犬のしつけでやるべきこと~ 基本から裏技まで~

犬のしつけでやるべきこと~ 基本から裏技まで~

あなたは「犬のしつけの意味は?」と問われたらなんと答えますか?僕はこう答えます。「人と犬とが幸せに暮らすための、お互いのルール作りです」と。何言ってんの?と思われたあなた!ちょっと聞いてください。

グレートデン

犬のしつけは飼い主の責任です


愛犬家の皆さんもよくご存知の通り、犬のしつけは当然犬を飼う飼い主の責任です。

僕がご相談やカウンセリングなどの現場で、
「あなたは犬にしつけが出来ていると思いますか?」と問うといつも、「しつけは出来ていません。中々言う事を聞いてくれませんから。でも頑張ってしつけようと努力しています」
という返答が返ってきます。

犬のしつけという言葉自体は知っているけれど、実際にはどうしていいか判らないという方が圧倒的に多いですね。

また、本やネットの情報を読んだり、いろいろな方法を試してみたけれど、上手くいかなかったという方。

それは犬の本質を知らないからで、犬の本質を知れば自ずと対処する方法が見出せます

なぜ犬にしつけが必要なのか?

犬も人間も同じですが、特に犬は「人社会で生活する上での最低限のルールを教える」ということが必要になります。

これは、警察犬や盲導犬レベルのトレーニングではなく、家庭犬としてという意味だとご理解ください。

そう、
「人を咬んではいけない」
「吠えてはいけない」
「興奮してはいけない」
「所構わず排泄してはいけない」などですね。

また、しつけが出来ていないと万が一リードが壊れて外れた時、飼い主の「マテ」「ステイ」の制止を無視し、急に道路に飛び出す可能性や、人に飛び付き咬んでしまうなど、人に危害を加えたり犬の命の危険も伴う場合もあります。

そして何より僕がこだわるのは近隣や地域の方たちから愛される事です。

「あら〜○○ちゃん♪今日もお利口にお散歩してるんだねぇ」
と声を掛けてもらえる事、近隣の方たちから、
「あの子はしつけがちゃんと出来ているから大丈夫だし安全なの♪』
と思ってもらえる事がどれほど飼い主として誇りであり嬉しいことでしょう。

世の中には、犬が嫌いな人や苦手な人の方が、犬を飼っている人より圧倒的に多いことも頭の中にしっかり覚えておくことも大切ですね。

ドーベルマン

しつけの基本について


犬のしつけの方法論は他の素晴らしい記事や、著名なイアン・ダンバー博士やスタンレー・コレン先生の書籍やアメリカのドッグトレーナー、ジーン・ドナルドソン女史の書籍がありますのでそちらを参照して頂くとして、僕はリハビリストの得意分野、つまり「犬の心理状態」という角度からアプローチしたいと思います。

どうしてあなたのやり方で犬にしつけが入らないのか

僕は常々オーナー様に言うことがあります。

「犬のしつけを入れる前にやるべきことがあります。それがクリアできていない限りしつけはいくらやっても入りません。それは犬の概念から理解しないと無理なのです。頑張れば頑張るほどむしろあなたに不信感を抱くだけです」
と。

そうです、僕が最も重要視するのが『犬との信頼関係』です。

「そんなの解ってるわ!」とお叱りを受けるかも知れません。
この言葉も皆さんによくご存知の言葉だと思います。

そして犬との信頼関係は出来ていると思っているオーナー様が殆どなのです。

でもその肝心の愛犬は言うことを聞かない、自由奔放に振る舞う。
これは明らかに飼い主をあまり信頼していないからなのです。

こう言うと、いつも気不味い空気になりますが致し方ありません。

ご理解頂けない限り犬との信頼関係は出来ぬまま犬が生涯を終えてしまう可能性もあるのです。

犬との信頼関係が出来ていないとどうなる?

信頼関係と一言で言ってもレベルがあります。

混同しやすい「仲間意識」というのもありますがこれは信頼関係以前の全くの別物です。

ではそのレベルにはどのようなものがあるかというと、顔と名前は知っているクラスメートや同僚の様な、「低レベル」から、何でも打ち明けられて常に行動を共にし、尊敬に値する親友の様な「高レベル」まであります。

本当に信頼し合えるといえば、やはり親友レベルでしょう。

しかし犬からクラスメートレベルぐらい、いやなんの信頼もない方もおられます。

残念なことにこれは犬の概念に起因します。つまり人間に有って犬に無い概念。それは「平等」という概念です。

人間は犬と同じ群れ社会の動物ですが、進化の過程で「みんな平等で仲良くしよう」という概念が生まれました。

しかし犬は未だに相手に対し、自分との優劣をつけてしまうのです。

僕はここが一番人間側が勘違いしてしまうポイントだと考えます。

可愛いから愛らしいからという人間的愛情表現は犬にとって「弱い者」というイメージがあり、「弱者は信頼出来ない」という心理になるのです。 飼い主を信頼、信じて頼ることが出来ないのです。

