犬の前立腺肥大症の正しい知識~症状から治療法まで~

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犬の前立腺肥大症の正しい知識~症状から治療法まで~

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人にも犬にもみられる、前立腺肥大症。具体的にはどのような病気でしょうか。病気になった時、治療方法は外科手術しかないのでしょうか? 前立腺肥大症の症状から治療法まで詳しく解説します。

記事の監修

山口大学農学部獣医学科卒業。山口県内の複数の動物病院勤務を経て、ふくふく動物病院開業。得意分野は皮膚病です。飼い主さまとペットの笑顔につながる診療を心がけています。

犬の前立腺肥大症の概要

元気のない犬

前立腺肥大症とは

オスの生殖器の一つ、前立腺が肥大してしまう病気です。

この病気は、全犬種において、去勢していない高齢のオス(6歳以上~)に見受けられます。

現時点では、前立腺肥大症になってしまう原因は明らかになっておらず、一説では遺伝によるものや生活習慣(主に食生活)による影響もあるのではないかと言われています。徐々に前立線が肥大していき、その結果、周りの臓器を圧迫し、様々な障害を引き起こします。

圧迫によって影響が出る器官は、主に前立腺の前にある膀胱とその上にある直腸です。

膀胱の場合、圧迫されることにより、膀胱炎、膀胱炎から腎臓の疾患にもつがなる恐れがあります。

直腸の場合、圧迫されることで結腸閉鎖といって、便の通り道がブロックされた状態になり、様々な合併症につながる恐れがあります。直腸内に溜まっていった排泄物が行き場を失いその結果、腸壁が袋状に膨れ上がり破裂寸前になったという例も存在します。この時も、一か月近く便の出が悪かったという症状が表れていました。

影響が出た場合、特に「いのちに関わる病気」と言われるのは、膀胱と直腸が圧迫された事による「合併症」の恐れです。

前立腺の働き

ではまず、前立腺とは生殖器の中でどういう働きをするのでしょうか。

前立腺では前立腺液を作ります。

精巣(睾丸)で作られた精子と全立線で作られた前立腺液が合わさり精子が作られます。

そのため、精子の生産にはなくてはならない、とても重要な臓器なのです。

主な症状

血液

前立腺の肥大はあまり自覚症状がないため、早期発見が難しいと言われています。

また、時間をかけて少しずつ大きくなっていく事が多く、見た目で判断する事も難しい病気です。

このため、すでに肥大しきってしまった時には、すでに他の臓器に影響を及ぼしていることも多くその症状ではじめて判明する場合が多いようです。

その時の症状、

  • 血尿
    →膀胱炎を引き起こしている可能性
  • 尿の量が減る/頻尿になる→膀胱炎を引き起こしている可能性
  • 便秘
    →腸が圧迫されて結腸閉鎖を起こしている可能性
  • しっかり踏ん張っても便がでない(しぶり)
    →腸が圧迫されて結腸閉鎖を起こしている可能性
  • 嘔吐
    →腸が圧迫されて腸閉塞に似た状態を起こしている可能性

原因

一般的には年齢を重ねることで、精巣のホルモンの分泌が通常でなくなるため、その影響を受けて肥大していくと考えられています。

精巣は男性ホルモンと女性ホルモンが作られていますが、その中でも男性ホルモンの分泌量が大きく関わっていると言われます。

もう一つは何らかの腫瘍が原因とも言われています。

生まれた時から肥大傾向の時もあります。

予防と対策

一般的には前立腺が肥大する前に、去勢(精巣の摘出)することで未然に防げると言われています。

また、動物病院に行く時などにレントゲンをとってもらうことも早期発見につながります。定期的な健康診断も早期発見のカギになるでしょう。他にも、血尿があるかどうか、便秘気味ではないかなど日頃の健康状態に気を付けることも大事です。

治療方法

お薬と医療道具

内科

手術は全身麻酔になるので、麻酔ができない犬の場合、また交配の予定がある場合は、薬でホルモンバランスを調整していくことになります。

ここは残念なところですが、薬を止めると肥大してくる可能性もあるそうです。

獣医師の指示のもと、経過観察として薬を止めることも可能かもしれません。

軽度の場合、手術ではなく、ホルモン剤で前立腺肥大が収縮していきます。

人にはハーブ系の治療薬もあるといいますが、犬の場合の安全性と効果のほどは分りません。

外科

犬種にもよりますが、およそ1歳以降から去勢手術が行なえると言われています。

(小型はもう少し早く可能な様です) 外科手術は半永久的に効果があると言われています。

しかし、交配の予定がある場合、また全身麻酔ができない犬の場合、手術はしません。

またドッグショーに出場予定の場合もしません。

メリットは、前立腺肥大症の予防と治療ができることです。

デメリットは、麻酔による事故が0%ではないことです。

前立腺肥大症は年齢と比例して発症しやすい病気です。手術は全身麻酔になるため、老犬になるとリスクが高まり手術が行えなくなります。交配の予定がない場合は早めに行う必要があります。

