犬は留守番を何時間できる?子犬から成犬までの目安や注意点を解説

犬は留守番を何時間できる?子犬から成犬までの目安や注意点を解説

犬はもともと群れで行動する動物であるため、ひとりで過ごすのが苦手。ですから基本的に留守番は得意ではありませんが、少しずつトレーニングをしていけば長時間の留守番もできるようになります。とはいえ、限界があります。この記事では、犬の留守番時間の目安や帰宅後のケアについて解説します。

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記事の監修

山口大学農学部獣医学科卒業。山口県内の複数の動物病院勤務を経て、ふくふく動物病院開業。得意分野は皮膚病です。飼い主さまとペットの笑顔につながる診療を心がけています。

犬はお留守番を何時間できる?

目覚まし時計と退屈そうな犬

犬がどのくらい留守番できるかは犬種、年齢、性格などによって個体差があります。そのため「何時間までなら大丈夫」とは一概には言えません。

とはいえ一応の目安はありますので、ライフステージごとに解説していきます。

<犬がお留守番できる時間の目安>
  • 子犬:3〜5時間 ※短時間から慣らして徐々に延ばしていく
  • 成犬:6〜8時間
  • 老犬:健康なら6~8時間、寝たきりなら2~3時間

子犬の場合(1歳未満)

子犬が留守番できるようになるのは、生後3ヵ月くらいからです。この時期から少しずつ留守番のトレーニングを始めていきます。

子犬にいきなり長時間の留守番をさせてしまうと、分離不安(飼い主がいなくなると大きな不安やストレスを感じて、問題行動や体調不良を起こすこと)になるケースがあります。

そのため留守番のトレーニングはごく短時間からスタートして、少しずつ時間を延ばしていくことが大切です。

子犬期は食事や排泄の回数が多く、またさまざまなしつけやトレーニングを行う大事な時期でもあるため、3〜5時間までが留守番の目安となっています。

生後6ヵ月以上になれば、5時間以上の留守番も徐々に可能になってきます。しかし長時間ひとりぼっちにされることは子犬にとって大きなストレスになるので、6時間以内にとどめたほうがいいでしょう。

成犬の場合(1歳〜7歳)

成犬の留守番は、6〜8時間までが目安です。

留守番のトレーニングをした1歳以上の成犬で、室内でトイレができ、快適に留守番できる環境が整っているのであれば、最長で12時間まで留守番できると言われています。犬の精神面への負担を考え、12時間以上の留守番は避けましょう。

また外でしか排泄できない犬は、長時間の排泄の我慢がストレスになったり、膀胱炎の原因になったりする恐れがあるため、留守番の限界は6時間です。

6時間以上留守番させるのであれば、室内のトイレでも排泄できるようにトレーニングが必要になります。

老犬の場合(7歳以上)

シニア期といっても、介護の必要がない元気なシニア犬もいれば、介護の必要な寝たきりのシニア犬もいます。

前者の場合は、成犬と同程度までの留守番が可能とされています。とはいえ、体調が急変するリスクのある年齢ですので、留守番時間はできるだけ短いほうが望ましいです。

後者は自力で水を飲めないため、長くても2時間が限界でしょう。

犬に長期間留守番をさせたい場合

成犬で留守番の経験があって、室内でも排泄ができるようであれば6時間から12時間までの長時間の留守番が可能です。ただし健康面に不安のある場合は、長時間の留守番は控えてください。

長時間の留守番は、事前にさまざまな準備が必要です。室内にそのままフリーで留守番をさせる場合は、誤飲のないように部屋の整理をするようにしてください。

愛犬が届きそうなところに刺さっている家電のコードはコンセントから抜いておきましょう。テーブルの上に食品やサプリメント、薬などは出しっぱなしにせず愛犬に届かない場所にしまっておいてください。

汚れた場所でトイレをするのを嫌うことがあるので、トイレは複数設置しましょう。家電製品が近くにない場所に、お水を入れたお皿を複数用意してください。

室内でフリーにするのは不安という飼い主さんは、ケージやサークルに入れて留守番をさせるようにしてください。フリーのときと同様に、トイレ・水は複数用意してください。

ケージの場合は、そのまま直接取り付けられてこぼれる心配のないノズル型ボトルタイプがおすすめです。愛犬の体内時計が狂わないよう、太陽の光を感じられるレースカーテンのみにしておくことが理想的です。

ただしレースカーテンは防犯上、外から室内が見えにくいタイプを設置する方がよいでしょう。食事の時間を越えそうな方は、自動給餌器を用意してください。

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犬をお留守番させるときに気をつけたい環境

犬に留守番を任せる場合、押さえておきたい室内環境の注意点があります。知らないで出かけてしまうと思わぬトラブルが起こる可能性もあります。

ここでは犬に留守番させるときに注意したい環境を4つ解説します。

温度と湿度

犬に留守番を任せるとき、室内温度と湿度をエアコンなどで最適に設定しておいてあげましょう。目安は室内温度が20~22度、湿度は40~60%程度です。

特に夏場は室内が蒸し暑くなりがちで、場合によっては脱水や熱中症を起こしてしまう恐れがあります。冷気は下にたまるのでエアコンの設定は25度~26度にしておけば、低い位置で暮らす愛犬にとってはちょうどいいでしょう。

寒くなる冬の季節も愛犬が凍えてしまわないよう、ホットカーペットなどの暖房器具を用意しておくことが大切です。冬場は暖房器具のほかにもブランケットや毛布などで犬自身の体温で温まれるようにもしてください。

