犬ジステンパーウイルス感染症とは?
犬ジステンパーウイルス感染症とは、全世界に存在する犬ジステンパーウィルスに感染することで発症する病気です。
ジステンパーは伝染性が非常に強く、犬の呼吸器や消化器、神経系に深刻な損傷を与え、特効薬や治療法などもないため、感染していまうと命に関わる恐ろしい病気です。
重症化するかどうかは主に感染した時の健康状態によって左右され、成犬でも50%、そしてまだ体力の弱い仔犬だと80%の確率で命を落とす恐ろしいウィルスです。
ニホンオオカミの絶滅の原因ということでも有名で、中国の施設で飼育されたジャイアントパンダが感染し次々と死んでしまった事もある、恐ろしい感染症の一つです。
犬ジステンパーウイルス感染症の症状
感染して4~6日には元気がなくなり目やにや鼻水、40℃前後の発熱、食欲不振、咳やくしゃみなど、風邪に似た症状がでます。
そこで回復せず1週間を過ぎると更に風邪のような症状は続き、結膜炎や角膜炎、二次感染による嘔吐や下痢が見られて、重度の場合には肺炎を引き起こします。
更に重症化した場合にはウィルスが脳脊髄で炎症を起こして麻痺や痙攣、運動失調などの症状まで進み、網膜剥離や視神経の炎症で失明や化膿性皮膚炎、鼻や肉球の硬くなるハードパッドという症状がみられることもあります。
最悪は命に関わり、病気が快復しても失明や神経症状、歯のエナメル質形成不全が後遺症として残ることがあります。
しかし、事前にワクチンを接種している、体力や免疫力のある多くの犬はジステンパーウィルスと接触しても無症状や軽い呼吸器症状で済むでしょう。
ですが、感染した犬の健康状態で予後が左右され、もし1歳未満の仔犬や、ワクチン未接種で免疫力や体力が低下した高齢や病気療養中、病中病後の犬の場合は重症化しやすく命を落とす危険性もあります。
犬ジステンパーウイルス感染症の原因
感染して犬の鼻水や唾液、目やに、尿や便などに触れてしまう『接触感染』や、犬の咳やくしゃみによってウィルスが空中に飛散して吸い込んでしまう『飛沫感染』があり、特に1歳未満の仔犬やワクチン未接種の犬、高齢や他の病中病後など免疫力が低下している犬が感染しやすく発症することがあります。
ペットショップにいる仔犬は、母親から離れて母乳からの免疫力が低下している頃なのでワクチンによる予防接種がを受けるまでは十分に注意が必要です。
特に、狭い環境にたくさんの子犬が集められているようなペットショップでは、集団感染の恐れもあります。
かかりやすい犬種はいるの?
特に犬種に違いはありませんが、ワクチン未接種の仔犬や免疫力・体力の低下した老犬、病中病後の犬がかかりやすいとされています。
また他にもペットではフェレットの感染が知られており、野生動物ではイタチやキツネ、アライグマなども感染します。
野生動物から犬に感染したという事例もあります。
人間にはうつらないとも言われていますが、麻疹(はしか)への免疫力がない人の場合には念のため注意しましょう。
犬ジステンパーウイルス感染症の予防
犬ジステンパーウィルスはワクチン接種が有効で、特に飼い始めの仔犬の場合は正しい時期と回数のワクチンをしっかり接種することが大切です。
ただしワクチン効果が現れるのに2週間かかります。
仔犬の頃のワクチンが終わってない時期に動物病院やペットショップ、ドッグカフェ、ドッグランなどで感染した犬との接触を避けるようにしましょう。
もし飼い主と他の犬との接触があった場合にも必ず消毒を心がけましょう。
また、病中病後など免疫力の低下している犬がいる場合にも同じように感染した動物との接触がないよう、特に動物病院での待合室などでは小型犬であればキャリーバッグに入れるなどして十分に気を付けましょう。
犬ジステンパーウイルス感染症の治療法
もし感染の疑いがある場合はまず動物病院に電話をし、ワクチン接種の有無と時期を伝えます。
来院してる他の犬への感染を防ぐために、来院時間を指定される可能性もありますので、まずは動物病院に電話で相談しましょう。
家庭で同居犬やフェレットなど他のペットを飼っている場合は、感染している恐れがあるので、同じく受診させましょう。
感染がわかったら必ず病気の犬を隔離し、徹底的に消毒と手洗いをします。
消毒液はハイタ―やブリーチといった塩素系衣類用の漂白剤20ccと水500ccを混ぜてスプレー容器などに入れ、マスクや手袋を使って床やケージなどで拭き、排泄物や残したペットフード、ペットシーツはすぐに破棄します。