去勢(精巣の摘出)

多くの場合、去勢の影響から前立腺の肥大が収縮すると言われます。手術後、早くて数週間~2か月後にはだいぶ改善されます。去勢手術をしたことで変わる大きな変化は、今までと同じ食事を続けていると肥満になりやすいことです。

生活していく上で自然と使われていたエネルギーが、去勢したことにより消費されなくなり、余分なエネルギーが蓄積され、結果体重の増加につながってしまいます。去勢手術後の食事の管理はとても重要です。

前立腺の摘出

かなり進行していた場合や前立腺腫瘍などが見つかった場合は、直接に前立腺を摘出する場合もあります。ただ、大半は去勢手術で改善されていくので、前立腺摘出手術まで行うことはそう滅多にありません。

難易度の高い手術と言われています。

▼犬の病気を症状や病名から調べる▼
犬の病気大辞典!知っておきたい基礎知識

ユーザーのコメント

  • 40代 女性 りりこ

    我が家のワンチャンも男の子なので、どんな病気か興味深く読ませてもらいました。
    愛犬は一応去勢済みの子なので、前立腺肥大にはならないことがわかり安心しました。
    でも記事によると、危険な病気にも関わらず意外と発見しずらい病気で、気がついた時は他の臓器を圧迫して弊害がすでに生じていることがよくあるようですね。怖い病気なんだとわかり去勢しておいて正解だったなと思いました。
  • 50代以上 女性 さきこ

    我が家の愛犬は去勢手術をしているので、前立腺肥大症にかかる確率は低いとは思います。
    ですが、今後の為にも他人事だとは思わず読んでみました。去勢していない雄のワンちゃん達にとっては、最悪生命を脅かされかねない病気なんですね。怖いですね。。。もし去勢していないワンちゃんを飼っている場合、定期健康診断のついでにX線写真を撮って肥大の有無を確認するよると安心ですよね。
    やはり、このような病気は万が一の場合にそなえ、早期発見・治療が重要だと再認識しました。
  • 20代 女性 ゆん

    記事のように前立腺由来の病気は未去勢雄に多く、また、前立腺の病気にかかった時にいざ前立腺の外科的摘出をするとなると、かなり困難を極めます。
    前立腺肥大による排尿、排便の問題や前立腺自体の炎症、腫瘍化などの疾患では発見が遅れると犬が亡くなるケースも少なくありません。
    睾丸が左右とも腹腔内から皮膚の方に降りてくる6~8ヶ月齢には去勢手術は可能ですから、子供を産ませる予定がなければ、生殖器の病気の予防として、早期の去勢手術をおすすめします。
  • 50代以上 女性 匿名

    家のわんこは、二週間前に、血尿に気付き、日曜日だったので、開いている、病院で、応急で処方して、2回目の受診で、新人❓の先生で、病名もアヤフヤ?不安になって、かかりつけの先生にみてもらいました。やはりベテランの先生です。検査も、レントゲンの説明も的確でした。前立腺肥大で、10倍腫れて、投薬で、観察中です。家のわんこは6ヶ月で、去勢してます現在9才。確立は少ないけど、老犬は、感染して腫れて肥大するそうです
  • 30代 女性 38moto

    前立腺肥大症は特定の大型犬のオス犬だけに出るものだと思っていました。そう思い油断していたら、愛犬シー・ズーにも症状が出てしまいました。7歳の時でした。症状の最初は少し便秘気味かな?から始まり、尿に赤い色が混じるようになりました。これはよく見ないとわからないくらいの血尿だったので、その時はあまり気にしませんでした。

    昔からあまり水を取らない子だったので、夏の暑い日は脱水症状も心配でしたが、気が付くとトイレの数が減っていておかしいなと思い始めた時、血尿がほぼ血だけになってしまい、焦って病院に連れて行きました。
    血尿の原因は結石でしたが、その際に前立腺肥大症も指摘されました。どちらも同時に症状が表れてしまったので判断が難しいと言われましたが、この時の治療は利尿剤とpH調整の療法食で様子見になりました。それから症状が落ち着いたので失念していた時、震災のストレスからヘルニアになり、去勢と手術が必要になってしまいました。

    前立腺肥大症は放置してしまうとヘルニアを引き起こしてしまうことがあり、とても危険です。歳を取ってからの手術となると麻酔のリスクが高くなってしまいます。早いうちから食事療法やホルモン剤投与などで予防をするか、去勢手術を行っておくと老後も安心できると思います。
  • 40代 女性 ぽち

