犬の1日の摂取カロリーとトリーツ
愛犬の肥満予防に気を配ったり、すでにオーバーウェイトになってしまった愛犬のダイエットに励んでいる飼い主さんも多いですね。体重は適正でも、トリーツの原材料が糖尿病などにつながるリスクもあります。
世界小動物獣医師協会では、犬がトリーツから摂取するカロリーは1日に必要とされるエネルギー量の10%以下でなくてはいけないというガイドラインを示しています。
イタリアのパドヴァ大学の研究チームが、市販の犬のトリーツ41種類を調査し、含まれている栄養成分を分析して、トリーツの説明書に表示されている1日の摂取推奨量が獣医師協会のガイドラインにあっているかどうかを検証しました。さて、どんな結果が出たでしょうか?
一般的な犬用トリーツに含まれる栄養成分
研究チームが調査したのは犬用ビスケット5種類、ソフトタイプのトリーツ10種類、干し肉タイプのジャーキー3種類、ローハイド5種類、スティックタイプのジャーキー12種類、デンタルケアトリーツ6種類など合計41種類の犬用トリーツでした。
含まれている栄養成分を分析した結果、ほぼ半分の製品になんらかの形の「糖」が含まれ、すべての製品にさまざまな量のミネラルが含まれていました。
製品の説明書に示されている1日の摂取推奨量の通りに与えた場合、犬用ビスケットでは小型犬〜大型犬まですべてのサイズで1日の必要エネルギー量の16%を占めることがわかりました。
ローハイドでは小型犬の場合は25%、中型犬の場合は18%。スティックタイプのジャーキーもすべてのサイズの犬で1日の必要エネルギー量の10%を超えていました。
表示されている量が1日の必要エネルギー量の10%以下に収まっていたのはデンタルトリーツ類のみでした。
分析結果からわかる問題点
犬用トリーツの半数以上に糖が使われていることから、それらのトリーツのメインのカロリー源は糖分だと考えられます。これはもちろん犬にとって理想的なことではありません。
また説明書の指示通りに与えていても、獣医師協会のガイドラインを超えてしまう製品がとても多いのは明らかに問題です。
犬の食事に市販のドッグフードを使っていて、フードの説明書の通りに与えている場合は、フードの量が1日に必要なエネルギー量の100%になります。ガイドラインに従ってトリーツを与えたいなら、フードの総カロリーから10%分をマイナスしなくてはなりません。
実際にはそこまで細かく計算している飼い主さんは多くないと思いますが、トリーツのカロリーが指示通りの量でもガイドラインを超えていては、細かく計算していてもまだカロリーオーバーということになってしまいます。
またトリーツに鉄やカルシウムその他各種ミネラルが含まれている場合、心臓や腎臓に疾患がある犬では注意が必要です。処方食などで摂取する栄養をコントロールしていても、トリーツがそのバランスを崩してしまう可能性もあります。
日本の犬トリーツはどうだろう?
この調査結果はイタリアで行われたもので、犬用トリーツの栄養表示などもEU基準になっているので、厳密には日本の犬トリーツも同じとは言えません。
けれども、日本で市販されている犬トリーツを見ても砂糖を始め色々な種類の糖が使われているものはとてもたくさんあります。
犬用ボーロや犬用ゼリーなどは人間が食べても甘味が感じられるくらいのものもありますので、こういうものを与える場合はフードの量の調整が必要です。
けれどもトリーツの分だけフードの量を減らした場合は栄養のバランスは悪くなるので、こういうトリーツは本当に特別な場合に少量だけ与えるのが良さそうです。
日本の犬トリーツは健康に気を配って無添加で魚や肉を乾燥させただけのものもたくさんあります。
こういうトリーツは糖の多いものよりも犬の体に優しいと言えますが、たんぱく質やミネラルもしっかりと含まれるので、犬の体調を考慮することとフードの量の調整が必要なことは同様です。
まとめ
イタリアのパドヴァ大学による犬トリーツの調査結果から、多くの製品が説明書通りの給餌量ではカロリーオーバーになることが明らかになりました。同研究チームはより正確なデータを集めるために、今後も犬トリーツの調査を継続する必要があると述べています。
日本でも犬の肥満はしばしば問題になります。トリーツをもらって喜ぶ愛犬を見るのは嬉しいものですが、大切な犬の健康や長生きのためには、少し注意深くなる必要がありそうですね。
《参考》
https://www.sciencedaily.com/releases/2017/12/171220195735.htm
ユーザーのコメント
50代以上 女性 匿名
我が家のトリーツは干し肉で丸々1枚を与えず割って少量のみです。
またトリーツを与えるのもケージ(ハウス)へ入る時だけ_。
後は、ひたすら褒める、褒めるで行ってます(笑)