ウィルスが体内にある場合は排泄を必ず屋内で行い、公園やお庭の土などではさせないようにしましょう。ジステンパーは空気感染しますので、排泄物の消毒のみでは不十分で完全な消毒が非常に難しい伝染病です。
犬ジステンパーウィルスに有効な治療薬や特効薬は、今現在ないとされています。
そのためウィルスによって免疫力が低下していることによる他のウィルスや細菌などの二次感染、他の動物への接触感染を防ぐために入院・隔離、もしくは他の犬への伝染力が強いために通院治療になり、点滴や抗生物質などの投薬で回復を待つ療法が中心となります。
かからないように予防することが一番重要で、ワクチン接種が予防・治療法として最も有効とされています。
まずは正しいワクチン接種の時期と回数、そしてメリットとデメリットを動物病院とよく話し合って受けるようにしましょう。
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ユーザーのコメント
30代 女性 Irisalice
30代 女性 柚優
30代 女性 リナ
20代 女性 みっき
女性 マキ
40代 女性 ぽち
またとくにジステンパーは死亡率も高いからこそ、ワクチンでの予防が強くすすめられています。
ペットショップやドッグパークなど沢山の犬が集まる場所からの感染が多いと思いますが、どこからでも感染の可能性はあるかと思います。
実際先日散歩をしていたら、すごく咳をしている犬に会いました。
なんだか小さい体で痛々しいくらい咳をしているのです。飼い主さんは普通にこんにちはと声を掛けてくれたのですが、わたしは愛犬に感染したらどうしよう、ケンネルコフやジステンパーだったらどうしよう等ととても怖くなったたのを覚えています。
残念なことですが自分の犬が優先で、他の犬のことを気にしないで外出する飼い主さんもいるのも事実です。
散歩に行った先で「あれ?あの犬咳ばかりしているな」など少しでも異変に気づいたら避けるのが安全だと思います。
そして少し面倒であっても子犬期から老齢期まで、ワクチン接種を定期的におこなうことはとても重要なことです。
大切な愛犬がいつまでも健康でいられるよう、日頃から気を付けてあげたいものですね。
30代 女性 38moto
先日動物病院にかかった時、愛犬が心臓病からくる咳をしてしまいました。ジステンパーや感染症ではなかったのですが、やはり同じ院内にいる飼い主さんは不安に思ったようです。もし自分が逆の立場だったら、あの限られた空間の中での咳は感染症かと疑ってかかってしまったかもしれません。
愛犬がシニアになってからは特に注意をするようになりました。感染することも感染させてしまうこともないように気を付けたいと思います。
女性 ふゆ
ただ、すでに病気で体力が落ちていたり、アレルギー体質のあるワンちゃんは、ワクチンを接種をすると皮膚にアレルギー反応を起こしたり、片足が数日間麻痺をして歩けなくなってしまったり、嘔吐をしたりと体に異常がみられることがあるようです。(私の知っているワンちゃん達がそうでした。)
うちの愛犬が原因不明の体調不良をおこしていたことがあり、病院からワクチン接種を止められていたことがありました。その時にはワクチン接種ではなく、ジステンバーやパラボウイルスに対しての、愛犬の抗体を調べる血液検査を受けました。ワクチンを接種を受けていた子には、ワクチン接種から1年を過ぎても、まだ抗体が残っていることがあるそうです。うちの愛犬もその抗体検査で、ジステンバーに対する抗体がまだ多く残っているとわかり、しばらくはワクチン接種を控えても大丈夫と言われて安心することができました。
体調などで、どうしてもワクチン接種ができないワンちゃんには、抗体検査をしてみるのも良いかもしれません。
女性 Sato
女性 コロ
命を落とす危険のあるウィルスだと知り、今更ながら混合ワクチンをうっておいてよかったと思いました。
愛犬は高齢なのでいつまで混合ワクチンが受けられるかわかりませんが、しっかり管理してあげようと思います。
女性 くるみ
女性 ゴン吉
混合ワクチンは毎年打っていますが、愛犬も高齢なので少しの症状でも悪化しやすいです。日頃から免疫力を上げるようにしておこうと思います。
女性 もふころ
ホームセンターのドッグランなども利用するのですが、こういうところは管理が甘いので、ワクチンが済んでいない子も使用している可能性があります。安全で安心できるところを選んであげなくてはなりませんね。