    前立腺肥大症という病気は聞いたことはありましたが、詳しくは知りませんでした。
    この病気の症状の便秘やおう吐をしたとき、どのくらいの飼い主さんが前立腺肥大症を疑うことでしょうか。
    愛犬のかかり得る病気と症状の知識をつけておくことは飼い主さんにとって、とても大切だと思います。
    そのほかに症状のひとつとして、直腸が圧迫されるため便の形が細くなったり、平らになるなどの排便異常もみられるそうです。
    そして再度去勢や定期健診の重要さを改めて気づかされます。

    わたしの愛犬は男の子で去勢してますが、父親犬はショードッグです。
    ブリーダーさんからお譲りいただいたのですが、その方は何代も犬をショーに出場させています。そのため飼い主さんが犬をドッグショーに出すために去勢をしないということなどを考えると、とても複雑な思いです。
    とくに男の子の場合は去勢手術により前立腺肥大や精巣腫瘍といった病気を防ぐことができるのですから。
    去勢手術に最適とされる生後6ヶ月前後の時に、去勢をするかどうかの判断で今後の生き方が変わることもあります。責任を持って慎重に考えなければいけません。
    犬にとって一番幸せな生き方をしてもらいたいですね。
  • 50代以上 女性 コスモス

    我が愛犬は今、2歳です
    去勢はしていません。病気になるかならないかは、賭けですが…
    去勢のメリット。デメリットを
    考えているうちに、時期を逃してしまった感があります。
    もし、最悪の結果に為ったら
  • 40代 女性 みー

    2歳なんてまだまだ遅くありません。
    私の愛犬は現在13歳、前立腺肥大と診断されました。
    去勢手術をできればいいのですが、高齢の為全身麻酔のリスクがあまりに大きすぎて手術はしない方向で行こうと思っています。
    でもまだ7歳ぐらいだったら絶対に間違いなく去勢手術を受けます。
    去勢は若いころに済ませてい置くのが後で後悔しなくていいと思います。
    私は後悔しています。
  • 30代 女性 テンのかーちゃん

    他の方のコメントを見て、やっぱり去勢手術を受けさせようと決意しました!
    うちは主人の「オスの本能を取っちゃうなんてかわいそうだ!」というわけのわからない理由で手術を先延ばしにしていましたが、私はもともと受けさせたいと思っていたのでもう一度主人にきちんと説明しようと思います。
    前立腺肥大の具体的な症状や治療についても説明して、去勢手術の必要性をわかってもらおうと思います!
  • 女性 くるみ

    先代のオスの犬は、生後6カ月で去勢手術を行いました。
    ちょっと凶暴な性格をしていたので、早めの去勢をとのアドバイスで早かったのですが、病気の予防と言う意味では良かったのかも知れません。病気もせず、眠るように最後は亡くなりました。
  • 30代 女性 ハッピー

    うちの子も前立腺肥大症を予防する意味でも去勢を行いました。手術の危険や去勢による変化は正直気になる点ではありましたが、前立腺肥大症のリスクを考えるとやはり去勢するほうが良いかなと思います。腫れてしまうと併発する病気もあるみたいなので、もし去勢しないなら十分注意して上げたほうが良さそうですね。
  • 女性 ゴン吉

    うちの愛犬は前立腺肥大に尿路結石、ヘルニア、腸内に臓器が圧迫するなど一気に色々発症してしまいました。
    高齢になってからでは手術も難しいので、子犬を考えていないのであれば早いうちに去勢手術はしておいた方がいいと思います。
  • 40代 女性 ミン

    3歳のオスです。小さい時に去勢手術をしていなかった為か数日前からの血尿で 昨日、病院に行って来たところ 前立腺肥大と尿路結石が見つかりました。
    病院では手術を薦められているのですが、食事療法と薬でなんとかならないか 迷っているところです。
  • 50代以上 女性 わんこのおかあさん

    うちのワンコは、停留睾丸で生後半年経過しても、体重が1Kgに満たなかった為、1年以上、経過して、全ての条件が整ってからの手術になりました。

    しかし、麻酔を導入中にチアノーゼを起こし、命に危険が生じた為、中止しました。
    術前検査では、何の異常もなかったことから、主治医の先生から、命をかけてまでする手術ではないので・・・と説明を受け、現在に至っています。

    現在、4歳ですが、若くして前立腺肥大に悩まされています。念のため、ほかの医療機関にもかかりましたが、投薬で何とかなるのだから、と言われ、更に、あれでも無理してまで手術する獣医師がいるかもしれないので、これ以上、ほかの医療機関に行かない方がいいとも・・・

    かかりつけの先生も、こちらの先生もとても良心的な良い先生で感謝の言葉しかありません。今後も、愛犬の為に、うまく病気と向かい合っていきたいと思っています。
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