ふるさと納税とは
ふるさと納税 ポータルサイト
http://www.furusato-tax.jp/
- 納税した自治体の特産品が貰える!(納税額によりお礼の品が選べます)
- 自分が納税した税金の使用用途が事前にはっきりわかります。
- 節税になる!
「ふるさと納税は言い事づくめ」とはさすがに言い過ぎかもしれませんが、折々に、メリット面を派手に取り上げてワイドショー等で特集される事もあり、ふるさと納税の事は広く知られていると思います。
ふるさと納税は、地方間格差や過疎などによる税収の減少に悩む自治体に対して、格差是正を推進するための新構想として2008年に創設された制度です。2015年度からは、住民税のおよそ1割程度だった還付・控除額が2割程度に拡大したこと、また、寄附ごとの申請書を寄附自治体に郵送することで確定申告が不要となり(年間に5自治体まで)、より、利用しやすくなりました。どれぐらいお得なのかは、利用する方の事情(収入や獲得できるお礼の品への満足度等)が大きく影響しますので一概には言えませんが、ユニークな制度であることには違いありません。
広島県神石高原町にあるNPO法人ピースウィンズ・ジャパンが運営する「ピースワンコ・ジャパン」プロジェクトが、広島県神石高原町のサポートを受けて、ふるさと納税制度を利用した支援の呼びかけをはじめた事が話題になっています。
広島県神石高原町の取り組み
出典:神石高原町観光協会
http://jkougen.jp/kankou/
広島県神石高原町は殺処分0の町です。
広島県の中東部に位置する神石高原町(じんせきこうげんちょう)は、岡山県に接する概ね標高400~700mの高原地形に位置する町です。この、広島県神石高原町が殺処分0の町となったのは、この地に本拠地を置き、日本は元より世界各国にも活動を広げているNPO法人ピースウィンズ・ジャパンによる「ピースワンコ・ジャパン」プロジェクトの存在を無視しては語れないでしょう。
「ピースワンコ・ジャパン」プロジェクトとは?
NPO法人ピースウィンズ・ジャパンのプロジェクトのひとつで、殺処分を目前とした犬や遺棄された犬を引き取り、獣医師による健康管理やドッグトレーナーによるトレーニングを施し、新しい家庭を見つけたり、レスキュー犬として生きる犬達を育てています。本拠地である広島県神石高原町では殺処分0を既に達成しており、この流れをさらに広げようと活動を続けています。
左:殺処分が延期されたところ生後3〜4ヶ月頃の夢之丞(ゆめのすけ)
右:トレーニングの末、2014年の広島の土砂災害で活動中の夢之丞(ゆめのすけ)
広島県全体での殺処分の現状
広島県で殺処分された犬は、2011年度が2,342頭だったのが、2014年度が1,292頭(速報値)と殺処分0にはまだまだ遠いものの、確実に殺処分される犬は減っています。動物愛護法の改正によって自治体が犬・猫の引き取りを拒否できるようになったことに加え、広島県にあった独自制度「定時定点回収」の廃止が行われたこともあります。「定時定点回収」とは、決められた日時に不要な犬や猫を市役所や町役場に連れて行くと、県動物愛護センターの車が回収するという、まるでゴミ回収ともいえる制度です。
「ピースワンコ・ジャパン」プロジェクトをはじめ、多くの保護団体が団結することで、今年になって廃止されたそうですが、そんな制度が今年まで存在していたという情報には、愛犬家の皆さん、耳を疑いたくなりますよね。
保護犬舎を3倍の600頭規模に
話を少し戻します。
今回、広島県神石高原町・「ピースワンコ・ジャパン」プロジェクトのコンセプトは「保護犬舎を3倍の600頭規模にすることで、広島県全域の殺処分0を達成すること」目標金額は111,111,111円、この記事を書いている現在で、4%強の達成率です。なぜ、これだけの資金が必要なのか?また、保護犬舎を600頭規模にするのはなぜなのか?このプロジェクトの経緯、試算理由もしっかりまとめられていますので、ぜひご覧頂けたらと思います。
殺処分ゼロへ、保護犬舎を3倍の600頭規模に
http://www.furusato-tax.jp/gcf/48
まとめ
今回、記事をまとめるにあたり率直に感じたことは、広島県神石高原町・「ピースワンコ・ジャパン」プロジェクトが、なぜ純粋な募金やチャリティー、流行しているクラウドファンディングといった仕組みではなく、わざわざ「ふるさと納税」という仕組みを利用したのか?という事への疑問でした。
「ふるさと納税」が年々人気になっており、今年度は更に納税者にとって利用しやすい仕組みにもなっているとはいえ、「ふるさと納税」の目玉でもある「お礼の品」については、(乱暴な言い方ですが)、他自治体の企画とは随分と見劣りする内容です。でも、きっと・・・大切なのはそういう事ではないのでしょう。
ひとつは、知ってもらうこと。
インターネットの発展も手伝い、世の中、街の中には、たくさんの情報で溢れています。そんな中で、知ってもらいたい情報を伝えるのに、人気のコンテンツを利用するのは常套手段のひとつ。広島県神石高原町・「ピースワンコ・ジャパン」プロジェクトが「ふるさと納税」というコンテンツに参加することで、私自身もこのプロジェクトを知る事ができました。
