犬の鼻についての豆知識

犬の鼻についての豆知識

愛犬家の皆さんは犬の鼻についてどれほどご存知でしょうか?犬の鼻って実は犬の根源なんです。これを知ったら犬の凄さが解ります。また、短頭型(短口吻)などの犬の鼻の形の違いや、鼻が濡れている理由などについて紹介したいと思います。

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黒ラブとダックス

犬の鼻について

犬の鼻について、愛犬家の方なら人間より嗅覚が優れているとか、それなりの知識がおありかと思います。今回は犬の鼻の重要さや凄さを改めて再認識していただくために、あまり専門的ではなく、解りやすくお話ししようと思います。

僕はしつけに於いて、オーナー様や相談者の方等に犬の鼻のことをよくお話します。それほど犬の鼻のことを理解していないと、犬と暮らす上で支障をきたす程大切な知識なんです。

人は視覚に生き、犬は嗅覚に生きる

犬の本質を理解する上でこの「人は視覚に生き、犬は嗅覚に生きる」という言葉を頭に叩き込んで欲しいのです。

人は日常生活で本能的に眼で見た世界、視覚で色や形や状況を判断し情報収集し、危険か安全かとか美しいとか美しくないとか、はたまた美味しそうかそうでないかなどを決めますよね。

つまり視覚がメインで、次に嗅覚、聴覚という順序で物事を決めているのですが、犬は違うんですね。
そう!犬は嗅覚メインで聴覚、視覚という順序で物事を決めているのです。
むしろどちらかというと人間の真逆で、犬は視力が悪いので視覚についてはどうでもいいかも知れません。

だから犬の鼻の能力は、人間の視覚に匹敵するんですね。なのでそこを知って犬と接しないといけない訳です。

新しいおもちゃを買ってあげて「ほら〇〇ちゃん♪新しいおもちゃだよ~」とか、洋服を買って「ほらこれ可愛いでしょ~♪」とか「新しいオヤツだよ~」とパッケージを見せ、犬に語りかける飼い主さんをよく見かけますがこれは残念ながらあまり意味がありません。

正しくは何でも犬の鼻先に差し出すことです。情報提供してあげるんですね。

人も犬も物も先ず「犬に嗅がせてあげる」事が犬に対する礼儀なんですよ。

人は「百聞は一見にしかず!」ですが犬は「百聞は一嗅ぎにしかず!」です!

犬の鼻についての豆知識

ここでは少し犬の鼻の性能、ポテンシャルの高さをご説明しましょう。人の一億倍の嗅覚とかいうのはあなたもご存じでしょうからそういうのはやめときますね。

バーニーズ

犬にとって匂いは百科事典であり新聞紙でありインターネットなんです

人と犬の脳の違い

先ず匂いを処理する構造が大きく異なります。

人も犬もどちらの脳の下部にも二つの嗅球があるのですが、人の場合は小さな突起でしかないのに対して犬ははるかに大きいです。

人は約1,5グラムで、かたや中型犬の場合は約6グラムで人の4倍もあります。

犬の脳そのものの大きさは人の十分の一しかないので、それを計算に入れると、ナナ、ナント!犬の脳の中で、匂いの分析に関わる部分は人の40倍にもなるのです!

犬の鼻紋って知ってます?

犬の鼻をよく見てみると細かいシワや畝がある事が解りますね。この模様と鼻孔の輪郭で構成される鼻紋は人の指紋のように個体によって違うので、世界各地のケンネルクラブなどで個体を証明する確実な手段として浸透しています。

鼻紋を登録して行方不明になったり盗まれたりした犬を見つける手段としても用いられています。あなたの犬も鼻紋を採っておいてみては如何ですか?♪ただし、インクやペンキはダメですよ!食品着色剤を使ってください!

犬は匂いを嗅ぐとき息を止めている

犬は左右の鼻孔を別々に動かして匂いを嗅ぐことが出来ます。これは匂いがどの方向から来たのか探る事が出来るからです。

それにもまして呼吸するのとは別に、匂いを嗅ぐための特別な能力を備えているのです。

匂いの来た方向に向かって鼻を突きだしている時、犬は実際には呼吸を止めているんです!匂いを含んだ空気を鼻腔の中で封じ込め分析しているんですね。

これはあなたも見た事があるんじゃないですか?「ハァハァハァ……。ハァハァハァハァ……。」と途中でマズルを閉じて一瞬パンティングが止まるでしょ。そのとき息を止めて集中し、匂いを確認しているんです。

シーズーアップ

犬の鼻が濡れていると健康な証拠?

昔よく近所のおじさんが家の犬をみて「おっ!鼻が濡れてるなぁ。元気な犬やなぁ」と言われた記憶があります。

「へぇーそうなんやぁ」と当時は思ってました。今思えばそれもあながち間違いではないのですが、もっとほかにも理由があったんですね。

それは、犬の鼻には、たくさんの粘液分泌腺があるからなんですね。

その目的は、濡らした状態で匂い分子を吸着しやすくするためなんです。そして嗅ぎたい欲求が高まってくると自分で鼻を舐めて補ったり知るんです。犬種によっては粘液が多すぎてよだれと間違われる犬がいるくらいです。平均的サイズの犬で1日約0,5リットルを分泌するという報告もあります。

犬の嗅細胞は人間の50倍!

