犬の髭は切っちゃだめ?
猫の髭を切ってしまうと「方向感覚を失ってまっすぐ歩けなくなる」と聞いたことがある方も多いのではないでしょうか。実際に猫にとって髭はとても大切な「器官」の一つです。それでは犬にとってはどうでしょうか?猫と同じ程には犬の髭を切ってはいけないとは聞かないのではないでしょうか。
トリミングのコースにも「髭カット」なんてものが存在するため、犬の髭は切ってもいいと思っている方が多いのではないでしょうか。しかし、犬の髭は大事な役割を果たしている可能性もあります。
今回はそんな「犬の髭」について、その役割を見ていきたいと思います。
犬の髭
犬の髭は主にはマズル(口元)の左右に生えています。よく見ると顎や頬にも生えていることがわかります。また髭は柔らかな体毛と異なり、しっかりとした太さと硬さがあるため、一目で髭だと分かるようになっています。
動物の髭の役割
どの動物も大体が髭を持っています。また、髭の毛根部分には神経が通っているため、髭には自分の顔周辺の状態を感知する機能が備わっています。髭に接する温度や湿度、風向き、周りの状態などを感知することができると言われています。
犬の場合、これらの「感知能力」は随分と退化していると言われていますが、なくなっているわけではありません。犬も固体によってはその感知能力としての役割を持っているものもいるのだそう。
犬の髭の役割
髭には周りの状況を感知する能力があるとお伝えしました。犬によってその能力の差はまちまちですが、次のようなタイミングで髭がその役割を果たすことがあります。
狭い場所や暗い場所を歩くとき
犬はもともと近視で特に静止しているものを見ることが得意ではありません。そのため狭い場所や暗い場所で更に目が見えづらいとき、髭を使って周辺情報を感知します。この時、髭は微妙な空気の流れやその変化を感じることができるのだそう。
この感知能力を使って髭で顔周りの状況を察知することで、狭い場所や暗い場所も怖がらずに進むことができるのです。しかし、髭がなくなってしまうと事前に顔周辺の状況を感知することができないため、歩きにくい場所に入った途端に歩みが遅くなるなんてことがあります。
食べ物を食べるとき
犬は食べ物を食べる際にも髭を使うことがあります。目では見えにくい部分にある食べ物に対して、髭を使ってその回りの情報を感知することで、上手に口へ食べ物を運ぶことができるのだそうです。
藪や草むらの中に入るとき
犬は髭に何かが触れたとき、反射的にまぶたを閉じるといわれています。この機能は藪や草むらの中を歩く際は大切な「目」を守る役割を果たしています。特に狩猟犬などの藪や草むら、森などに入ることが多い犬種については、この役割はなくてはならない機能だったのです。
まとめ
犬によっても髭の役割がどれだけ機能しているのかというのは異なります。本来の機能が残っている場合、犬によっては髭を切られることで大きなストレスや不安を感じる可能性があるのです。特に老犬や視力が低下している犬の場合、特に髭は大事な役割を果たしている可能性があります。
そのため犬の髭は不必要にカットしない方がいいとも言われています。ファッションとして髭をカットする方も多くいますが、この点については賛否両論があるようです。実際には犬は適応能力が高い動物のため、髭を切られたからとって死活問題にはなりません。しかし影響する可能性があることを考えると、あえて切る必要ないのかもしれませんね。
実際に愛犬の髭をよく見てみると、とても太い毛が生えているのが分かります。床に落ちていたりすると、思ってた以上に鋭利で驚いたりもしますよね。こんなに太い毛が抜けて大丈夫なのか…と心配になったりしますが、抜けてもちゃんとまた生えてくるため心配は要りません。よく見るとなんだか愛らしい犬の髭。皆さんも愛犬の髭をよく観察してみてはいかがでしょうか。