犬の脳腫瘍について
脳は体と心を司る、中枢的な役割を担っている臓器です。犬も人も変わりません。
また体と心のそれぞれの機能は、脳の特定の場所で処理されているため、脳が部分的に障害を受けると、その場所が司っている体、もしくは心の機能も障害を受けます。
犬の脳腫瘍も、人間と同じように脳のあらゆる場所に発生します。
そして脳腫瘍ができる場所によって、犬が障害を受ける機能が異なりますので、犬の脳腫瘍の症状は実に多岐にわたります。
脳腫瘍を初期段階で発見するに越したことはありませんので、下記の症状と愛犬を照らし合わせてみて、少しでも症状がかぶっていたら動物病院で診察してもらい治療の術を聞きましょう。末期症状になるまで放置なんてことは絶対に無いようにしてください。
犬の脳腫瘍の特徴的な症状とは?
犬が脳腫瘍にかかると、下記のような症状がみられることが多く、一つだけ現れることもあれば、複数の所見がみられることもあります。
- 精神的な変化
- 眼の変化
- 首の傾きの変化
- 顔の筋肉の変化
- 姿勢や歩き方の変化
これらの変化が多く見られるのが犬の脳腫瘍です。では、ひとつひとつの症状を見ていきましょう。
精神的な変化
脳の中でも心を司る場所が障害を受けると、精神的な変化が見られることがあります。
たとえば、急に臆病になった、反応が鈍くなった、怒りっぽくなった、けいれん発作を起こすようになったなど。これといった理由もなく、愛犬の性格が急に変わってしまった場合は、もしかすると脳腫瘍を患っている可能性があるということを覚えておきましょう。
眼の変化
眼は実にたくさんの脳神経によってコントロールされているため、脳が障害を受けると、眼に症状ががでることが多いです。
眼振(じっとしていても目が揺れている)、視力喪失、斜視(まっすぐ見ていても、目が横や斜めを向いてしまう)、目がくぼんでいるなど。普段から愛犬の顔や目をしっかり見ておくようにして、そういった変化にできるだけ早く気がつくようにしましょう。
首の傾きの変化
脳は体の平衡感覚も司っています。
犬の脳腫瘍がその部位に発生すると、捻転斜頸(首が一定の向きに曲がったままになっている)などを認めます。
顔の筋肉の変化
顔面にある筋肉を司っている部位が犬の脳腫瘍により障害を受けると、筋肉の障害がみられるようになり、片方あるいは両方の顔面の筋肉が下がったように見えたり、頭の筋肉(咬筋といって、噛むための筋肉)が薄くなり、頭のてっぺんの骨が出っ張ったように見えたりします。こちらも普段から愛犬の顔をよくみておくと、比較的気づきやすいかもしれません。
姿勢や歩き方の変化
脳の中でも運動を司る領域に腫瘍が発生すると、後ろ足がふらついたり、一定方向に傾いて歩いたりすることもあります。散歩の時など、歩き方が変ではないかよくみてあげてください。
犬の脳腫瘍の診断方法
まずは脳神経の病気なのかどうかを見極める
上記のような臨床症状は、他の病気でも見られることがあり、症状だけで犬の脳腫瘍を診断できることはまれです。
なので、犬の脳腫瘍を診断するときは、体全体をくまなくチェックして、他の病気が隠れていないか十分に調べることも大切なのです。
次に脳神経の病気なら、それが脳神経の中でもどの場所なのかを調べる
もし脳の病気が疑われるのであれば、臨床症状を逆に読んで、その臨床症状の特徴から、ある程度、犬の脳腫瘍の場所を特定することができます。
その脳神経の病気は腫瘍なのかを調べる
さらにその病気が脳の特定の場所に存在するようであれば、それが本当に犬の脳腫瘍なのか、それとも脳炎や脳代謝異常ではないのかを推測します。
犬の脳腫瘍は他の脳炎などに比べて、進行が比較的ゆっくりなので、症状の進み方で見当をつけることもあります。
犬の脳腫瘍の確定診断の方法は?
