愛犬を失って得たものとは。わんぱぱの場合。

愛犬を失って得たものとは。わんぱぱの場合。

この古い一枚の写真が、僕のトレーナーとしてそしてリハビリストとしての原点なんです。そう、あの頃はまだ幼いただの無知な飼い主だったんです。大切なことをチコが教えてくれたんですよね。

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はじめに

チコの古い写真

僕は今ドッグトレーナーとして、そしてドッグリハビリストとしてご依頼を頂いています。

犬について様々なお悩みをお持ちの飼い主さんのメンタルサポートもさせて頂いているのですが、最近増えたのがペットロスのご相談ですね。

家族同然で最愛の愛犬を失った悲しみは深く、無力感、虚無感の中で苦しむ飼い主さんの気持ちは痛いほど解るのです。

僕もペットロスによって人生が変わった一人だからです。聞いて頂けますか?

生まれて初めて飼った、愛犬チコ

古い写真アップ

初めて飼った犬。名前はチコ。

雑種犬で可愛い女の子でした。子供の頃、犬が凄く欲しくて近所のおばさんの所に仔犬が生まれたと知り、母に頼み込んで「ちゃんと僕が面倒を見るから飼いたい!」と約束してやっとの思いで迎え入れたチコ。その日から僕のドッグライフは始まりました。

小学校に行く以外はいつも一緒。友達の家に行くのも自転車のカゴに乗せて行く程、一人っ子の僕には妹の様な存在そのものでした。

けど、いたずらっ子のチコにはいつもやられっぱなしでしたね。僕のお気に入りの物には殆どチコの歯形が付いていましたよ。

破壊された物も数しれず、新しいスニーカーはボロボロに、宝物だった阪神タイガースの帽子は破壊されヒサシがちぎられ無残な姿に。

ショックを受けそれを被って鏡に映った自分を見て、「これ中国の人が被る帽子やん!」と切なく涙したのを今でもはっきり憶えています。

「コラー!チコ!」と怒ろうとするのですが、まん丸のキラキラおめめで「どちたの〜♪?」と見つめられると何も言えなくなってしまいます。

当時子供でしつけのしの字も知らない僕でしたが、今想えば明らかに僕が弟でしたね。

タイガースの帽子

しかし幸運に恵まれていたのか、小学校の近くに警察犬訓練所がありそこの訓練士のおじさんと仲良くなって、よく話をする機会があったのです。

学校帰りシェパードを数匹連れて散歩している所に走って行って、

「おじさん、犬ってトイレはどうやって教えるの?」
「チコによく噛まれるんだけどどうやったらやめさせられる?」
「犬ってどうすれば喜ぶの?」

と質問すると、おじさんは「それはね♪」と、いろいろ教えてくれたんですよ。

本当にラッキーとしか言いようがない経験を、子供ながらにさせて頂きました。

おかげでチコとの信頼関係も良くなって、チコの悪戯も減っていき、それから後は「チコといて楽しい♪」しかありませんでしたね。本当に幸せでした。

チコとの別れ

後ろ向きのわんぱぱ

楽しいチコとの生活でしたが永遠に続くはずもなく、12年後ある日突然別れが訪れたのです。
僕は大人になり、チコは年老いた老犬になっていました。数日間調子が悪くほとんど歩くことも無くなっていました。

その日はいつも通り「チコ♪おやすみ♪」と頭を撫で、僕は自分の部屋に入りました。

翌朝目覚めた僕は、チコの様子を見るためとドアを開けようと押したのですが、いつもと違うグッと重みがあって、「ん?」と隙間から覗き込むと、そこには横たわったチコの姿が。

「おはよう♪どうしたチコ?」と声をかけたんですが反応が無い。嫌な予感に背筋にスーと何かが走り「チコ!チコ!」と抱き起そうとしました。

「うわー!チコー!」既に息絶えて…。

僕は取り乱しその後の事はあまり憶えていません。

仕事を休む訳にもいかず、どこに気持ちを持っていけばいいのかやるせない無力感に包まれていました。

「チコは最期に何を想って虹の橋を渡ったんだ?」
「寝床から部屋までの距離2m。あの状態での2mはチコにとって長いはず。僕に何かを伝えたかったのか?」そんなことばかり考えていました。
「もっとチコの事、犬の事に詳しかったらまた違う生涯を送らせてあげられたのでは」
「チコ。何もできなかったな俺。ごめんよ。」

その時から『犬の心理や犬の本質』をもっと知るために勉強したいと考えるようになったのです。

モノクロのわんぱぱ

そしてドッグトレーナーに

まだプロトレーナーではありませんでしたが犬の行動学や生態学、トレーニング教本を読み漁り、他の犬とも積極的に触れ合いました。

するとここでまた幸運が訪れます。保護犬シェルター施設に手伝いに来て欲しいとお話を頂いたのです。

そこから数年間ボランティアトレーナーとして、仕事終わりや休日にシェルターに足を運び数十匹の犬と取っ組み合い組んずほぐれず過ごしました。

噛まれたり体当たりされたりめちゃめちゃ楽しかったですねぇ。

この時の経験が今のトレーナーとしてリハビリストとして「犬の囁きを聞く」という理念が出来上がったのです。

シェルターに来る犬達は不幸な生い立ちを経てくる子が殆どです。

飼い主が無知なために起こる悲劇です。その子達をリハビリし新しいご家族の元に送り出すやり甲斐のある活動でしたが、犬を飼う側が犬の本質を理解していることで犬が本当に幸せになれるのだと確信しました。

それから暫くしてプロトレーナーとして犬と暮らす楽しさを説き、幸せな飼い主さんや幸せな犬が増える様今も頑張っています。

2つの幸運は偶然だったのでしょうか?僕は今チコと出逢った事自体が必然で、その後の出来事も必然だったのかなと思うのです。

バーニーズとわんぱぱ

チコが最期に何を言いたかったかは未だに判りません。でも報いる様に誓いました。

今もデスクに飾るチコの写真。

「私達犬のために力を貸してあげてね!」

いつも眺める度にチコに言われている様な気がします。

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