犬の留守番は何時間まで大丈夫?
毎日、愛犬に長時間留守番させることは可哀相と感じている方も多いと思います。実際、犬は長時間ひとりで留守番することは得意なのでしょうか?
犬は、もともと群れで生活する動物なのでひとりで過ごす留守番は得意ではありません。とはいっても、仕事や犬を連れていけない場所への買い物など、留守番をさせなければいけない場面も多いと思います。急に長時間ひとりでの留守番は、犬の不安が大きくなりストレスになる可能性もあるため、子犬の頃から少しずつ慣らしてあげることで、ある程度の時間は留守番をすることができるようになります。
では、何時間くらい留守番することができるのでしょうか?犬の年齢や性格、生活環境などによっても異なるため一概に何時間とは言えませんが、一般的には8~12時間程度が限界だと言われています。
ただし、子犬の場合はトイレの頻度が短く、お世話をしてあげる必要があったり、トイレトレーニングをする必要があるため長時間の留守番は難しいでしょう。成犬でも、外でしかトイレができないなら長時間は難しいでしょう。また、体が不自由なシニア犬や病気がある場合も、留守番中に急な体調の変化が起きる可能性があるため、十分に注意をしてあげる必要があり、長時間の留守番はおすすめできません。
犬を留守番させるときのリスクとは?
犬の長時間の留守番には、リスクが伴うことを理解しておく必要があります。飼い主さんが留守の間に急な体調変化や事故やケガ、いたずらが起きる可能性もあります。
また、過度なストレスによる問題行動が起きる場合もあります。留守番中は愛犬に及ぶ危険を少しでも少なくした環境を作ることが大切です。
分離不安により問題行動を起こすことがある
分離不安症とは、飼い主さんや家族が外出するなど、姿が見えなくなることで犬が強い不安を感じ、吠え続けたり物を破壊するなどの行動が起きる症状です。
飼い主さんの外出後30分以内に出やすいと言われ、具体的な症状は、
- 無駄吠え、吠え続ける
- 家具やクッション、ティッシュなどを破壊する
- 自分の体を舐め続けたり、噛んだりする
- トイレの失敗をする
- 下痢や嘔吐などの体調不良を起こす
などがあります。あまりにもひどい場合は、動物病院やドッグトレーナーからのアドバイスが必要になることも。軽度なら自宅で徐々に慣らすトレーニングをすることで改善する場合もあります。
急な体調の変化に対応できない
留守番中は、夏の暑さで室内が高温による熱中症のリスクや、突然の下痢や嘔吐などの体調不良など、急な愛犬の体調の変化にも気付いてあげることができません。
犬は、本能的に痛みや辛さを隠すと言われています。出かける前はいつも通りだったとしても、長時間の留守番中に体調が悪化してしまう場合もあるかもしれません。また、室内の温度や環境によっては、暑くても移動できずに体調を崩してしまうという場合も考えられます。少しでもいつもと違う様子が見られたり、異変に気付いた場合は長時間の留守番を避けたり、愛犬にとって適切な室内環境なのかをしっかりと確認してあげる必要があります。
また、留守番に慣れていない場合はトイレを我慢して体調不良になってしまうこともあります。子犬やシニア犬はトイレの頻度が多かったり、突然体調が変化することもあるため、できる限り長時間の留守番は避けた方が良いでしょう。
無駄吠えで近隣に迷惑をかけてしまう
飼い主さんがいない間に、あまりにも吠えてしまう場合は、犬にも負担がかかりますし、ご近所への迷惑になってしまいます。
愛犬がどんな時に吠えてしまうのか、どれくらいの間吠え続けてしまうのかなど、ペットカメラやボイスレコーダーなどで事前に愛犬の状態を把握して、対策を考えてあげる必要があります。
事故やケガ、いたずらをする可能性がある
飼い主さんがいない間に、犬がクッションをボロボロにしたり、ゴミ箱をひっくり返したりといったいたずらをしてしまう動画を目にしたことがある方も多いのではないでしょうか。
飼い主さんが近くにいれば、すぐに対処をしてあげることができますが、留守番中では気付くことができません。いたずらで済めばいいですが、ゴミ箱の中身やクッションの綿を誤飲してしまったり、コードを噛んで感電してしまったりといった事故につながってしまう恐れもあります。また、電源コードから火災が発生する事故などが起きる可能性もあります。
愛犬が入ったら危険な場所は絶対に入れないようにする、危険なものは手の届くところに置かない、電源プラグをコンセントから抜いておくなど、事故につながる可能性のあるものは事前に対策をしておきましょう。
犬を留守番に慣れさせる3つのポイント!