上記までのステップはどの動物病院でも実施可能です。
しかし本当に犬の脳腫瘍かどうか、脳のどの部位に発生しているのかは、MRI検査や脳脊髄液検査を実施する必要があります。
このMRI検査や脳脊髄液検査は犬を含めペットの場合、どの病院でも実施しているわけではなく、多くは大学病院や大病院で実施されており、全身麻酔も必要で、検査費用も高価なため、そのあたりも踏まえて進める必要があります。
犬の脳腫瘍の治療法
犬の脳腫瘍の治療には、投薬治療に加えて外科手術や抗がん剤投与、放射線治療などの積極的な治療と、投薬で症状を抑えながら自宅で介護をする対症療法(緩和ケア)があります。
外科手術
脳腫瘍は、外科手術で腫瘍を完全に取り除くことができれば最も有効な治療になり、根治する可能性があります。
しかし、多くの脳腫瘍は手術自体が難しく、また合併症などのリスクも高いため、手術ができないことがほとんどです。手術を実施できる病院も限られています。
放射線治療
手術との併用や、放射線治療単独での治療で用いられることがあります。 放射線治療とは、放射線を腫瘍ができた部位に照射する治療法ですが、全身麻酔を必要とするため麻酔薬の体への負担や、脱毛、皮膚炎などの副作用があります。
犬への負担や高額な治療費などについて、考慮した上で行う必要があるでしょう。
抗がん剤治療(化学療法)
脳腫瘍の種類によっては、抗がん剤(化学療法)を行うことで効果が認められるケースもあります。 ただし、脳には脳血管液肝門という関所のような場所があり、ここを抗がん剤は通過しにくいため効果は限定的で、また副作用がみられることも少なくありません。
本当に抗がん剤治療を受けた方が良いのかは、愛犬の体力を含め、獣医師とよく話し合うことをおすすめします。
対症療法(緩和ケア)
根本的な治療にはなりませんが、緩和ケアとして痛みや神経症状を抑えて生活の質(QOL)を向上させるためにステロイド剤や脳圧降下剤、抗てんかん薬の投与を行うことが多いです。症状が進行すると寝たきりとなるため、自宅での介護が必要となります。
腫瘍はシニア犬で起こりやすく、治療の負担も大きいことから苦しむ時間を短くするため緩和療法が選択されることは少なくありません。
どのような治療を受ける場合でも、獣医師としっかり相談をして、ご家族が納得したうえで治療方針を決めることが大切です。
犬の脳腫瘍の予防法
脳腫瘍は原因がはっきりわかっていない病気のため、予防することは困難といわれています。
犬の脳腫瘍は進行性の病気のため、早期発見、早期治療が重要となりますが、症状がわかりいくいことから、飼い主さんが気づいた時点ですでに症状が進行していることも少なくありません。
外科手術や放射線治療などが功奏すれば、生存期間の延長が期待できる可能性もありますが、多くの場合は予後は厳しいとされています。
終わりに
犬の脳腫瘍の臨床症状は多岐にわたり、一見、「これが犬の脳腫瘍の症状なの?」と思うようなものもあります。
また、犬の脳腫瘍はその他の腫瘍と同じように、そのほとんどが老齢犬で発生するため、中には「ただ年取っただけかな?」と思うような症状しか認められない犬もいます。
さらに犬の脳腫瘍の治療は、まだどこでも実施できるわけではありません。
しかしそれでも一昔前よりは治療も格段に進歩しています。
ただし、治療を行うにも、やはり早期発見が重要です。
少しでも怪しい症状が見られるときは、ぜひかかりつけの獣医師とご相談なさることをお勧めします。
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ユーザーのコメント
50代以上 女性 K9-ABC
犬の脳腫瘍についての兆候は人間のそれにも当てはまると思いました。愛犬も家族の一員なので人間と同様に、日頃からよく様子を観察して、もし病気の兆候があれば、すぐに獣医師に診てもらうようにしたいです。
20代 女性 モモカ
体に負担をかけないためにも、やはり脳神経系の病気は早期発見が重要だと知って頂けると幸いです。
30代 女性 コメダ
病院でも診断は難しいんですね〜精神的な変化、目の変化、首の傾きの変化、顔の筋肉の変化、姿勢や歩きかたの変化…どれも年を取ったわんちゃんにも見られる変化ですね…
判断が難しいんですね。何事も早期発見!気をつけて見ていたいですね!
