犬の胃拡張とは
犬の胃拡張とは、胃が異常に大きくなり血液が流れにくくなるため、胃に酸素が回らなくなるものです。
犬の胃拡張を起こす前段階となっているケースもあります。拡張した胃が大静脈などを圧迫したり、胃が捻転することで血管がねじれ、腎臓や心臓、脾臓など他の臓器に大きなダメージを与えてしまいます。血流が滞ることで組織が壊死してしまうおそれもあります。
胃拡張・胃捻転を発症しやすい犬
胃拡張や胃捻転は関連性の高い病気で、比較的胸の深い大型犬で見られやすいものです。ただし、空気の飲み込みや過食による胃拡張の場合は、小型犬や若い犬でも発症することがあります。ガスが溜まる胃拡張では高齢犬や老犬に多く発生します。
他にも、遺伝的な要因があったり、メスよりもオスの方が発症しやすいといわれています。
また、胃捻転は夏よりも冬の方が発症率が高い病気です。予防をする意味でも冬は注意しておきましょう。
胃捻転は、その名前の通り胃が時計回りに左背側にねじれてしまうものです。
この状態が続くと胃の入り口と出口が塞がれた状態になってしまいます。胃の中には食事の塊や飲みこんだ空気、胃から分泌される消化酵素の化学反応で発生するガスなどが溜まり、胃が拡張したままとなります。胃の中に溜まったガスや空気が外へ排出されないことで拡張し続け、最悪の場合周囲の臓器を圧迫します。
特に大型犬では、循環器系障害や代謝障害などの症状が伴う急性胃拡張・胃捻転を起こし、非常に危険で早急に病院での治療が必要となります。
また早期に治療を施した場合においても、術後、不整脈などの二次的疾患により命を失うケースが少なくありません。
日頃から胃拡張にならないための予防が重要となります。
犬の胃拡張・胃捻転 注意するポイント
愛犬が美味しそうにごはんを食べて満足そうにしている姿は飼い主としても嬉しいもの。しかし、そんな愛犬が食後、数時間のうちにお腹が膨れ出すことによって急に苦しみだし、最悪の事態に…。これはどのワンコにも現実に起こりうる出来事です。
胃拡張は食後の幸せなひとときに起こる怖い病気なのです。日常生活の中で胃拡張になるリスクが潜んでいないかぜひチェックしてみてください。あなたの愛犬に当てはまる項目はありませんか?
チェックポイント
- 飲食後に散歩や運動をすることがある
- がっつり早食いである
- 多頭飼いでいつも争うようにして食事をする
- 食事の回数は1日1回である
- 食べ方が下手である(空気を一緒に飲みこんでしまうため)
- ガスのたまる食物(穀物、イモ類、発酵食)をよく与えている
- 大型犬である
- 狭いケージの中などに長時間入れることがある
当てはまる項目が1個以上あったワンちゃん!胃拡張・胃捻転は他人事ではないかも!?
