犬が留守番中に苦情がくるほど吠えるのはなぜ?
犬は吠える生き物です。そのため理由がなく吠えることは基本的にはありません。警戒や不安など何か訴えたい気持ちを表現するために吠えます。ではなぜ留守中吠えてしまうのか、理由をご紹介します。
飼い主さんがいない不安や寂しさが強い
犬は飼い主さんのことが大好きです。飼い主さんがお出かけすると、このまま帰ってこないのではないか…と強い不安を感じ「どこに行くの?早く帰ってきて!」と吠えて伝えているのです。ワンワン!と吠えるだけでなく、クゥーンと鳴いたり、遠吠えのように長く響くよう鳴くこともあります。
お出かけして最初の数分だけで、だんだんと落ち着くようであれば問題ありませんが、注意すべきは「分離不安症」の場合です。「分離不安症」とは、飼い主さんと離れることへの不安から精神的に不安定になり、そのストレスから問題行動をしてしまうことです。主な症状は
- 下痢、嘔吐
- 自傷行為(尻尾を噛む、炎症が起きるほど前足を舐め続けるなど)
- 何時間も鳴き続ける
- 破壊行動
- トイレじゃない場所での粗相
「分離不安症」は犬の精神的疾患である「不安障害」のひとつなので、上記のような症状が目立つ場合は動物病院に相談しましょう。投薬治療や行動療法もあるので、飼い主さんだけで解決しようと無理をせず、プロに協力してもらうことをおすすめします。
退屈さをまぎらわせている
留守番中することがなければ犬も退屈ですよね。退屈だと余計寂しさを感じてしまうかもしれません。そこで活躍するのがコングなどの「犬用知育玩具」です。オススメはフードやおやつを詰めることができるもの。フードを詰めた知育玩具を出かける前に渡し、愛犬が夢中になっているうちに、さっと出かけるとスムーズに外出できるでしょう。
おやつで満腹になることが心配な場合は、ペースト状のものを塗る、お湯でふやかしたフードを詰めるという方法もあります。留守番以外でも使用して、遊ぶことに慣れさせてから使用しましょう。
外の物音や気配を察知して警戒している
犬は警戒心の強い生き物です。飼い主さんが家にいるときから、窓の外を見て吠える犬も多いのではないでしょうか?留守番中は、テレビの音や生活音がなく静かなため、普段よりも外の物音や気配を敏感に感じ吠えてしまうことがあります。
お出かけするときにも、テレビをつけておく、ラジオや音楽を流しておくなど、無音にならないように工夫しましょう。また、可能であればカーテンを閉めて、外の様子を見れなくするのもオススメです。
犬が留守番中に吠えて苦情がきた時に行うべきしつけ
留守番中の愛犬の様子は見れないため、近所の方から苦情がきて初めて愛犬が吠えていることに気が付く方もいるかと思います。愛犬がうるさくして、近所の方に迷惑をかけているのかも…と思うと、外出するのも憂鬱になってしまいますよね。飼い主さんが安心してお出かけできるよう、留守番トレーニングやしつけ方法をご紹介します。
ケージやクレートを活用して留守番の環境を整える
留守番中は、不安な気持ちや退屈しのぎから、普段はしない行動をとってしまうこともよくあります。ケガや誤飲など、思わぬ事故を防ぐためにもケージやクレートを活用した留守番がおすすめです。ケージを使っていない場合は、柵などを活用して、階段やキッチンなど危険な場所には行けないような留守番スペースを作りましょう。
また、留守番のときだけケージやクレートに入れてしまうと、マイナスなイメージがついてしまいます。飼い主さんが家にいるときから、お気に入りのおもちゃやおやつを置いて、ケージやクレートに慣れさせておきましょう。楽しい場所、落ち着く場所と覚えてもらうことが重要です。
短時間の留守番で成功体験を重ねる
環境を整えることができたら、実際に短時間のお出かけで留守番の練習をしていきましょう。飼い主さんが出かけても、ちゃんと帰ってきてくれることを覚えてもらいます。ここで注意が必要なのが、寂しくて吠えているタイミングで帰宅しないことです。
「吠えたら飼い主さんが戻ってきてくれる」と間違って覚えてしまう可能性と、留守番のイメージが「寂しい」だけになってしまうことを防ぐためです。愛犬があきらめて静かになっているとき、眠っているときの帰宅がベストですよ。
眠い状態をつくろう
愛犬が留守番中に眠ってくれると、静かに過ごしていることに加え、身体も休ませることができるのでとても安心ですよね。留守番中にちょうど眠たくなるように工夫をしましょう。
- 運動する
留守番させる前に、お散歩にいく、ロングリードをつけて思い切り走らせるなどしっかり運動をしておきましょう。難しい場合は、室内でボール遊びや引っ張り遊びなどで発散するのもオススメです。
- 食事をする
運動したあとに、食事を与えましょう。犬も人と同じように運動して満腹になると眠たくなります。また、個体差はありますが午前10時から午後2時ころの時間帯に眠たくなる犬が多いですよ。愛犬のお昼寝のリズムを把握しておくと、お出かけの予定も立てやすくなるでしょう。
お見送り・お出迎えはさりげなく済ませる
お出かけする前に「今から出かけるね。いい子に待っててね。」など声掛けはせず、さっと出かけることがオススメです。声掛けをしてしまうと愛犬の不安を煽ってしまうため、愛犬が気が付かないうちにいつの間にか出かけている、くらいが理想です。もちろん帰宅後も、過度に褒めたり撫でたりせずいつも通りのスキンシップがベストです。
犬が留守番中に吠える時の苦情対策
留守番トレーニングをしても、そのときの環境や状態によっては吠えてしまう、留守番に慣れるまでに仕事に行かなければいけない…という場合の対策として、近所迷惑にならないようなアイテムや工夫方法をご紹介します。
室内の壁や床に防音シートやパネルを貼る
音を吸収してくれる素材でできた防音シートを壁や床に貼り、家を内側から防音にする方法があります。テープやのりで貼ることができるので、業者に頼むことなく、手軽に防音にすることが可能です。デザイン性に優れた防音シートやパネルもあるので、防音効果と合わせて部屋の模様替えとして楽しむのもいいかもしれません。
防音機能があるケージやケージカバーを使う
犬のケージを防音性が高いものを使う方法もあります。二重構造の厚い壁を使用してあり、音が外に漏れない仕組みです。防音機能があるケージだと、留守番のときだけでなく、夜鳴きがひどく飼い主さんの睡眠を妨げてしまう場合にも有効ですよ。
ただし、防音機能があるケージを使用する場合は、換気ができる作りかどうか必ず確認しましょう。愛犬が呼吸困難や熱中症になるリスクも考えて使用することが大切です。
▼「犬の留守番の困り事・トラブルの基本」を知りたい方はこちら
まとめ
「留守中の犬の無駄吠えを防ぐ」ということは、犬を飼っている人であれば誰しも一度は考えること。犬の鳴き声はどうしても響くので、様々なライフスタイルの人と近所関係を送るうえでの最低限のマナーとなります。
しかし、犬も気持ちがあって吠えています。愛犬も飼い主さんも決して悪いことをしているわけではないので、留守番させることに後ろめたさを感じすぎず、安心してお出かけができるように本記事の対策方法を参考にしていただければ幸いです。