「ご飯抜き」は犬への罰として有効なのか?
愛犬がいたずらや粗相をした時、しつけやトレーニングがうまくできなかった時、飼い主の言うことを聞かなかった時など、犬に罰を与えることはありますか?そして、その罰はどのような罰でしょうか?
犬への罰として「ご飯抜き」とする人がいますが、実際これはあまり効果的とは言えない罰だと思います。確かに犬は食べることが好きで、食事を与えられないことや食べ物を取り上げられることにショックを受けるかもしれませんが、何らかの行動に対する罰としては、あまり意味をなさないでしょう。
その理由は犬が罰を与えられる原因となった行動と、「ご飯抜き」という罰に、タイムラグがありすぎるということにあります。犬は罰もごほうびもその対象となる行動の直後(数秒以内)でないと、その意味を理解することができないとされているからです。
つまりいけない行動をしたからといって、「ご飯抜き」の罰を与えられても、なぜ「ご飯抜き」にされているかを理解することができず、罰としての意味をなさないということなのです。
その他の“犬には理解できない”罰
「ご飯抜き」と同様に、犬にはそれが自分の行動によって与えられた罰であることが理解できず、行動改善への効果が得られない罰というものはいくつかあります。
例えば留守番中にトイレの失敗をしてしまった犬に対して、粗相をした場所まで連れて行ってそこにマズルを押し付けてしかる。
これは一時期しつけの方法として本などにも載っていた方法ですが、犬にとってはなぜ自分が叱られているかわかりにくいため意味がないと考えられるようになりました。
その他にも飼い主の就寝中にいたずらなどをしてしまったことが原因で、次の日の就寝時間はハウスに閉じ込める、飼い主の言うことを聞かなかったから犬が大好きな散歩に連れて行かないなど、原因との関連性がなく、更に原因となる行動から、かなり時間が開いて行われる罰は、犬にはその意味を理解することができず、正確な意味での罰にはなりません。
犬にとって効果的な罰とは?
なぜ罰を与える必要があるのか
犬にとって本当に効果的な罰はどのようなものか、ということを知る前に、まずはなぜ罰を与える必要があるのか、を考えなくてはなりません。
犬に罰を与えるのはいたずらや粗相、言うことをきかないことに対する、イラ立ちをぶつけるためではありません。犬の好ましくない行動を正し、望ましい行動へと導くために罰を与えるのです。
的確な罰は難しい
とはいえ、実際は犬にしっかりと伝わる方法で罰を与えるのはとても難しく、適切なタイミングで適度な強弱をつけて罰を与え、その後すぐに正しい行動を伝えるということが必要です。
それは、ある程度高い技術と知識が必要で、一般の飼い主さんで的確な罰を与えられる人はそう多くないと思います。
しかし日本人はほめることが苦手で、叱ることの方が得意であるという傾向があり、好ましくない行動に対して言葉で叱ったり、「ご飯抜き」などの罰を与えたり、時には体罰を行うことがあります。
確かに犬のしつけにおいて、叱ること=罰が必要になる場面ももちろんあります。
ほめるだけでは犬を正しい行動へと導けないことも少なくありません。そのため、正しい罰の与え方を飼い主は知っておかなければならないと思います。
叱るタイミング
具体的な叱り方は、しつけの内容に応じて異なるためここでは紹介しきれませんが、共通して言えることは「罰を与えるのであれば叱るべき行動の最中か直後でなければならない」ということです。
犬は数時間前の出来事を振り返って「留守番中にいたずらをしたから、今叱られているんだ」などということを考えることができません。そのため犬に、なぜ叱られて罰を与えられているかを理解させるには、タイミングが非常に重要なポイントとなるのです。
犬への罰に関するまとめ
「ご飯抜き」などを含め、犬に対する罰について、是非、今一度考えてみてもらいたいと思います。
犬と暮らしていると、つい怒りたくなる場面や、きつく叱らなければならない状況というのも数多くあるでしょう。
そうした時不要に犬を傷つけるだけでなく、飼い主に対する不信感を生むような、“意味が伝わらない罰”を与えてしまわないように、叱るタイミングや方法をしっかりと考えて適切な指導を行うように意識しましょう。
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40代 女性 くぅ