愛犬に留守番をさせずにずっと一緒に過ごすというのは中々難しいものです。しかし、いきなり長時間の留守番は、犬にとってとても負担が大きく飼い主さんも心配ですよね。
少しずつトレーニングをすることで、愛犬も徐々に留守番に慣れてくれます。少しでも快適に愛犬が留守番できるようにトレーニングしてみましょう。
短い時間から徐々に留守番の時間を伸ばす
はじめは1~2分だけなど、短い時間から愛犬がひとりで過ごす時間を作ってみましょう。いきなり外に出かけるのではなく、飼い主さんが別の部屋に移動するところから始めてみると安心です。
慣れてきたら、ひとりになる時間を増やしていきます。吠えたからとすぐに愛犬の元に戻ってしまうと「吠えれば帰ってくる」と思ってしまうため、静かにしているときに戻るようにします。静かに待っていることができたら、「褒めてあげる」ことを繰り返してひとりでいることに慣れさせていきましょう。
また、「置いて行かれちゃった」「帰ってこないのではないか」と犬が不安にならないよう、出かけても「必ず帰ってくる」ということを分かってもらえるように短い時間から根気強く続けることが大切です。
普段からハウストレーニングを行う
犬にとって安心できる場所や居心地の良い場所を用意してあげることで、リラックスして留守番することができます。犬は狭い場所を好むため、ケージやサークル内にベッドなどを置いてあげると良いでしょう。
留守番の時だけケージやサークルに入れられると不安になってしまうため、日頃から安心できる場所だと思ってもらうことが大切です。愛犬のリラックスできる場所にお気に入りのベッドやブランケット、トイレ、お水などを用意して普段からリラックスできる場所を作ってあげましょう。
また、サークルやケージなどの中で留守番をしてもらえば、いたずらによる事故や誤飲を防ぐこともできますよ。
出かける時や帰宅時はさりげなくふるまう
ひとりにするのが可哀相…と思って出かける直前までたくさん遊んだりスキンシップをとるのは逆効果です。急に飼い主さんがいなくなることで余計に不安になってしまいます。出かける時も帰宅した後も、なるべくさりげなくふるまうことが大切です。
出かける準備をしている姿を見るだけで不安になってしまう子もいるため、見えない場所で準備をするようにしましょう。出かけるときも「ごめんね」などとネガティブな言葉をかけるのではなく、さりげなく出かけることもポイントです。
帰宅時も愛犬が喜んで出迎えてくれたとしても、飼い主さんはグッとこらえて愛犬が落ち着くまで待ちましょう。落ち着いたところで上手に留守番できたことを褒めてあげたり、おやつをあげたりしましょう。帰宅後すぐに大げさに褒めたりおやつをあげると、寂しさを増幅させてしまったり、留守番中もおやつを長い間待ち続けて不安な気持ちになってしまいます。
犬に留守番させるときのベストな環境とは?
