犬が言うことを聞いてくれない理由って?
愛犬が言うことを聞いてくれないときに、「もしかしてうちの子、自分の方が上だと思ってる?」と思ったことはありませんか?
飼い主さんがそう思ってしまうのは、「犬が飼い主の言うことを聞かないのは、主従関係が逆転しているから」という考えが広く浸透しているからでしょう。しかし、現在は「犬のしつけに主従関係は必要ない」という考え方も広まってきています。
では、主従関係の逆転を抜きにするとしたら、犬が言うことを聞いてくれないのはどんな理由からなのでしょうか?3つご紹介します。
理由① コミュニケーションがうまく取れていない
愛犬が言うことを聞いてくれないのは、そもそも飼い主さんの意図が愛犬に伝わっていないからかもしれません。そして、飼い主さんの意図が愛犬に伝わらないのは、愛犬とコミュニケーションがうまく取れていないからです。
犬は社会性に富み、コミュニケーション能力に長けた動物です。しかし、コミュニケーションとは意思の疎通ですから、一方的に何かを伝えるだけでは成立しません。相手の意思や気持ちをお互いに理解し合って初めて、コミュニケーションは成立します。
愛犬とコミュニケーションがうまく取れるようになるためには、まずは飼い主さんが愛犬のボディランゲージや表情から今、愛犬はどういう気持ちなのかを理解してあげることが大切です。愛犬の気持ちを理解した上で飼い主さんが愛犬にしてほしい行動を伝えれば、愛犬はそれを理解し、飼い主さんの言うことを聞いてくれるようになるでしょう。
また、うまくコミュニケーションが取れるようになると愛犬との関係が深まり、愛犬にとって飼い主さんは信頼できるかけがえのない存在となります。
理由② 周囲の環境が違う
例えば、お家で「オスワリ」と言うとオスワリができるのに、お散歩の途中で「オスワリ」と言ってもやらないということがあります。そうすると、飼い主さんは「外では言うことを聞いてくれない」と思うかもしれません。
しかし、犬は場所や状況など周囲の環境が変わると、できていたこともできなくなる場合があります。むしろ、できなくて当然なのです。なぜかというと、犬が指示を理解するのは手や言葉の合図からだけではなく、その場の状況なども含めて理解しているからです。
どんな状況でも指示が理解できるようにするためには、お家の中でできるようになったらお家の庭、庭でできるようになったら公園…という具合に、段階を踏みながら環境を変え、繰り返し練習する必要があります。
理由③ 混乱している
愛犬が言うことを聞いてくれない理由として、愛犬が混乱しているということも考えられます。犬は賢い動物ですが、例えば「オスワリ」という言葉の意味を理解してオスワリをするわけではありません。「オスワリ」と言われたときに座ったらほめられたという経験から、「オスワリ」という指示語と「座る」という動作が犬の頭の中で結びついて、オスワリができるようになるのです。
ですから、「オスワリ」と教えていたのに「スワレ」や「シット」と言い換えてしまうと、それらが同じ意味だとは分からない犬は混乱してしてしまい、どうしたらいいのか分からなくなってしまいます。また、「オスワリ!オスワリ!オースーワーリー!」というふうに指示語を連呼するのも混乱する原因になります。愛犬が混乱しないように、ひとつの動作に対して指示語はひとつに統一し、指示語を言うときは愛犬に向かって短くハッキリと1回だけ言うようにしましょう。
まとめ
愛犬が言うことを聞いてくれないと、「主従関係が逆転している」と決めつけてしまいがちですが、ご紹介したような理由が隠れているかもしれません。ですから、愛犬が言うことを聞いてくれないときは、愛犬とコミュニケーションがうまく取れているか、いつもと違った環境ではないか、愛犬が混乱していないかなど、主従関係以外の面にも目を向けてみることが大切です。
暴力でねじ伏せるなど、愛犬の恐怖心を利用して言うことを聞かせるようなことは絶対にしてはいけません。愛犬が言うことを聞いてくれないときは、その理由をさまざまな観点から探り、適切に対処していきましょう。時間はかかるかもしれませんが、きっと愛犬は飼い主さんの言うことを聞いてくれるようになるでしょう。