犬の脳腫瘍!症状から治療法まで

犬の脳腫瘍!症状から治療法まで

犬の脳腫瘍の治療は、ここ10年でめざましい進歩を遂げました。今では治療できる犬の脳腫瘍も増えてきています。そこで、いざという時にしっかりと対応できるよう、正しい知識を身につけていただければと思います。

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記事の監修

  • 獣医師
  • 平松育子
  • (AEAJ認定アロマテラピーインストラクター・ペットライター )

獣医師・AEAJ認定アロマテラピーインストラクター・ペットライター
山口大学農学部獣医学科(現:共同獣医学部)卒業。2006年3月~2023年3月 有限会社ふくふく動物病院 取締役・院長。ジェネラリストですが、得意分野は皮膚疾患です。
獣医師歴26年(2023年4月現在)の経験を活かし、ペットの病気やペットと楽しむアロマに関する情報をお届けします。

犬の脳腫瘍の概要

寝ている犬

近年、獣医療でもCTやMRIといった高度な画像診断が発達し、また大学病院を中心に、それらを所有する動物病院も増え、犬の脳腫瘍の診断や治療技術は加速度的に進歩しています。

一昔前まで、犬の脳腫瘍はほとんど治療することはできませんでした。しかし現在は人間ほどではないにしても、決して治療できない病気ではなくなりました。

そこで、犬の脳腫瘍について、その症状や診断・治療についてお伝えし、脳腫瘍に対する獣医療の現状を知っていただければと思います。

犬の脳腫瘍の主な症状

症状は様々

犬の脳腫瘍の症状は、脳のどこに腫瘍が発生するかによって様々です。
代表的な症状としては、「発作」「性格の変化」「斜頸(首や顔が傾く状態)」「旋回運動」あるいは「失明」といったものがあります。

その症状は脳腫瘍?それともただの痴呆?

犬の脳腫瘍の症状はほとんどが”神経”に関係したものですが、必ずしも「脳腫瘍」に特徴的な症状ではなく、他の神経病でも起こりうる症状なので、こういった症状が見られたら、必ず脳腫瘍である、とは言えないところは注意が必要です。もちろん、逆に、他の病気あるいはちょっとした症状だと思っていたら、実は脳腫瘍だった、なんてこともあります。特に老齢の犬でみられる「痴呆」のような症状と脳腫瘍の症状は似ていることが多いので注意が必要です。

脳腫瘍の進行スピードも様々

また、症状の進行の程度も、脳腫瘍の種類によって様々で、数週間でどんどんと進行するようなものもあれば、数ヶ月かけて進行していくものもあります。ゆっくり進行するものは、症状も軽いものもあり、脳腫瘍に気づかないまま長期間そのままにしてしまうこともありますのでこちらも注意が必要です。

原因

原因については、他の腫瘍同様、はっきりしたものは不明です。

かかりやすい犬種

パグ

明らかな犬種による差は不明ですが、一般的には、短頭種に多いと言われています。なかでもボクサーは他の犬種よりも脳腫瘍が多い犬種として知られています。

予防と対策

脳腫瘍だけでなく、腫瘍全体について、まだまだ基礎研究でもわからないことがたくさんあります。中には乳線腫瘍のように「初回発情前に避妊手術を行えば、発生率が下がる」というようなものもありますが、脳腫瘍の場合は残念ながら「この対策をすれば予防できます」というような対策はありません。
しかし、人間では、不摂生な生活や喫煙が腫瘍と大きく関わっていると言われていますので、これはあくまで個人的な意見ですが、犬の場合も、栄養バランスの崩れた食事(おやつや人間の食べ物の食べ過ぎ)や肥満、飼い主様の喫煙による受動喫煙などが、関わっている可能性は否定できないのではと考えています。

治療方法

聴診器

手術で完治できる脳腫瘍もある

基本は外科手術と放射線治療です。脳腫瘍の中でも「髄膜種」と呼ばれる腫瘍は、比較的脳の表面に発生することが多いため、外科手術により摘出しやすい腫瘍と言えます。その他の脳腫瘍でも、外科的にアプローチしやすい場所のものは、手術によって治療は可能です。しかし、脳の奥にできた腫瘍や、血管を巻き込んでいる腫瘍などは摘出が困難なため、放射線療法が実施されます。

治療ができる施設は限られている

いずれの治療方法もここ10年の間にめざましい発展を遂げている治療方法です。外科手術の中には、その後の再発がなく、完治しているものもありますので、一昔前まで、治療不可能だった脳腫瘍の外科手術は、現在では有効な治療方法の一つとして確立されています。

とはいえ、MRIなどの高度診断機器も含め、脳腫瘍の治療を実施できる施設は限られています。ご自身のお住まいの地域では、どのような治療が可能か、あるいは遠方の施設で治療することは可能なのか、かかりつけの獣医師と十分に話し合っておいても良いかもしれません。

早期発見が一番のカギ

また、これらの治療方法にもやはり限界はあります。特に大きくなった脳腫瘍は、小さいものよりもずっと治療の難易度が上がりますので、早期発見、つまり「あやしいな」と思った症状があれば、様子を見ないで早めに動物病院で診察を受けることも、大切な治療の一つですので、ぜひ心がけていただければと思います。

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ユーザーのコメント

  • 投稿者

    50代以上 男性 鬼退治

    フレンチブルドッグ2006年11月13日生まれの女の子です。
    グリオーマ脳腫瘍との戦い
    昨年末12月23日、散歩の途中で突然の発作が起きました。その日は、以前から気になっていた歩く時のぎこちなさや、力のなさが気になり健康診断の予定日でした。
    直ぐにかかりつけ医に電話をして症状を報告、発作が落ち着いてから、直ぐに病院に連れて来てくれと院長先生の指示があり、とりあえず呼吸が落ち着くのを待ってから病院へ直行しました。
    診察の結果は、右眼の反応が悪のと右手右脚の反応も悪い、脳腫瘍の疑いが強いようでした。とりあえず緊急入院してICUに、直ぐさま近くのMRI検査の出来る施設を探してくれていましたが、年末の休日なので4日後でないと診察してもらえないようでした。緊急を要したので、かかりつけ医のCT設備( ; ; )で検査する事になりました。診断はグリオーマ脳腫瘍の疑いが強いので、後日にMRIでの再検査になり、結果やはりグリオーマ脳腫瘍でした。グレードは低いようですが、右目の裏側に広範囲に腫瘍があり、解放手術でのアプローチは無理との診断でした。残る治療方法は、放射線療法と化学療法の選択になりましたが、放射線治療は20回以上の照射が必要で、その都度に全身麻酔が必要になります。11歳の小さな身体から体力やメンタル、放射線施設がある病院への長時間の通院を考えると、耐えられるのか、先生と嫁、私で考えて悩んだ末に、断念せざる答えになりました。残るは副作用があるかもしれませんが、化学療法にて頑張ってみる事に賭けてみました。主治医が癌治療に熱心な方で、まだ日本では人間用には、認可されていない脳腫瘍にとても有効な抗癌剤ccnuを、投与する事になりました。
    抗癌剤の影響で極度に白血球が、下がるので、怪我や病気に気をつけいます。
    大きな副作用も無く年明けから発作止めの、薬を飲ませて120日間発作無しで、介護は必要ですが、頑張って最低限のQOLは過ごせています。
    今月末で、発症から5度目の投与予定ですが、とっても良好です。
    鬼退治の投稿画像
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