これはファーストインプレッションで定着する事が多く「私が優位」と認識させると後々持続してしまうのです。

だから犬を迎えるにあたって最も重要な部分でもあるのです。

信頼関係が出来ていない時の犬の心理は

ここはとても重要な部分で、少し重くなりますがお付き合いくださいね。

犬が、飼い主との信頼関係が無い、もしくは飼い主の方が下位者だと認識している場合、心理状態は「エス(es)」なのです。

この「エス(es)」とは心理学用語で無意識を意味し、生まれて間もない赤ちゃんのように本能的欲求をひたすら満足させようとする心理状態をいいます。

つまり犬の本能の赴くままに振る舞ってしまう。

吠える、威嚇する、咬む、興奮する、マーキングをするなど、犬の「本能のまま」の振る舞いなのです。

しかし飼い主との信頼関係を築くことで犬の心理の中で変化を起こすことができます。

飼い主との信頼関係が出来た後の変化

犬は我々人間同様群れ社会の動物です。

我々と同じ倫理観や道徳心を本能の中に持っています。

つまり飼い主を信頼すると「エス(es)」の状態から徐々に覚醒され「自我(ego)」へ、そして心身の成長と共に倫理観を持つ「超自我(superego)」へ移行します。

しつけを何もせず犬を育てていく成長過程でもこの心理移行はあるのですが、「エス」のままの行動を正しいと認識したまま、超自我まで移行してしまうと傍若無人で犬の本能むき出しの大人になってしまいます。

だからしつけや教育というのは人間と同じぐらい大切なのです。

犬も人間同様に感情があり人間以上に規律を重んじる性質を持っています。

犬を侮ってはいけません。

我々人間が敵わない能力を持ち合わせているのです。

信頼関係の構築

しつける前に信頼関係の構築に全力を注ぐことで、犬はあなたを注目し一目を置くようになります。

そしてあなたを尊敬に値するリーダーだと認識するとこんなことが起こるでしょう。

あなたの嫌がる行為をしなくなります。

そう「吠えてほしくないなぁ」「おとなしくしてほしいなぁ」「そこにマーキングしてほしくないなぁ」というあなたの気持ちを理解しようと懸命になってくれるのです。

僕たちも好きになった人に嫌われたくないと思う感情と同じかもしれませんね。

逆にどうでもいい相手にはどう思われてもいいですもんね。

信頼を得る適切な時期ってあるの?

理想としてはパピーの社会化期、8週齢から12週齢で始めるのが一番だと思います。

犬が最も知識を吸収する時期なので、群れを認識させ信頼関係を作るには適しています。

しかし成犬を里親で迎えても、シニアで迎えても信頼関係を作る事は可能だと僕は思います。

それは飼い主側の心得の問題ですから。

ここまで長々お付き合い頂いてありがとうございます。

あと少しです。

柴犬

しつけの裏技!我が家秘伝のしつけ術


前章はお堅い内容だったのでここからは肩の力を抜いていきます!
信頼関係を築く上で大切な事。

それは犬の活動欲求を満たして上げる事です。

そのコツは!
以下の優先順序と比率で犬と接する事なのです。

(※比率はあくまで目安です。)

1、体力の発散をさせてあげる。(50%)

散歩や遊びなどで犬の体力をどんどん発散させてください。

忙しくてなかなか散歩に行けない方はセントトレーニングなど室内でできる探索本能訓練などお奨めです。

2、ルール作り(40%)

ご家庭の独自のルールで結構です。

あなたの群れのルールを教えて上げる事。

3、Love(10%)

犬に対する愛情は勿論大切ですが、構い過ぎる過干渉になると、犬はストレスを感じてしまいます。

お解りかと思いますが先ず発散!です。

犬を包み込む愛情は想いで伝えるようにして、まずこの順序で犬に接しましょう。

もう一つの裏技は、「犬に考える時間を与える」という事。

僕のやり方はこうです。

普段何もない時、オヤツを与える時、餌を与える時、与える寸前にフリーズします。

散歩の時、お行儀の悪い行動をとったらフリーズします。

遊んでいる最中にわざとフリーズします。

フリーズとは自分が蝋人形になったイメージでピタッと動きを止めるんです。

そうすると犬は「ん?どうした?どうすればいいんだぁ?」と困惑気味になります。

そして今までの自分の中にある、良かれと思うありとあらゆる行動をしはじめます。

「えっとこうだっだけ?」とオスワリしたり鼻鳴きしたり、「いや!こうだったかな?」とくるくる回ったりフセをしたり、今まで自分がオヤツを貰った時の状況や褒めてもらった状況を体現しだします。

そして犬が正しい行動をしたと判断した時動き出すのです。

こうやって犬に考える時間をしっかり与えることで犬の思考力や判断能力を向上させてあげるのです。

何でもかんでも犬の執事やコンシェルジュのようにすることは決して犬のためにならないんですね。

僕は5秒から長い時で30秒ぐらいやります。

犬のリアクションが面白いので是非頻繁にやってみてください。

犬があなたをどう見ているかもわかる時がありますよ!

ジャックラッセル

まとめ


犬のしつけというテーマの為、ついつい力が入り長くなってしまい申し訳ありませんでした。

でも、日本がペット後進国とよばれて久しいですが、方法論ばかり目を向け、肝心の犬の心を考えないやりかたは如何なものかと僕は常々思うのです。

人間の概念、感覚、目線で犬のしつけを論じれば複雑な構造になるに決まっています。

犬の本質は至ってシンプルです。

犬の目線でアプローチすれば、犬が答えを教えてくれると僕は信じています。

そして犬の地位が向上し愛犬家や犬やペットが安心して過ごせる社会がすぐそこにあるのだと信じて、これからも叫び続けたいと思います。

しつけの裏技

1、発散 → 2、フリーズ

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