犬の腸閉塞って何でなるの?
腸閉塞とは、言葉のとおり、「何かが原因で腸が狭くなったり塞がってしまう状態」のことを言います。そして、その「何か」ですが、実に様々なものが原因となり、大きく分けると「異物」と「癌」になります。
どちらもその初期症状は似ているのですが、病態はまったく違います。ですので、安易に考えてしまうと、あとあと大変なことになりますので、少しでも「腸閉塞ではないか?」と思った場合は、なるべく早く動物病院を受診しましょう。
犬の腸閉塞の原因:異物
犬の腸閉塞の原因でもっとも多いものです。しかし、異物と言っても実に様々なものがあり、犬の体の大きさによっても、原因となる異物は異なります。
たとえば大型犬であれば、野球のボールくらいのおもちゃを飲み込んでしまうこともありますが、小型犬はほとんど口にすら入らない大きさです。逆にビー玉くらいのものだと、大型犬はほとんど腸閉塞にならず、そのままうんちに流れてしまいますが、やはり小型犬では腸閉塞を起こしてしまうことがあります。
大型犬ではそういったおもちゃ類が多く、中には大きなものを破壊して、その破片を飲み込んでしまって腸閉塞になるケースもあります。
一方で小型犬でもおもちゃは原因にはなりますが、それ以外に、人間の食べ物関係、特にトウモロコシの芯やモモの種、梅干しの種などが腸閉塞の原因になることも多く、さらには長いヒモやビニール袋、手袋などの衣類なんかで詰まってしまうこともあります。
また、普段からよく使われているような犬用ガムなどの消化の悪いおやつを丸呑みして、腸閉塞になることもありますので、そのように丸呑みしてしまう可能性があるものを与えるときは注意が必要です。
また、異物による腸閉塞の場合、その症状のほとんどが「突然の頻回の嘔吐」になります。腸に異物が詰まると当然、その先に食べ物が腸より先に進みませんから、その反動で吐き出してしまいます。
しかも病気になったわけではないので、一見元気にみえるため、回復したと安心してしまう飼い主さんも多いので注意が必要です。もちろん、その後も適切に処置をしない限り、また吐いてしまいますので、徐々に元気も無くなっていきます。
犬の腸閉塞の原因:癌
上記の異物の場合、異物を飲み込んでしまったことを飼い主様が気づかれることが多いのですが、がんの場合は、ほとんど気づかずに進行してしまいます。
がんの初期症状は「ときどきの嘔吐」や「便が細くなる」ことが多いのですが、こちらも一見、本人は元気ですので、ついつい見逃してしまいがちです。ですが、もちろん他のがんと同じで、治療の原則は「早期発見・早期治療」です。
がんのほとんどは高齢のワンちゃんに発生しますので、高齢のワンちゃんは、ちょっとした嘔吐や排便の変化、さらには体重減少などの徴候は見逃さず、早めに動物病院で診察を受けられることをオススメします。
異物を吐かせるためのご家庭での処置について
犬の腸閉塞の場合は、基本的に異物でもがんでも、物理的に閉塞しているものを解除するため、外科手術が一般的になります。
中には、ご自宅で吐かせようとされる方もいらっしゃいますが、異物が胃を通り過ぎて、腸に入った場合(腸閉塞を起こした場合)には、もはや吐き出すことはできませんのでそこは理解しておきましょう。
また、ご自宅で吐かせようとして、オキシドールを飲ませたあと、やっぱり異物が取れないために、病院にて内視鏡処置を行ったことがあるのですが、オキシドールによる嘔吐のせいで、重度の胃炎を起こしていたこともあります。
一見、全身麻酔が必要な内視鏡処置や開腹手術よりも安全に見えるかもしれませんが、実際には嘔吐させることは、犬にとってとても負担の大きい処置だということは覚えていただければと思います。
最後に
犬が腸閉塞と疑われるときは、何はともあれ早急に動物病院へ連絡しましょう。
腸閉塞は発見までの時間が命の分かれ目となることも多いです。栄養が取れない分ワンちゃんの消耗も大きく、発見が遅れるとそれだけ衰弱することにもなります。
できる限り重症になる前に閉塞を改善できれば、たとえ開腹手術になったとしても、現在の麻酔クオリティならかなり安全に手術することができますので、普段から愛犬の様子はよくみてあげるようにしましょう。
あとは、とにかく異物による腸閉塞の予防には、「原因となるものを、犬の”絶対に”届かないところに置く」ことです。飼い主様のちょっとした注意があれば、異物による腸閉塞は防ぐことができますので、しっかりとワンちゃんを守ってあげてください。
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ユーザーのコメント
20代 女性 すず
出来る限りのならないようにの努力は全力でしたいと思いました。
30代 女性 Chappy
元気があれば大丈夫!って思いがちですが、その判断が間違えているかもしれないということを常に思っていたほうがいいかもしれませんね。
50代以上 女性 K9-ABC
時に動物は人間の予想外の行動をしますが、人間が目の前の動物に安全かどうかを判断できないほど冷静さを失っては、対処できるものもできなくなります。
口がきけない動物だからこそ、普段から家族同様に良く見守って、非常事態には冷静な行動で対処できるようにしたいです。そして、もし病気の場合は早期に発見、早期治療できるようにしたいです。