜まるということは、心臓などにも負担がかかり、非常につらい状態であることを理解しておきましょう。

腹水の原因

腹水という症状についてお話してきました。腹水がたまりやすい病気には、いくつかあります。
その中でも愛犬に起こる可能性の高い病気について、原因・治療・予後について説明しましょう。

フィラリア症(犬糸状虫症)

蚊

毎年春になると、動物病院からフィラリア予防をおすすめされますよね。

最近のワンちゃんは、ほとんどがフィラリア予防をしてもらっているので珍しくなった病気ともいえます。しかし、厳然としてフィラリア症で亡くなるワンちゃんも存在しています。

フィラリアという寄生虫は、愛犬が蚊に刺されることで感染します。

顕微鏡で見ないと見えないような小さなフィラリアは、犬の体にはいると血液の流れにのって心臓に住み着きます。そこで、太さ2~3mm長さ20cmほどに成長します。

そのような状態になると、心臓のなかはフィラリアでギュウギュウ詰めになり心臓が血液を送り出すことができなくなってしまいます。

心臓がパワーダウンしてしまうと、体のすみにつねに血液がたまってむくんだような状態が続きます。手足がむくむように、お腹の中にも腹水がたまってしまうようになるのです。

この状態になると、心臓のトラブルと、腹水が溜まることでお腹が膨れて胸を圧迫して呼吸が苦しくなります。さらに腹水が溜まり過ぎて胃腸を圧迫し食事をとることが難しくなります。

フィラリアはいったん心臓に住み着いてしまうと、なかなか退治できない寄生虫です。フィラリア症で腹水が溜まった場合は、原因を治療するのではなく、対症療法で体の負担を和らげることを優先します。

心臓の機能をアシストする薬・体にたまった水分を外に出すための利尿剤を使います。非常に状態が悪く呼吸が苦しいワンちゃんの場合は、お腹に針を刺して腹水を注射器で抜き取る処置をすることもあります。

しかし腹水は、心臓が弱っていればすぐに溜まってくるため腹水を抜き取る処置はあくまでも応急処置です。フィラリア症で腹水が溜まる状態にあるワンちゃんは回復することは非常に少ないのが現実であることを知っておきましょう。

恐ろしいフィラリア症ですが、毎年春から初冬までお薬を使うことで予防できる病気です。腹水で苦しむワンちゃんを見るたびに「きちんと予防してほしい」と切実に思います。

心臓病

横たわるチワワ

小型犬の純血種のワンちゃんには、生まれつき心臓病を持っている子が増えているようですね。それだけでなく、昔より長生きするようになったため、老犬の心臓病も増える傾向にあります。

先ほどのフィラリア症の説明でも書いたように、心臓のポンプ機能が弱まると体のあちこちで、むくみが発生します。本来であれば、溜まることのない腹水が溜まるようになってしまうということですね。

この場合は、心臓の働きをアシストする薬と利尿剤を使い体に負担をかけないように治療していきます。

心臓の治療は、始めたらやめることはほとんどありません。少しでも悪化を防いで、心臓を長持ちさせるために投薬は欠かせないことを忘れないでくださいね。

肝臓のトラブル

太った犬

最近は、肥満症など現代病を患うワンちゃんも増えてきました。色々なものを食べたり、太り過ぎると肝臓への負担が高まり肝機能低下を起こすようになります。

肝機能が低下すると、白目や皮膚が黄色くなる黄疸症状がみられたり腹水が溜まったりします。

肝機能が低下することで、血液成分のバランスが取れなくなり腹水が溜まるのではないかと考えられています。この場合、肝機能が回復しないかぎり腹水はなくなりません。

人間でも同じですが、肝臓の治療はなかなか効果が低く結果が出づらい傾向があります。

肝臓のトラブルを避けるためには、普段からの体重コントロールがとても大切です。

腫瘍

人間でも犬でも、腫瘍の発生率は年々増加の傾向にあり、その理由は主に長寿化にあるようです。

昔は犬は精一杯生きても、5年で亡くなるワンちゃんが多かったのですが、予防や良質の食事・飼い主の意識の改善により10年以上生きるワンちゃんがどんどん増えています。

長寿になると、腫瘍の発生率はグンとあがります。腫瘍の種類は様々ありますが、腹部の腫瘍で腹水が溜まることが多いですね。

腫瘍は、体の細胞が言うことを聞かない状態になって出来るもの。どんどん増えたり、勝手に炎症をおこしたりすることで悪さをします。

また、お腹の中で炎症がおきると、腹水ができて白血球が炎症のある場所に集まろうとします。この場合の腹水は、あくまでも腫瘍に対して作られるものなので腫瘍を取らない限りなくなりません。

