犬がくわえているものを離さないリスク
ほんの一瞬、愛犬から目を離したすきに、「犬がくわえてはいけないものを口にしていた」ということは、多くの飼い主さんに一度は経験があると思います。もちろん、くわえて離さないものが愛犬自身のオモチャであれば、それほど問題はありませんが、お散歩中、またご自宅内でも犬が口にすると危険なものは多くありますよね。
誤飲により体調不良を起こす危険も
屋外であれば毒性のあるものや、鋭利なもの、犬が誤って食べしまうと中毒症状を起こしてしまう食品もあります。室内でも、飼い主さんが大切にしているものを離してくれないのであれば、破壊されてしまうこともあるでしょうし、口の中にすっぽり入ってしまうサイズのものは誤飲に繋がってしまう危険性もあります。大型犬は大量の靴下やゴルフボールほどのサイズのオモチャでも飲み込むことができてしまうのです。
犬がくわえているものは「大切なもの」
犬が口にものをくわえること自体は、実はごく自然な行為。私たちが手でものに触れるのと同じような感覚があるようです。初めて見るものであれば、ニオイを嗅いで確認し、好みのものは口にくわえて走り回ることもあります。
犬にとって口でくわえているものは「自分自身の大切なもの」になっていることが多く、口から離したくないのは当然の感覚。無理に取り上げようとしても上手くいかず、余計に一生懸命力を入れて取られないように噛みしめると思います。
飼い主さんが無理やり取り上げようとすると、焦った愛犬がくわえているものを飲み込んでしまったり、飼い主さんを噛んでしまったりする危険性があります。そして「大切なものを奪う人」として飼い主さんを見てしまうので、信頼関係も築きづらくなります。互いにとって安全で良好な関係を保てる対処法で離してもらいましょう。
犬がくわえているものを離さないときの対処法
基本的には「離せ」のしつけを強化しておくのが一番です。飼い主さんのコマンドで、口にしているものを離すしつけになります。誤飲を未然に防ぐためにももちろんですが、興奮して長時間オモチャを噛み続けているときや、人の洋服に噛みついて離そうとしないときにも役立つしつけになります。
「離せ」の教え方
愛犬とは毎日少しでも遊ぶ時間があると思います。日常的に遊んでいるときにトレーニングをするのがオススメ。飼い主さんと引っ張りっこ遊びをするのが好きな子が多いと思いますが、そのさい、「離せ」や「ちょうだい」のコマンドで指示をして練習しましょう。
使用するオモチャは安全なものであれば何でも大丈夫です。「遊ぼう」とお誘いに来ないタイプのワンちゃんであれば、お気に入りのオモチャをわざとそばに置いておきましょう。
愛犬がオモチャに興味をもって口にくわえて遊び始めたら、「離せ」や「ちょうだい」の言葉による指示を出しながらオヤツを見せます。愛犬はオヤツを食べるために口にしていたオモチャを離すはずです。オモチャを離したら、オヤツを与えてしっかり褒めてあげましょう。
このトレーニングを何度か繰り返すうちに「離せ」や「ちょうだい」の声掛けだけで、口にくわえているものを離すようになるはずです。自宅の中で上手にできるようになったら、お散歩中に公園などで試してみるのもオススメです。落ち着くことができる室内では上手にできても、屋外に出ると、途端にトレーニングの成果が出なくなる子も少なくありません。お散歩中の誤飲防止のためにも屋外でも練習してみましょう。
「離せ」を覚えていない犬の対処法
「離せ」のトレーニング中で習得していない犬が危険なものを口にくわえてしまった場合、飼い主としては思わず口に手を入れて取り出したくなると思います。やむを得ない状況もあるかもしれませんが、上記に書いた通り、噛まれる、飲み込んでしまう、関係性が悪くなるなどのリスクがあります。
一時しのぎの方法にはなりますが、もしも愛犬が危険なものをくわえてしまった場合、オヤツやフードなどを愛犬の目の前に数十粒ばら撒いてください。食べたいがために口にくわえているものを離してくれる子が多いようです。
どんなシチュエーションで何を口にしてしまったのか、飼い主さんがしっかり記憶しておき、次に同じことが起きないよう気を付けて過ごしましょう。また、「離せ」のトレーニングもしっかり覚えるまで引き続き継続しましょうね。
まとめ
犬が全く離してくれないほどくわえているものは、犬にとって好きなものや大切なものであることが多いです。無理やり奪い取るのではなく、ご褒美となるオヤツと交換してもらうしつけを覚えてもらうのが一番ですね。
また、口にくわえると危険なものは、室内であれば徹底的に片付ける、散歩中であれば愛犬の前方に落ちているものはないか、飼い主さんの目で見てしっかり確認して口にするのを防いであげましょう。