40代 女性 やまと
50代以上 女性 ちーやん
40代 女性 匿名
一週間前から再び歩く時にバランスを崩すようになり呼吸も荒く同じ所を回ったり。
身体の所々に腫瘍があること、ラブラドールは腫瘍ができやすいことから考えて頭の中にもあるんだろうなと、それが原因なんだろうと思います。脳腫瘍の症状のほとんどが当てはまっています。
排泄しようとよろけながらも庭へ出ようとする姿など見ていてとても辛くなります。
動物の医療もかなり進歩しているから専門の先生がいる病院へ行けば完治でなくても今より楽になるかもしれない。
でも高齢のこの子には負担が大きすぎるんじゃないか、負担やストレスが体力を落としてしまう可能性も高いだろうと考えると、どうしてあげることが最善なのか迷ってしまいます。治してあげたいしもっと一緒にいたい、これはわたしのエゴで犬にとって治療は望まないことかもしれない。そんなことを考えると本当にどうしたらいいのか……。胸が痛いです。
50代以上 女性 まじ子
現在、療養中ラブ14歳の雄です。
5日前の夜の散歩中、急にふらつきやっと自宅まで帰って来ました。
その後、水もご飯も食べずウロウロ歩き回りました。
翌日、すぐに病院に行きました。
検査をした結果脳腫瘍と診断されました。
今日まで毎日半日入院しています。
脳圧を下げる点滴、甲状腺の薬、栄養剤の点滴を朝から夕方まで行っています。
日に日に麻痺が進行しています。
今日は歩行器をつけても立てませんし、手も足も出なくなりました。
寝返りもうてない状況です。
40代 女性 こまの母
女性 白川
脳腫瘍で一番出やすい症状の中でも比較的わかりやすい症状は痙攣だと言われています。食欲減退や異常な過食は、犬の気分でも変わりますし、視力聴力嗅覚の低下なども老化の一種かと思ってしまいがちです。
腫瘍の場所によっては、発症していてもなんの変化も見られないこともあります。
痙攣となると、軽い病気ではないことがわかります。動物病院に行く確率も高くなるので発見も早い方ではないかと思われます。
ゴールデンが特にかかりやすい犬種として報告されています。他にも短頭犬(主にブルドッグ、ボストンテリア)も発症しやすいとされています。発症した犬の年齢が7歳以上である確率も95%以上と、老齢になってからの発症が多く見られます。
脳腫瘍かどうかを診断するにはMRI検査が必要になりますが、これは全身麻酔を必要とするので、老齢の犬にはとてもリスクが高くなってしまいます。この検査で腫瘍の場所や大きさ、良性悪性かどうか全てわかるわけではないので、老齢の愛犬にかかる負担も大きいです。
治療方法は、犬が若く手術に耐えられること、手術で取り除ける腫瘍だった場合は外科手術になります。発症しやすい7歳以上が多いことから、手術よりも内服薬を使った化学療法がメインになることが多いようです。化学療法では脳の腫れを抑える抗炎症剤、けいれんに効果のある抗けいれん薬などを組み合わせて処方されます。症状に応じて抗がん剤が出されることもあります。
放射線治療という方法もありますが、根本的な治療にはならず、腫瘍の進行を遅らせるだけになります。再発率も高く、口内炎や吐き気などの副作用もあります。
脳腫瘍は原因が不明な病気なので、予防することはとても難しいです。
ですが、日頃から愛犬の様子をよく観察し、明らかにおかしな症状を発見した時は、早々に獣医さんと相談して早期治療につなげることが大事だと思います。
50代以上 女性 匿名
長くて数秒ですが ぼんやりしているときが多く 要求吠えするときなど激しく頭 顔をけいれんさせています 腎臓が悪い為 麻酔での検査はリスクがあるとの事で
この先がとても心配です この様な場合どうしたらいいのでしょうか
40代 女性 匿名
柴犬 11歳 ♀
2016年7月に発作が出て てんかんの可能性ありとの事で薬を飲む。
脳腫瘍の可能性を告げられた。
2017年7月食欲なく痩せる。
8.4キロあった体重は 7キロまで減り、顔の筋肉が全くなくなった事から脳腫瘍の可能性が高いだろうと…
11歳ということあり 全身麻酔を伴う検査、治療は しないで生活の質をあげる方向
それから 食べたい物を食べ、楽しい事をして過ごす!2017年無事に過ごせました。
7キロまで落ちた体重は 9.1キロまで
増やした!よく食べた!
2018年1月 また 食欲がなくなり
2日間ご飯を食べず…お肉を口に入れても 出す…頑なに口を開けない。
血液検査の結果 甲状腺機能低下症
色んな事が出てくるけど 対処法でしかなく、根本的な解決にはならないけど その時 最善と思う事をやっていきたい!!
