【獣医師執筆】犬の白内障|原因や症状から治療法まで解説

【獣医師執筆】犬の白内障|原因や症状から治療法まで解説

白内障というと年齢に関係なく、眼球内の構造のひとつである水晶体の変性によって起こります。早期に発見することで、眼球内の他の構造への影響を軽減することが可能でしょう。白内障とはどんな疾患なのでしょうか。愛犬が直面した際に、正しい知識を持つことが大切です。

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記事の提供

麻布大学獣医学部獣医学科卒業後、神奈川県内の動物病院にて勤務。獣医師の電話相談窓口やペットショップの巡回を経て、横浜市に自身の動物病院を開院。開院後、ASC永田の皮膚科塾を修了。皮膚科や小児科、産科分野に興味があり、日々の診療で力を入れさせていただいています。

白内障とは?どんなことが原因で起こる

白内障にかかっている犬の目元

白内障は水晶体と呼ばれる眼球内の構造が変性して白く濁ることによって起こります。

どんな犬でも起こり得る白内障ですが、どんなことが原因で白内障になるのでしょうか。

遺伝的な要因

多くの場合が遺伝的な要因によって白内障を発症します。

そのため、遺伝的な要因が関連している場合、若齢で発症が発覚する場合が多く、特定の犬種では若年性の白内障が起こりやすい傾向があることもわかっています。

先天性で生まれつきや生後数か月で白内障を発症する場合は遺伝的要因が関連している可能性が高いです。

加齢

水晶体のたんぱく質の変性や代謝の低下が加齢とともに起こることが原因で起こります。

加齢性の白内障は、水晶体の白濁が徐々に進行し、視力の低下も徐々に起こります。

中高齢で見られる加齢性の白内障の場合、視力低下を伴わない核硬化症との判別が必要です。

6歳以上で発症することが多いとされています。

背景にある疾患

白内障を起こす原因がある疾患としてよく知られているのが糖尿病です。

糖尿病は水晶体の代謝の変化を引き起こすことにより、白内障の原因となります。

代謝性の変化を引き起こす、低カルシウム血症やクッシング症候群などの疾患でも白内障の原因となり得ます。

他にも、外傷やブドウ膜炎などの水晶体周囲の器官の問題によって白内障につながる場合もあるため注意が必要です。

どんな症状が起こる?

ラグの上で伏せる白内障のシニア犬

白内障であることに飼い主さんはどのようなタイミングで気づくことが多いのでしょうか。

気をつけるべき症状や、白内障の特徴的な症状は以下のようなものになります。

初期は無症状であることが多い

白内障は眼球内の水晶体が徐々に変性し、白く濁る疾患です。

視力の低下を伴うことが知られていますが、初期は無症状であることが多く、症状から発見につながることは少ないです。

水晶体の白濁は徐々に起こるため、水晶体の白濁の有無や程度を観察することが、白内障の早期発見および経過観察につながります。

定期的に健康診断の一環として眼のチェックも行うことが早期発見につながるでしょう。

視力の低下および消失

白内障の進行とともに視力の低下や消失が起こります。

加齢性の白内障の場合、進行がゆっくりである傾向がありますが、先天性や若齢性のものの場合、進行が速いケースもあります。

日常生活の中で、視力の低下とともに見られやすい行動変化として

  • 行動性の低下
  • 暗い場所や暗い時間帯での散歩を嫌がるようになる
  • 壁などの障害物にぶつかる頻度が増える
  • 以前よりも攻撃的になる
  • 警戒心が強くなる

などが挙げられます。

暗い場所などの一定の条件のときにのみ行動変化が見られる場合も、視力の低下が原因となることもあるため、気をつけて観察することが大切です。

ブドウ膜炎など眼球内の水晶体周囲の器官への炎症の波及

白内障の進行とともに、合併症としてブドウ膜炎や網膜剥離など、水晶体以外の器官でも問題が生じる場合があります。

強い痛みや違和感を感じて、愛犬の体に負担がかかる危険性もあるため、充血の程度や涙の量などの変化を観察することが必要です。

また、進行とともに変性した水晶体が液状化や萎縮することが多いです。

白内障であることがわかったら、定期的に進行の程度や眼球内の状態を受診して観察するようにしてください。

治療方法

点眼されている犬

白内障であることがわかった場合、進行を遅らせることや、周囲の眼球内の構造物への影響が広がらないために、治療を行います。

白内障の進行の程度によって、適する治療は異なります。

獣医師の先生と現在の愛犬の眼の状態を確認しながら治療方針を決めることになるでしょう。

外科的治療

濁った水晶体を除去して、人工レンズを挿入します。

麻酔下で行う手術であるため、犬の全身状態によって、麻酔をかけることによるリスクが伴う場合があるでしょう。

また、手術後にブドウ膜炎や網膜剥離など、合併症を起こすリスクがあるということも、手術の選択をする際に知っておかねばなりません。

白内障の進行している程度によって、手術の適応であるかどうかが異なり、白内障のどの段階であるかということを確認して手術を行うかどうかということを検討すると同時に、麻酔や術後の合併症の可能性などを考慮して、獣医師と相談しながら決定することが一般的です。

内科的治療

初期の白内障である場合、進行を遅らせる目的で点眼薬やサプリメントなどを使用して治療を行います。

ただし、この際に治療を行いながら、定期的に白内障の進行している程度や眼球の状態を確認しながら行うことが大切です。

白内障は不可逆な疾患であるため、一度変性が起こった水晶体は元の健康な状態に戻すことはできません。

点眼薬やサプリメントはあくまでも進行抑制が目的です。

また、併せてブドウ膜炎や結膜炎など合併症が起こっている場合は、複数の種類の点眼薬や内服薬を併せて治療を行うことが一般的です。

まとめ

目を獣医師にチェックされている犬

白内障は高齢になって起こるものというイメージがありますが、幼若な時期や若年で発症する場合もあります。

犬は五感で生活しているため、視力のみの低下では大きな障害となりにくいですが、白内障の進行に伴い、視力の低下だけでなく合併症などで愛犬の体に負担をかけてしまう危険性もあります。

早期発見早期治療を心がけ、そのために定期的な健康チェックを行うことをおすすめします。

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