犬のおもちゃの定番の一つ、ロープ
犬と引っ張りっこをしたり、もってこい遊びに使ったり、または犬の噛み噛み玩具として、コットンの糸を撚ったロープを使ったおもちゃを愛犬に与えたことがあるという方は多いと思います。ほとんどのロープの素材はコットンですから、プラスチックや塩化ビニールよりも安全なおもちゃというイメージがありますよね。けれども、どのような素材のおもちゃでも犬が誤飲してしまうと危険なものになる恐れがあります。
犬が異物を誤飲した場合(薬品や毒物は除いて)95%の確率で体内を通過してウンチとともに出てくると言われていますが、残り5%は深刻な事態となり、時には生命を脅かすこともあります。実はロープのおもちゃを飲み込んでしまった場合のリスクは、この5%に含まれる場合があるのです。
ロープおもちゃを飲み込んでしまったときに体内で起きること
多くの獣医師は、ロープのような「線状の異物」を誤って飲み込んでしまったときに危険度の高いものとして分類しています。ロープおもちゃは犬が噛んでいるうちに簡単に壊れてしまいます。壊れて小さくなったロープは、飲み込んでしまうのも簡単です。
ロープは細い糸を撚って作られています。飲み込んだロープが胃で留まるうちに撚り糸の一部だけが腸に届いてしまうこともあります。そのような状態で腸が消化のためのぜん動運動をすると、撚り糸またはロープそのものがねじれて腸を締め付けるような状態になります。言うまでもなくそれは大変な痛みを引き起こしますし、腸の裂傷や壊死につながる非常に危険な状態です。
ロープが体を傷つける前に誤飲に気がつけば処置が間に合うこともありますが、厄介なことにロープはレントゲンにうまく写りません。ですから、飲み込んでしまった場合には開腹手術が必須なのですが、上記のような状態が起こった後では、手術をしても回復が非常に困難になります。
飼い主が気をつけるべきことは?
どんなタイプのおもちゃでも100%安全が保証されるということはないので、遊んでいるときには目を離さないようしなくてはなりません。また、ダメージのあるおもちゃは与えるのをやめて取り替えましょう。けれどもロープのおもちゃに関しては、目の前で遊ばせていても齧っているうちに細い糸をかなり飲み込んでいることがあります。それほどのリスクを背負ってまで与える価値があるかどうか、考えてみる必要がありますね。
とても丈夫に作られているように見えるおもちゃも、犬の顎の力にかかるとあっさりと破壊されるものです。特に大型犬では破壊したおもちゃの誤飲は常に気を配っておきたい事柄です。
もしもロープおもちゃを飲み込んでしまったことに気づいたら、一刻も早く動物病院で診察を受けましょう。ちょっと様子を見ようと思っているうちに手遅れになってしまうなどという悲劇は避けたいですものね。
まとめ
とても一般的でありながら、実はリスクの高いロープおもちゃの危険についてご紹介しました。知っておくことで、万が一のときの対処にも違いが生まれますので、心に留めておいてくださいね。また最近では、犬の安全性に配慮した素材を使ったおもちゃもいろいろ発売されています。無毒性で柔軟な熱可塑性ポリウレタン、環境ホルモンを含まず無毒性のEVAフォーム、生分解される麻などがその一例です。天然素材だから安全であるという思い込みを捨てて、リサーチをしておくことも大切ですね。
参考:Are Dog Rope Toys Safe? How to Spot and Avoid Dangerous Ropes - toe beans