まとめ

子犬

腹水の原因と、治療についていろいろお話してきました。基本的に、腹水が溜まる状態というのはかなり悪いということですね。

治療で回復することもありますが、一般的に予後は非常に悪いと理解しておきましょう。

その反面、フィラリア症は薬で予防できる病気です。心臓病に関しても、初期で発見して薬で心臓の負担を抑えることは十分に可能です。どちらも、普段の健康診断が大事。

早めの発見・キチンと予防を続けることで愛犬を腹水からしっかり守ってあげたいですね。

▼犬の病気を症状や病名から調べる▼
犬の病気大辞典!知っておきたい基礎知識

ユーザーのコメント

  • 女性 Kae

    腹水、とても怖いですね。実は近所に住んでいるワンちゃん、太っているのですが、特にお腹の部分が気になるのです。お腹部分が膨らんでいてポッコリしていて、とても歩きにくそうなのです。もしかしたら単純に肥満かもしれませんが、この腹水の記事を読んでみたらこれにも各当しそうでかわいそうになりました。何事も「大丈夫!たんなる肥満だよ」なんてのんきに考えていたらいけませんね。もしかしたら肥満だけでは済まない問題があるかもしれません。フィラリアはとても恐ろしい病気ということは知っていましたが、蚊も本当に厄介者ですね。毎年夏になると愛犬の身の回りを特に気を付けています。また、心臓病や腫瘍ということも考えられるようですが、これらは進行が速いと思うので、日々のケアや定期的に健康診断に連れていくなどして予防していかないといけないと思います。
  • 40代 女性 こたママ

    昔飼っていた犬がまさにここに書かれているようにフィラリアにかかって腹水がたまっていました。今ほどフィラリア予防が浸透しておらず、かかったら治らないと思われていた時代なので仕方ないのですが、進行していく症状と弱っていく体を見て子供心にとてもつらかったのを覚えています。その犬もほぼ寝たきり状態になった頃、お腹がパンパンになっていて腹水がたまっていたのを覚えています。その状態になってからはそう長くなかったので、あれほどわかりやすく腹水の症状があらわれていたらかなり危険な状態ということなのでしょうね。その時代のフィラリア症については仕方ないにしても、今愛犬たちの腹水がたまり始めたりしたら、すぐに気が付いてあげられるのかとドキドキしてしまいます。
  • 40代 女性 かえで

     昔飼っていたわんちゃんが、三歳の頃に腹水がたまり治療していただきました。
     原因は、心臓病でした。生まれつきだったのですが、保護犬だったので治療が中断していました。利尿剤を、点滴してもらい様子をみました。
     しばらくして、尿が出るようになり1週間ほどした頃には、腹水はおさまっていました。
    運動も控えめではあるものの、歩くことはいいと言われたので毎日のウォーキングを日課にしました、機嫌よく歩いてくれるので安心しました。
     適度な運動に加えて食事も大切なので、カリカリのフードに、人参やキャベツを細かく切って、一緒に食べさせていました。
     ごはんもよく食べるようになり、おもちゃでも遊ぶようになったりと、手術の後の経過も良好でした。
     発作も起こさなくなり、最後まで腹水がたまることもありませんでした。
  • 女性 もふころ

    愛犬が心臓病を発病してから、肺に水が溜まっていないか、腹水がないか気にするようになりました。水をよく飲むので、体内の水分量が増えると咳が出やすくなります。それを目安にトイレに連れて行ったり、カリウムを含むものを少量取らせたりしています。利尿剤は体質的に合わないので、早期発見と予防第一です。
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