愛犬に快適にのんびりと留守番してもらうためには、環境づくりも大切です。リラックスできる環境を作ることはもちろん、事故やケガにつながらないように気を付けてあげることも大切です。
具体的にはどのような対策が必要なのかをご紹介します。
犬に危険がないようにケージや柵を利用する
基本的に、室内を自由にさせずにケージやサークルを使用することをおすすめします。
いつもはいたずらをしなくても、ひとりのときにはいつもと違う行動をしてしまう可能性もあります。食べてはいけないものを誤飲してしまったり、家具を壊してしまったり、コードをかじってしまったり。最悪の場合、命に関わる事故につながる恐れもあるため、日頃からサークルやケージの中は安心できる場所だと思ってもらえるようにしておくと良いでしょう。
犬は本来狭い空間を好みますが、サークルやケージでは狭くて心配、どうしても自由にさせたい、という場合は、部屋の一部を柵で仕切り安全な空間だけを自由に移動できるようにしてあげましょう。この方法なら、サークルやケージに慣れていない場合でも負担になりにくいでしょう。
部屋の温度管理を徹底する
季節に合わせてエアコンなどを使って快適な室温にしてあげることも大切です。特に暑くなる季節は、室内にいても熱中症に注意が必要です。
室内であっても、高温多湿になれば、熱中症になってしまいます。エアコンやひんやりグッズを使用して温度管理をしてあげましょう。また、停電になってエアコンが止まってしまった場合のことも考えて、開けても大丈夫な窓を開けておく、風通しの良い場所へ避難できるような場所へケージやサークル・柵を設置するなどの対策をしておくと安心です。
さらに、部屋への日の入り方も気にしてあげましょう。朝は日陰でも午後には直射日光が当たり、暑くなりすぎてしまうというケースも考えられます。一日の太陽の動きにも注意して愛犬の居場所を確保しましょう。
飲み水は1か所だけでなく複数用意しておくと、万が一ひっくり返してしまった場合でも安心です。寒い場合もエアコンで温度管理をして、暑くなっても逃げられるスペースを作ってあげたり、ペット用のヒーターや毛布などで暖かく過ごせるようにしてあげましょう。
ヒーターを使用する場合は、万が一コードをかじってしまっても大丈夫なように対策がなされているものを使用することをおすすめします。
ペットカメラや自動給餌器を利用する
愛犬がどのように過ごしているか気になる場合は、ペットカメラを設置するのもおすすめです。外にいてもスマートフォンで愛犬の様子を見ることができるほか、声をかけたり、おやつをあげることができるタイプもあります。
温度センサーつきのタイプもあるため、暑くなる季節は室温を気にしてあげることもできます。暑くなってしまった場合は早く帰宅してあげたり、遠隔操作できるエアコンであれば温度を下げてあげるなど対策をしてあげることができますよね。
カメラのみの場合であれば比較的安価で販売されていますので、愛犬がどんな風に過ごしているか気になる飼い主さんは導入してみてはいかがでしょうか。また、長時間の外出や食事の時間に外出しなくてはならない場合は、自動給餌器を利用するという方法もあります。
犬は空腹の時間が長くなってしまうと、胃液を吐いてしまうことがあります。子犬の場合は低血糖を起こし、最悪の場合命に関わる恐れもあります。その対策として、必要な分量だけ出てくる自動給餌器を使ってみると良いでしょう。一気にたくさんのゴハンが出てしまうと食べ過ぎてしまう可能性もあるため、その点は気を付けてあげましょう。
▼「犬の留守番時間の基本」を知りたい方はこちら
まとめ
今回は、犬に長時間の留守番へのリスクなどをご紹介しました。
群れで暮らしていた犬にとって、ひとりでの留守番は本来苦手です。とはいっても、仕事などで留守番してもらわなくてはいけない場面も多いですよね。そんなときは、愛犬にとって快適な環境を整えてあげることで、ストレスを少しでも軽減させてあげることができます。
また、いきなりの長時間の留守番は、愛犬が不安な気持ちになるだけでなく、事故やケガにつながる恐れもあります。まずは短い時間からトレーニングをすることで慣れてもらうことが大切です。
ただし、12時間を超えてしまう場合は犬への負担も大きいため、ペットホテルや動物病院へ預けるという選択肢も視野にいれることをおすすめします。
留守番をさせる場合は、愛犬も飼い主さんも安心できる生活環境を作ってあげましょう。