ハンガリー科学アカデミーによる実験
2014年、ハンガリー科学アカデミーによってある犬に関する実験が行われたことをご存知でしょうか。その実験の主な目的は犬の脳内で起こる反応を見るためです。
この実験ではMRIの中に入った犬に対し、約200種類という多くの人間の声を聴かせたのです。この人間の声は多種多様で、悲しい声や喜びの声など、いろんな感情のこもった声を聴かせる実験となります。
そしてこの約200種類もの人間の声を聴いている犬の脳内をMRIでスキャンし、脳内でどのような反応が起こっているかを確かめるという実験が行われたのです。
実験結果から見る3つの共通点とは?
前述したようなMRIと人間の声を使用した犬に関する実験が行われた結果、人間と犬にはある共通点、そして関係性があることが判明したのです。こちらはBBCテレビがその研究結果を発表したものです。
1.感情を人間と共有
まず1つ目は、犬は人間の持つ感情をしっかり理解し、それを共有しようとしていることが判明したのです!いったいどういうことでしょうか。
例えば私たち人間は、仲の良い友人や家族、恋人が悲しんでいるとき、側に寄り添い、その感情を理解し共有しようとしますよね。それにより励ましたり、元気を出してもらうためにどこかへ連れて行ったり、様々な対応をとる人もいるでしょう。
先ほどご紹介した実験で200種類もの人間の声を犬に聞かせた際、それぞれの人間の声を聞いたときの脳内の反応が人間と同じ反応をしていたことがわかっています。つまり、犬も人間と同じように感情を感情として理解し、共有していることを意味しているのです。
2.飼い主を本当の意味で信頼している
私たち人間は家族や仲の良い友人、あるいは配偶者など、親しい人物に対して信頼する傾向があります。もちろんすべての人にではありません。しかし、仲が深まるうちに相手を頼ったり、信じて助けを求めるという行動をとることがあります。
実は犬も同じです。これには意外性を感じないという方も多いでしょう。しかし科学的に証明されたということは、今までの「きっと信頼されているだろう」という感覚ではなく、本当の意味で信頼されていると確信できるため、飼い主としても嬉しく感じるのではないでしょうか。
これはイエール大学とエモリー大学による実験結果を基に研究結果が発表されたものです。まずイエール大学では、犬が恐怖を感じ取った際、飼い主のところに駆け寄り助けを求める行動が見られると判明しました。これは他の動物には見られない、犬ならではの行動だと発表されています。
またエモリー大学によると、様々な匂いを嗅がせる実験によって、多くの匂いの中でも特に飼い主の匂いを嗅いだときが、脳の中で喜びを司る部分が最も活発化したという研究結果が出ています。これも飼い主を信頼しているからこその愛情表現だとわかります。
3.人間は愛犬を家族として認識している
最後は人間側の実験です。ここまで犬は飼い主のことを信頼しており、尚且つ飼い主の感情を理解し共有しようとしているということが実験によってわかっています。では、人間側はどうなのでしょうか。
実はハンガリーでは、犬だけでなく人間を対象とした実験も行われていました。その実験とは、人間に自分の子どもと自分の愛犬の写真を見せた際、その人の脳内でどのような反応が起こるかを見るという実験内容です。
実験の結果、自分の子どもの写真を目にしたときと、自分の愛犬の写真を目にしたときとでは、同じ反応が起こっていることが判明したのです。これは人間が愛犬のことを自分の子どもと同じように見ているということを意味しています。
長い年月で脳のメカニズムに変化?
これらの共通点は、他のどの動物よりも長く人間と共に暮らしてきた歴史のある犬だからこそ起こった脳のメカニズムが関係していると考えられています。長年、一緒に暮らしてきたため、人間の行動や感情を読み取る能力を取得したのでしょう。
また、元々犬は集団で行動する動物です。そのため、自分が仲間として認識した相手のことを理解し、共に協力して行動しようとする習性が備わっています。これも人間の脳のメカニズムに近付くに、大きな影響を与えたと考えられます。
まとめ
いかがでしたでしょうか。自分の愛犬に当てはめて考えてみると、飼い主である自分の感情を一緒に理解してくれようとしているなんて、とても愛おしく思えますよね!ぜひ日頃から愛犬とスキンシップやコミュニケーションをとり、信頼関係を築いておきましょう。