犬にとってのお留守番とは
お留守番とは、飼い主が不在になっても待つことをいいます。24時間、常に犬と過ごすということはできないので、飼い主が不在になるという状況は必ず起きます。一人暮らしや共働きのご家庭は、お留守番をさせる機会も多いでしょう。12時間以上の超長時間のお留守番を経験したことがある犬も、実は多いのです。
ここでは、超長時間のお留守番をすることで生むリスクをご紹介します。
リスク①ストレスにより、分離不安になる
飼い主がいないことで、強い不安や恐怖を感じ、家具やオモチャを破壊したり、延々と吠え続けたりするなどの問題行動をすることがあります。これは「分離不安」といわれるもので、過度なストレスを抱えている証拠です。また深刻な近所トラブルになりかねないので、お留守番ができるよう早急にしつけなければなりません。
分離不安の犬には、特徴的な行動があらわれます。飼い主のあとをどこでも付いていく、常に一緒にいたがる、一緒に寝たがる、抱っこやナデナデをせがむ、など。
分離不安だと断定できるのは、飼い主と離れたときに示す行動で判断します。よくみられるのは、吠え続ける、粗相をする、周りのものを破壊する、パンティング(ハアハアと息をする)が増える、などです。
飼い主がいなくなって10分以内にこれらの行動を示し、疲れるまで延々とし続けます。分離不安がさらに進行すると、下痢や嘔吐、食欲不振などを引き起こす可能性があります。
超長時間のお留守番は、分離不安を引き起こす一つの要因となります。例えば、
- 飼い主がもう帰ってこないのではないか?と強い不安に襲われる
- お留守番中に怖い思いをした(雷や地震、大きな音など)
- 寂しさを埋めるため、問題行動を示すことで飼い主を求める
分離不安についてご紹介しましたが、分離不安の行動を示さない犬も、もちろん飼い主と離れている寂しさやストレスを十分に感じています。
リスク②トイレを我慢し、体調を崩す
飼い主がいない間、トイレを我慢してしまう子もいます。例えば、散歩のときにトイレをする習慣がある子や、不安な気持ちが増幅して我慢しているのかもしれません。
犬は年齢によって、おしっこをする間隔が異なります。
- 10週齢未満:1時間
- 10~12週齢:2時間
- 3か月齢:3時間
- 4か月齢:4時間
- 5か月齢:5時間
- 6ヵ月齢以上:6時間以上
上記で分かる通り、子犬に長時間のお留守番は好ましくありません。また子犬は社会化期という大切な期間があり、この時期は親犬や兄弟犬、もしくは飼い主さんと過ごすことが重要となります。トイレを3時間ほど我慢できる3か月齢のころから、少しずつお留守番に慣らしていきましょう。
超長時間のお留守番から帰ってきたら
長いお留守番に耐えて、飼い主さんと再会するとき、犬は大喜びするでしょう。「やっと会えた!嬉しい!」という気持ちが爆発し、顔を舐めたり、飛びついたり、吠えたり、様々な挨拶をしてくれます。
しかし、このときに飼い主さんは気を付けなければならないことがあります。それは、「犬に構うこと」。犬と再会したときにたくさん話しかけたり、撫でたりすると、「顔を舐める、飛びつく、吠える=飼い主さんが喜んでくれる」と学習することで、問題行動を強化してしまう恐れがあり、お留守番以外の時間でも同じような行動をしようとします。
犬と再会するときは、2つのことに注意しましょう。1つは、犬が顔を舐めたり、飛びついたり、吠えたりなどの挨拶をしているときは無視をします。犬のテンションが落ち着いて、大人しくなったタイミングで、「ただいま!」と声をかけて撫でてあげましょう。
また、オヤツをあげるのも同じタイミングです。「マテ」などのコマンドを出すのも良いでしょう。こうすることで、問題行動を強化してしまうことを防ぎつつ、犬の歓喜を消化せずに済みます。
まとめ
長時間のお留守番は、やむを得ないことももちろんあります。
「犬のお留守番は○時間までならOK」と明確に言えませんが、12時間以などの超長時間のお留守番はオススメできません。それは犬が分離不安であろうとなかろうとです。
お留守番をする場合、ケージ内か自由に動ける室内か、どちらがいいかと断言できないのも事実です。ケージのような狭い空間に入れた方が、気持ちが落ち着く子もいれば、ケージに閉じ込められたという不快感によって、ストレスが溜まる子もいます。これは犬のお留守番の難しいところで、正直、犬の性格によるものなのかなとも思います。
無理やりな方法ですが、お留守番の方法をいろいろ試すのもいいかもしれません。