50代以上 女性 匿名
女性 プー
50代以上 女性 匿名
50代以上 女性 おかあ
40代 女性 kokoro
夜間救急に連れて行くと 脳腫瘍と言われました。放射線治療を選択しましたが大きさは殆ど変わらず
これから抗癌剤治療を勧められました。治療をすごく怖がり悲鳴が中から聞こえたりして緩和治療の方が
良かったのではないかとか悩んでしまいました。緩和治療ではいずれ薬が効かなくなって来ると言われ
抗癌治療を受けようと思ってますが 今後 様子をみながら決めて行こうと思ってます。
放射線治療などでかかった費用は 90万です。
40代 女性 匿名
斜頸が気になり病院へ…
血液検査したものの全て正常値
片目が見えていないとも言われ
この2日程前から無駄吠えが増えて
左半身フラフラに…
今は抗生剤と消炎剤と飲ませてますが
…
40代 女性 サチマ
てんかん発作をおこし
脳炎か脳腫瘍かMRIやCT、採血をしましたが確定診断には至らず
現在情報を集めている所です。
若いから違うと思いたいものの若くてならないほしようもなく
みなさんの症状がすべてあてはまる気がしてなりません。
30kgあった体重も26kgまで減ってしまいました。
食欲はかなりあって食べてくれるんですけどね。
元気一杯走らせてあげたいな。
20代 女性 匿名
朝起きた瞬間、突然キャンッと鳴いて、その後前足が麻痺。かかりつけの病院に行ったのですが原因がわからず痛み止めのお薬をもらって帰ったのですが家に戻ると両前足が麻痺に。薬も効かず、二日後に別の病院に行くと前の病院では言われなかったのに四肢全部麻痺してて結構酷いと言われ血液検査をすると内蔵は脱水を除いてどこも正常なので考えられるのは脳に何かあるかもと言われました。
勝手に頸椎の椎間板ヘルニアと思っていたのですが首は痛がってないとのことで、まさか脳疾患なんて少しも疑ってなかったので突然のことにその場で号泣してしまいました。
とりあえず投薬を二日間続けて容態が改善されないようならMRIをお願いするつもりですがもう高齢ですし治療費は高額で…でもこのままだとますます酷くなるだろうし犬も痛くて辛いだろうと思うともうどうすればいいのか。
いろいろ見てると脳疾患はただ手術をすればいい、というわけでもなさそうなのでこれから先が不安で堪らないです。
40代 女性 まき
おこました
病院でてんかんのお薬をもらい
様子をみましょうと言われました
それからまたすぐに
てんかんがおきました
いつものように治らずに
悲鳴のような鳴き声が止まらず
首がカクンと真横になったり
深夜の救急病院へ車でつれていきました
かなり強い鎮静剤や脳の腫れを
取る薬などを処置されても
治ることがなく結局は朝になり
かかりつけに移動して
軽い麻酔点滴を受ける事に
なりました
MRI検査の予約をとってもらい
受けに行く前にそのまま
苦しそうな表情で心臓がとまりました
なぜもっと早く検査してやらなかったのか
病院側も何故早く検査をしなさいと
行ってくれなかったのか
はじめてのてんかんから
ひと月で亡くなりました
結局検査を受けていないため
真実はわかりませんが
症状から推測して脳腫瘍だったと
思います
違う病気でステロイドを飲んでいたため
異常な食欲も薬のせいだと思い込み
耳が遠くなったのも高齢のせいだと
思い込んでいました
自分がもっとしっかりしていたら
もっと早く検査を受けてやれば
もっと病院選びもしっかりしていたら
今は殺したのは自分だと毎日
後悔と自責で胸が張り裂けそうに
苦しいです
ごめんねと毎日謝り手をあわせています
てんかんおきたら様子などみずに
すぐに検査をしてあげてください泣
50代以上 女性 けい
12歳のトイプードルです。
1日目、1回目夜中に多分初めてのてんかん発作。寝ていて騒いでるなと思いながら起きれなくてそのままに。
翌明け方、2回目、悲鳴をあげたので見るとサークルに前足をひっかけた状態でひっくり返って失禁していました。
病院に行きましたが、その時には当然症状はないので、てんかんかも、様子を見てください。
3回目、夕方、お散歩に行こうとハーネスを付けて廊下を歩いていると、また、悲鳴とともに横倒しにひっくり返って失禁。
病院に連れていき、心電図は問題ないので、MRIを撮らないと分からないけどてんかんだろうと、
コンセーブとイーケプラという薬が処方されました。
3日目、朝、薬を飲んだ後、4回目、マットレスの上で悲鳴を上げて、また、横倒しに、今回は失禁はなし。
病院では心臓が原因の場合チアノーゼを起こしているかもしれないので、舌を見るように言われていたのですが、動画、動画って焦ってしまい、動画を撮ってから舌を見たのですが、いつもと変りなく、
病院に電話をして、その事を告げると、動画を撮れとは言ってませんよね、
なんで舌の色を見ないの、それによって検査が変わるのにとすごい勢いでどなられ、
もうやってしまった事なのでこれからはちゃんと見ますと言っても、
もう、発作が起きないことを祈りますけどね、捨て台詞のように言われました。
4日目の今日も朝、5回目、お散歩に行こうと抱っこして、玄関を出たところ、悲鳴を上げて失禁。
正直、もうこの病院に行きたくないのと、『まきさん』の書き込みを見て違う病院に行って検査を早くしたほうがいいのかと思っています。