犬の胃拡張・胃捻転の症状
主な症状
食後1~4時間以内に、お腹の膨らみ、呼吸が荒い、吐き気、何度も吐こうとする動作を見せる、よだれ、大量に水を飲む、横たわったまま立てなくなるなど。胃拡張、胃捻転どちらの場合も短時間で急激に悪化します。
胃拡張の場合、大量の水を飲みげっぷを繰り返す。嘔吐した吐しゃ物は黄色っぽいもの。胃捻転の場合、えづくが吐けず大量のよだれ。吐しゃ物は茶褐色が多く悪臭。そのままにし、症状が進行すると舌が紫色になり目の粘膜が真っ白になりいわゆるショック症状を起こす。
ここに挙げられている症状だけで判断するのではなく、食後の状態がいつもと違うと気が付いた場合は、極力安静にしながらすぐに動物病院へ向かい診てもらうことが重要です。
犬の胃拡張・胃捻転の治療法
治療の種類
- 輸液と抗生物質の投与
- 口から胃内にチューブを通すか、皮膚の上から胃内に針を刺してガスを抜く
- 外科的治療(胃の整復、壊死した胃壁や脾臓の切除、再発防止処置)
急性の胃拡張・胃捻転では、早期の治療が成功した場合でもその後、問題が起きることも少なくないため死亡率は15~68%となっています。胃拡張、胃捻転どちらの場合も血流を妨げる症状なので、緊急性危険性の高い病気です。
胃捻転の外科手術になると、全身麻酔をかけるリスク、そして輸血が必要になる可能性も高くなります。血流を圧迫したことにより、他の臓器への負担も大きく、循環不全を起こしていることもありえます。早期発見、早期治療がとても重要になります。日頃から食事の後の行動をよく観察しておくことが大事です。
まとめ
胃拡張や胃捻転は、比較的死亡率が高く怖い病気です。
危険度チェックからもお分かりのように注意したいいくつかのポイントがあります。
- 飲水や食事の直後の散歩、激しい運動はさける
- 散歩のあとに食事をさせる
- ガスが溜まりやすい穀類、いも類、発酵食を避ける
- 早い食い傾向のある場合は、食器を変えるなどの工夫
- 多頭飼いによる早食いの場合は1頭ずつケージの中に入れて食事をさせるなど安心して食べられる工夫を
- 犬の首が水平になる高さに食器を設置し空気を飲み込みにくくする
- 1日の食事回数を増やし空腹時間を減らす
- なるべくストレスをかけない
このように、飼い主さんの日常の心掛け次第で予防できる病気でもあります。
知識と日頃からの注意深さを身に付け胃拡張や胃捻転の症状から愛犬を守ってあげましょう。
ユーザーのコメント
40代 女性 こみゃこ
30代 女性 TIKI
30代 女性 Chappy
大型犬、小型犬関係なくどのワンコにもおこりうる病気なんですね。。
死亡率も高いとのことでしたので、普段から気をつけなければいけないと思いました。
私の愛犬は早食いですので、首と同じ高さの食器台にのせたほうが食べやすく、またむせにくいと聞き、早速購入したので様子を見てみたいと思います。
50代以上 女性 ろちゃん
食後にわざわざ運動させたりはしないのですが、気が乗ればいつでもはしゃぎまわれる環境にありますし、かなりの早食いでもあります。
それが、このような怖い病気につながるのであれば、充分に注意してあげないといけないですね。
治療の方法も詳しく説明されていて参考になりました。
30代 女性 ミニー
この記事を読んでみて、食後の散歩の危険性を知り、これからは食後の散歩を控えようかと思います。
20代 女性 もも
胃拡張(胃捻転)の好発犬種は、
・グレートデーン
・ジャーマンシェパード
・セントバーナード
・ドーベルマン
などの大型犬〜超大型犬に多いとされています。
しかし、勤めていた間に胃拡張になった犬種はラブラドールレトリーバー、ゴールデンレトリバー、マルチーズ、ミニチュアダックスフンドなどがいました。
初めて胃拡張を見た時の衝撃は今でも忘れられません。
犬はショック状態で横たわり、お腹が風船のようにパンパンに膨らみます。腹部に針を刺すとプスーッと空気が抜け少量の胃液が出てきます。
発症してから数時間で死亡してしまい、手術による治療を施しても予後は良くありません。
胃に溜まったガスや胃液などの液体の増加や胃の流出障害、食後の運動などが原因で起こります。その他にはストレスや食事や水の急激な摂取によりリスクが高まります。どの犬種でもなる可能性はあり、いかにならないようにするかがとても大切です。