ふたつめは、win-winの関係に注視されたこと。
日本人の美意識、国民性ともいえますが、募金やチャリティーには「無償」という意識、感覚が根強くあります。例えば、毎夏のチャリティ番組での出演者のギャラ、一部企画への痛烈な批判は年々強まる一方です。自身が寄付したお金は、全額、その対象者や目的に使われるべきであり、そのプロジェクトを動かすための人件費や流通にかかる費用は無償で当たり前じゃないの?という感覚です。
唐突ですが、ここで、ナイチンゲールに関する逸話を紹介します。ナイチンゲールといえば、裕福な家の子女に産まれたのに看護師を志し、クリミア戦争が勃発すると現地の病院に看護師を率いて従軍した「クリミアの天使」とも「ランプの貴公子」とも称される女性です。彼女は
- 構成員の自己犠牲のみに頼る援助活動は決して長続きしない
- 構成員の奉仕の精神にも頼るが、経済的援助なしにはそれも無力である
という事を悟り、ボランティアによる救護団体の常時組織の設立には真っ向から反対していました。後年、カトリック教会の修道尼として全世界に影響を及ぼしたマザー・テレサも、同様の悟りを得て、自身の心とは裏腹に、資金集めのために広告塔となることを厭わなかったといいます。心や気持ちといったものが原動力になる一方で、お金だって「色々な意味」で必要なのです。
その資金を得るために、少しづつ日本にも浸透してきている考え方・・「寄付してよかった」「納税してよかった」「参加してよかった」というメリットを目に見える形にすることで、少しでも多くの資金を得る、プロジェクトを継続させる原動力にしたい・・そんな判断があったからではないでしょうか?
殺処分という現状を聞くと、許せない!と憤りを感じるのは、愛犬家皆さんの共通の想いでしょう。では、そこから何ができるのか?「ピースワンコ・ジャパン」プロジェクトに参加するかどうかは別として、少しでも行動にできるキッカケがあるのなら、声に、行動に出してみませんか?
ユーザーのコメント
40代 女性 OKU
とてもすばらしいことですが、かなりの規模で頭数もたくさんいます。
なのに去勢を推奨されていません。。。
管理できるのでしょうか・・・
40代 女性 SUSU
普段、保護犬の悲惨な状況に心を痛めながらも、金銭的にも時間的にも自分が保護活動をする余裕などなく、活動をしている方々へ何か出来る機会があればと思っていました。
記事にあるように、保護活動は現実的にかなりの費用がかかると思います。
保護される犬や猫は状態の良い犬ばかりではなく、病気や飼育放棄でお手入れが必要な子の方が多いと思います。
病院代や薬、在宅医療代、トリミング代と、1頭引き出すだけでも莫大な費用がかかることもあるでしょう。
寄付だけではやっていけず、ふるさと納税に目をつけたことは良いことだと思います。
しかし、結果的に私は、ふるさと納税ではピースワンコは選びませんでした。
多くの保護団体は、保護動物達の避妊去勢手術を義務付けています。
これは、譲渡詐欺を防ぐためです。
悪徳ブリーダーと呼ばれる業者の中には、保護された中で比較的若く状態の良い子を引き取って、ブリーダー犬として使う目的で引き取るケースがあるそうです。
不幸な犬猫が多いなか、センターから引き出されるワンコは一握りです。やっと第二の犬生を踏み出すことが出来たのに、また悪徳ブリーダーに引き取られ、生めなくなるまで繁殖犬として過ごすといった悲劇を防ぐために、避妊、去勢手術を義務化しているのです。
ピースワンコジャパンでは、この手術を必須としておらず、批判の声もが上がっていました。
私が調べた時点では、団体からとくに納得のいくコメントがなかったため、ふるさと納税は見送りました。
ただ、最近、団体から避妊去勢手術に関して見解を発表しています。
団体によると、手術によるメリット、デメリットを総合的に判断した上で、手術の一律義務化はしていないとのことです。
シェルターでは繁殖をコントロールし、個体毎に年齢や健康状態を考慮して、必要であると判断した場合は手術を行うそうです。
譲渡後については、里親を十分に確認した上で譲渡しているそうで、ピースワンコジャパンは避妊去勢手術を一切しないといった批判は一部誤解のようでした。
私自身、保護される犬の中には、ハイシニアの子も多く、麻酔のリスクも高くなるため、そこまで一律に手術が必要なのかなと思ったこともあり、ピースワンコジャパンの意見には理解出来る点もあると思います。
ただ、譲渡後何年に渡っても確実に里親の実態を確認出来るのかは不確定であり、やはり不安はぬぐえません。
ただ、保護団体をここまで大きくし、知名度をあげたことは大変素晴らしいことであり、他の団体の存在もこの機会にたくさんの方に知ってもらえたらいいなと思っています。
今年度のふるさと納税先はまだ決定おらず、もう少し様子を見ながらゆっくりと決めたいと考えています。
40代 女性 こたママ