また冬場は乾燥しやすいので、濡れたタオルなどを室内に干しておくと湿度が高まります。温度湿度計を用意しておくと、調整しやすいですよ。

ケージ・クレートで留守番させる

できるのであれば外出する際、犬にはケージやクレートの中で留守番させましょう。

ケージやクレート内で留守番させることによりイタズラによるケガや事故の発生を防げます。ケージやクレートでお留守番させるためにも普段から慣れさせておくことが大切です。

また留守番時には、清潔な食器、新鮮なドッグフードと飲み水、掃除したトイレやベッドなどケージ内の環境も整えてあげてください。

犬にとって危険な食べ物は絶対に放置しない

犬に危険な物として、ネギ類など一部食品、飼い主さんの薬・サプリメント、洗剤などが挙げられます。

好奇心旺盛な犬の場合、飼い主さんの留守中に室内を物色し色んなものを口にしてしまうことがあります。万が一、犬にとって危険な物を口にしてしまうと中毒を引き起こすリスクもあります。

留守中は飼い主さんも迅速に対応することが難しいため、事前に危険な物は戸棚に仕舞っておくことを推奨します。

大事な物は仕舞っておこう

ケージやクレートの外で留守番させる場合、壊れやすい大事な物は戸棚などに仕舞っておきましょう。

退屈を紛らわすために犬がイタズラをしてしまい誤って壊してしまうかもしれません。特に分離不安の傾向がある犬は留守中に問題行動を起こしがちです。

貴重品でなくとも、ティッシュを散らかされたり、机の上の物を落とされたりもするため犬がイタズラしそうな場所には対策を施しておくと安心です。

留守番中の愛犬を退屈させない方法

お利口さんな犬でも長時間、飼い主さんが留守になると退屈してしまいます。退屈を紛らわすためにイタズラしてしまう子もいるため、留守中の楽しみを用意してあげることも大切です。

おもちゃ

愛犬が飼い主さんの留守中でも遊べるようおもちゃを用意しておきましょう。この際、用意するおもちゃは犬が誤って飲み込んでしまわない程度の大きさ・材質の物を選びましょう。

犬が留守中おもちゃで遊べるように一人遊びの習慣も身につけさせておくことも重要なポイントです。

ラジオ・テレビ

普段、室内でラジオやテレビを流していることが多い場合は、留守中にも点けておくことで、犬の退屈を紛らわすことが期待できます。

心配性な性格の犬であれば、ラジオやテレビの音で外の騒音が聞こえにくくなり不安感を紛らわせられるかもしれません。

外出前に遊ぶ

外出する前に犬とたくさん遊んであげることも効果的です。事前に疲れさせておくことで留守中に昼寝する時間が長くなりやすくなります。

犬と遊ぶ以外にも散歩に連れていくのもいい運動になり、適度に疲れるためオススメです。

お留守番が上手になる犬のしつけ方

犬が大人しくお留守番してくれるか心配な方は、日頃からしつけておくことをオススメします。ここでは留守番時に重要なトイレとクレートのしつけ方法を紹介します。

トイレトレーニング

トイレトレーニングの方法は様々ですが、基本的には犬の排泄タイミングを把握、そわそわし始めたらトイレに誘導し、上手にできたら褒めてあげることの繰り返しになります。

トイレトレーニングの際、「ワンツーワンツー」「トイレトイレ」などのコマンド(かけ声)も併せて行うことで、犬をトイレに誘導しやすくなります。

留守中にクレート(ケージ)内に入れておく予定であれば、クレート(ケージ)内にてトイレトレーニングを行うようにしましょう。

クレートトレーニング

普段からクレート(ケージ)トレーニングを行っておくことは、留守中の事故を防ぐのに役立ちます。クレート(ケージ)の中が快適であると覚えさせすれば、犬もストレスなく留守番できるようになります。

はじめは愛犬が好きなご飯やおやつ、おもちゃなどを入れ、興味を持つようにし、少しずつクレート(ケージ)に慣れさせていきます。慌てず少しずつクレート(ケージ)で過ごす時間を伸ばしていってあげることがポイントです。

帰宅後のケアの仕方は?

ボールで遊ぶ女性とラブラドール・レトリーバー

飼い主さんが帰宅すると、吠えたり飛びついたりしてお出迎えする犬は多いです。飼い主さんが帰ってきたことが嬉しくて、興奮してしまうのです。

飼い主さんも熱烈な歓迎ぶりが嬉しくて、撫でたり声をかけたりしたくなるでしょう。でも興奮状態の犬に構ってしまうと、犬の興奮を助長してしまうことになります。

喜びの興奮であっても、過度な興奮はストレスになったり、制御不能になったりするので注意が必要です。

では、どうしたらいいのでしょうか?

帰宅後、愛犬が興奮している場合は相手にしないようにして、まず手洗いやうがい、着替えなどを済ませてしまいましょう。そして愛犬が落ち着いたらたっぷりコミュニケーションやスキンシップを取って、留守番の労をねぎらってあげましょう。

その時はスマホやテレビを見ながらではなく、しっかり愛犬と向き合うことが大切です。おもちゃで遊んだり散歩へ行ったりするのもいいですし、ゆっくりとマッサージやブラッシングなどをしてもいいでしょう。

まとめ

寂しそうに窓の外を眺めるビーグル

犬は基本的に留守番が得意ではありませんが、一緒に生活していく上で留守番を避けることはできません。そのため、少しずつ留守番のトレーニングをしていくことになります。長時間の留守番に慣れても限界はあるので、それを超えないようにしましょう。

もし限界以上の留守番をさせなくてはならない場合は、ペットシッターに依頼したり、知人や家族、ペットホテルなどに預けたりする必要があります。

たとえ上手に留守番できる犬でも、大好きな飼い主さんと離れる時間は不安で寂しいはずですので、帰宅後のケアを忘れないようにしましょう。そのケアは、愛犬が落ち着いた状態で行うことが大切です。

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