ガツガツとあっという間に急いで早食いをしてしまう子には、早食い防止のため食べづらい食器を用いる、小分けにして食事を与えるなどの配慮が必要です。食後は安静にし、運動は決してさせてはいけません。
きちんと管理をし予防に努めましょう。
女性 雀3号
早食いを防止するため、一日分の食事量を決め、それを朝、昼、夕と分けています。一度に食べさせる量が多いのも良くないかなと思います。空気も一緒に飲みこんでしまうので胃が膨れやすくなってしまいます。
お水を飲むのは、薬の作用で仕方がないのであまり長く飲んでいる場合は一度背中をトントンして止めさせて、それから少し間を開けて飲ませるようにしています。こうすることで水でむせてしまうことも減りました。
あまり必要はないとされていますが、食後に背中を軽くぽんぽんしたり、後ろから前へさするとゲップを出してくれます。
ゲップを出すことが苦手な子は胃拡張になりやすいと聞いていたので、なるべく早めに出してあげるようにしています。
おやつなども、早く次をもらおうとがっついてしまうことが多いので、合言葉のように「ゆっくり」と声を掛けて、極力丸飲みさせないようにしています。
女性 シュナ
うちはお散歩とご飯のタイミングは少し前までばらばらで、飼い主都合でした。ですが、うちの愛犬(犬種:シュナウザー)は規則的な生活を好むようなので、最近はお散歩→人間ご飯→愛犬ご飯のリズムが出来て人間にもいいリズムができました。食事は早食い防止のためにすぐに食べれる形態ではなく、コングのワブラーなど少しずつえさが出る方法をとっています。これは小さいころの早食いから吐いたりむせることがあったための予防策です。胃拡張の症状は知りませんでしたが、日ごろの生活が少しでも予防になっていたようでよかったです。食後の状態など、これからも気をつけていきたいと思います。
50代以上 女性 ちょあ
ミニチュアダックスの13歳です。
朝ごはんを半分しか食べず、その後数分後に空嘔吐が始まり、1時間でお腹がパンパンのカチカチになりました。
吐き気もずーと続き呼吸も荒くヒーヒーと鳴いていたのできっと辛かっただろうと思います。直ぐに病院で診てもらい、普通は麻酔をして喉から小さな管を入れて空気を抜くようですが、うちの子は免疫介在性溶血性貧血という病院にかかっており、麻酔をかけられないので、直接注射器を刺して抜きました。今は落ち着いて寝ていますが、まだ今夜に向けてなる可能性も有るので様子観察をしているところです。
大型犬に多いいと聞きますが、この病院ではダックスや老犬もよく来院するといっていました。
くせになる事もあるようですし、色々調べて対策を取りたいと思っています。
女性 コロ
ご飯を食べ終わったら時間をみて、愛犬を軽く起こし背中をさすったりポンポンと手のひらでそっと叩きます。そうするとゲップを出すのでこれで少しばかり安心しています。
子犬の頃、ゲップが上手く出せずにご飯を丸ごと吐いてしまったこともあるので、今はこれを習慣づけています。
女性 ゴン吉
愛犬が高齢になってからは水やご飯の時にむせやすくなっていたので、ご飯台を少し高くしました。誤嚥も防止できているので、食べる環境も大事だと思います。
女性 織田
うちの愛犬はさつまいもやヨーグルトが好物なので、ガスがたまらないように気を付けています。
30代 女性 のんのの
元々は末期の癌も持っており充分な食事も取れず、強制給餌を行なっていました。
最初の胃拡張は夜中に起こり、寝たきりで体力もないのに何故か唸り声が聞こえ、体をよじらせて苦しんでいました。
何度か嗚咽をして水を吐いたり、よだれが出たり、見るに耐えないくらいです。
嗚咽や嘔吐を何度かした後ガスが抜けたのか、嗚咽がなくなり落ち着きました。
翌朝すぐ病院に連れていきその日は不安で半日入院させてもらいました。
その日から軽い胃拡張は繰り返されその度に抜けて2日位経った後なかなか抜けない胃拡張がまたあり、動物病院で抜いてもらったその日の夜中に他界しました。
とても苦しそうだったので楽になったから良かったのかなぁと思うようにしてます。
そばからいなくなってしまったさみしさはまだ抜けないですが、私と17年間連れ添ってきた愛犬が経験した事がどなたかのお役にたてれば幸いです。
40代 女性 匿名