犬が匂いを含んだ空気を溜める部分を鼻甲介というのですが、内壁はヒダ状で分厚いスポンジ状の膜が覆っています。

ここで匂い分子をキープする訳です。透明なプラスチック管に煙が入っているのをイメージしてみてください。分かり易いですか?人の場合この内側部分の表面積が切切手1枚程度に対して犬の表面積はハガキより大きいのです。残念ながら短吻種のペキニーズやパグなどはこの面積がかなり小さいです。

嗅細胞ランキング
  • ブラッドハウンド・・・・・3億個
  • ジャーマンシェパード・・・2億2500万個
  • フォックステリア・・・・・1億4700万個
  • ダックスフンド・・・・・・1億2500万個
  • 人間・・・・・・・・・・・500万個

いや~参りました。

犬の鼻の性能のすごさは解って頂けたかと思います。そりゃ人間は犬の事を頼りにしますよね。

犬のお仕事アレコレ

  • 麻薬探知犬…言わずと知れた空港などでご活躍ですね。
  • 警察犬…代表的ですよね
  • DVD探知犬…海賊版DVDなどを空港などで探知。
  • 放火探知犬…ガソリンや灯油を嗅ぎ分ける犬達。
  • 癌探知犬…がん細胞を嗅ぎ分ける犬達。これも最近注目されていますね。
  • 遺体探知犬…天災や災害地、殺人事件の現場などで活躍。溺死や水底に沈んだ遺体も見つけ出します。
  • シロアリ探知犬…シロアリのフェロモンを探知。アメリカなどで活躍中。まだ日本にはいないかな。
  • ハブ探知犬…文字通りハブ取犬ですが現在は育成してるとかしてないとか。
  • トリュフ探知犬…これも文字通りですね。プードルが活躍中!

その他、トコジラミ探知犬、考古学犬などなど 日本どころか世界中でお仕事をしている犬達に最敬礼です。

シーズー

いろんな犬の鼻

鼻の種類についてはそんなにたくさんありませんので短めに。犬の口吻部、マズルの形は三種類あります。

長頭型(長口吻)

グレイハウンド、ボルゾイ、ジャーマンシェパードなどマズルが長い犬種ですね。マズルが長い方が鼻腔や嗅上皮の面積が広く嗅覚が優れていると言われています。

中頭型(標準的口吻)

ジャックラッセルテリア、柴犬、秋田犬など多種多様な犬種ですね。ストップが確認出来るので見分けやすいですね。

短頭型(短口吻)

俗に言う鼻べちゃ犬ですね。パグ、フレンチブルドッグ、ボストンテリア、シーズー、狆など愛くるしい顔立ちが多い犬種ですね。鼻が短いため呼吸による体温調節が苦手です。ブーブーイビキが特徴ですね。

シーズーとチワワ

まとめ

冒頭でもお話した、「犬は嗅覚に生きる」ということをお分かり頂けたでしょうか。

補足的なことですが僕は「セントトレーニング」という、犬の鼻を使ったトレーニングを推奨しています。実際に現場でもよくやります。

地面や床の匂いを嗅ぎながら探索する「トラッキング」とエアセンティング(空気中に漂う匂い)でターゲットを探索する「トレイリング」があります。

ここでは詳しく説明しませんが犬が鼻を使って嗅ぐ探索本能を満たし、集中力を高めるので脳に適度の疲労感を与えるので、犬にとってストレス発散にはもってこいのトレーニングです。

飼い主さんの都合であまり散歩に行けない場合など、室内で出来るのでとても有効です。知りたい方はググりましょうね♪

犬へのアプローチのポイントが鼻だと解れば、これから犬とのコミュニケーション力アップに大きなヒントとなる筈です。

あなたが犬の本質を知り、ますます犬との信頼関係を深め、楽しいドッグライフを過ごして頂けたらこんなに素晴らしいことはありませんよね♪

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ユーザーのコメント

  • 投稿者

    30代 女性 MAI

    記事を読んで、「人は視覚から、犬は嗅覚から・・・」というのはとてもよく理解出来ました。散歩中も、様々なニオイをチェックしながら歩くのがお仕事のようです。
    また、犬の脳の匂いに関する部分が人の40倍もあるというのにはビックリしました。そんな能力を実際に使って様々な探知犬が活躍しているというのも納得でした。
  • 投稿者

    20代 女性 なっちゃん

    犬の鼻って、すごく遠いところの匂いや、かすかな匂いも探知できるというのはよくききますよね?。うちのわんちゃんも鋭い探知力です…参ります。どこにあったの!?というところから落ちていたドックフードを見つけ出してきます。
    フードも、味より匂いで反応しているようで、匂いの強いものを好むのも鼻で情報を得ているからなのですね!納得です。
  • 投稿者

    40代 女性 こみゃこ

    我が家の愛犬は、2年前に目が見えなくなりました。それ以来、犬は視覚じゃないと実感しています。見えなくなってさらに、臭いについて敏感になったのか、臭いに執着して、地面の臭いを猟犬のように嗅ぎながら前を確かめながら散歩するようになったと思います。家の中でも、嗅ぎながら歩いていることもあります。
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