犬の身近に迫る感染症フィラリア症とは?原因から予防法まで

犬の身近に迫る感染症フィラリア症とは?原因から予防法まで

犬のフィラリア症は、犬を飼っている方なら一度は耳にしたことがある感染症だと思います。大変身近でありながら、じつはとても怖い病気。時には愛犬が死亡する可能性もあります。今回は、そんなフィラリアの原因から、注意したい症状や予防法について紹介していきます。

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記事の監修

日本獣医生命科学大学卒業。北海道の大学病院で獣医師として勤務。一般診療をメインに行いながら、大学にて麻酔の研究も並行して行う。「動物と飼い主さんに寄り添った治療」を目標に掲げ、日々診療に励んでいます。

犬のフィラリア症とその原因

犬のフィラリア症とその原因></p>
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<b>犬のフィラリア症</b>とは,フィラリア(犬糸状虫)という寄生虫の一種によって引き起こされる病気のことを言います。
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犬にフィラリア症を引き起こさせるのは,フィラリア(犬糸状虫)です。このフィラリアは最近猫にも感染することが知られています。フィラリアの成虫は大きいもので30㎝にもなり,犬の心臓内で5~6年生き続けると言われています。
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フィラリアに感染した犬は,血液循環が悪くなったり,呼吸が苦しくなったり,肝臓や腎臓にも影響が出ます。そして様々な症状を引き起こすことになるのです。
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最悪、突然死をしてしまうこともあります。
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犬のフィラリア症には主に以下のようなものが挙げられます。放置すると死に至る大変恐ろしい感染症です。
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  • 咳(せき)が出る
  • 呼吸が苦しそうになり息切れをする
  • 元気がなくなり散歩を嫌がる
  • 食欲がなくなる
  • 尿が赤くなる
  • お腹(なか)に水が溜(た)まり膨らんでくる
  • 水を異常に欲しがる
  • 白眼や歯茎に黄疸(おうだん)が見られる
  • 四肢の浮腫(むくみ)
  • 犬がフィラリア症になる過程

    ヒトスジシマカ

    フィラリアに感染した犬などから蚊を媒介してフィラリアに感染します。フィラリアに感染している犬の血液中にはミクロフィラリアと呼ばれるフィラリアの幼虫が存在しています。

    この犬から血とともにミクロフィラリアを吸った蚊の体内で,ミクロフィラリアは脱皮を繰り返して成長し,その後別の犬をその蚊が刺した際,その刺された犬にミクロフィラリアが侵入し感染するのです。

    宿主となる犬の体内に侵入したミクロフィラリアは,犬の体内で成長し,その後犬の主に心臓や肺動脈を好み、そこで成虫となり,宿主である犬に様々な症状を引き起こさせるのです。

    犬のフィラリア症の治療法

    犬を診察する女性

    フィラリアは血液検査によって感染を確認することができます。

    フィラリアに感染していることが分かれば,次のような治療が行われます。フィラリアに感染した犬に駆虫薬を投与し,体内のフィラリアを殺します。

    しかしこの方法は,犬の体内で死んだフィラリアが犬の血管に詰まるという危険性もあります。

    その他の治療には,犬の首の血管から特殊な器具を挿入し,犬の体内からフィラリアを取り出す外科手術を行うという方法もあります。(近年、都市部ではフィラリアに感染する子はほぼ見かけられないため今ではほとんど行われていないのが現状です。)

    これは犬の血管を傷つける危険もあります。もし上記のような治療法に,年齢的な問題などから犬が耐えられないと判断されれば,積極的にフィラリアを駆虫せず,症状を軽くするための対症療法を行う場合もあります。

    犬のフィラリア症の予防法

    薬を与えられる犬

    上記で示した通り,フィラリアの治療にはリスクを伴う場合が多くあります。

    また,一度感染し血管や臓器にダメージを受ければ,たとえ治療しフィラリアを駆虫できたとしても,受けたダメージを完全に治すことはできません。そのためフィラリアの予防をすることは大切なことなのです。

    フィラリアの予防のためにふだんから飼い主にできることがあります。

    • 飼い犬が蚊に刺されないようにする
    • 蚊が繁殖しやすい水がたまるようなものを置かない
    • 住居周辺に蚊が発生しやすい環境を作らないようにする
    • 犬の散歩では蚊が多い茂みなどは極力避けるようにする
    • 屋内で犬を飼う

    しかし,それでも全く蚊に刺されないようにすることは難しいことですよね?そこで最も有効な方法として,フィラリアの予防薬の投与をすることが望ましいのです。

    この予防薬は,犬の中に侵入したミクロフィラリアを成長する前に駆虫してしまうというもので,正しく投与すればフィラリアを100%予防することができます。

    予防薬には幾つかのタイプがあり,錠剤や粉(近年では錠剤が主流),おやつ型で口から入れる服用タイプのものと,注射するタイプのもの,皮膚に滴下するスポットタイプのものとがあります。

    注射の場合は年に1~2回行い,服用タイプとスポットタイプのものは,フィラリアを媒介する蚊が活動し始めて1か月後から,蚊の活動が終わった1か月後までの間に月に1回使用します。

    これらのフィラリアの予防薬は要指示薬で,獣医師でない人から買ったりもらったりせず,獣医師に処方してもらわなければいけない薬です。

    フィラリアの予防薬は既にフィラリアに感染している犬に投与すると,体内にいるフィラリアが薬で死に至り,その死骸が血管に詰まり危険なことになることがあります。

    そのため予防薬の投与前にはフィラリアに感染していないか検査が必要になるのです。

    また予防薬の投与量を決めるためには,犬の体重などから獣医師の判断が必要とされます。

    犬の安全のために獣医師の指示のもとでフィラリアの予防薬を使用するようにしましょう。

    まとめ

    ゴールデンを抱きしめる女の子

    フィラリア症は,感染すれば犬を苦しめる大変恐ろしい感染症です。そして原因となる寄生虫は私たちにとって大変身近なところに存在しています。

    しかし,飼い主が適切に予防をすることによって大切な家族である愛犬をフィラリアから守ることができます。

    正しいフィラリア症の知識を持ち,愛犬を恐ろしい感染症から守ってあげましょう。

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