犬がよもぎを食べちゃった!大丈夫?
よもぎはキク科の多年草で、別名はモチグサや艾葉(がいよう)です。日本に生息しているよもぎは35種類あり、どこにでも生えています。香りや味が良いことから、摘み取って食材にしている方も多い植物ですね。
結論から言ってしまえば、健康な犬がよもぎを食べてしまってもすぐに命に係わるような危険性は低く、大丈夫と言えるでしょう。よもぎは犬用のサプリメントとして販売されていたり、ハーブティーや手作りのよもぎパンなどを与えている飼い主さんも少なくありません。
しかし、よもぎは積極的に与えるべき食材ではなく、とても注意が必要なものであることは意外にも知られていないのではないでしょうか。よもぎはダイエット効果や血行促進、便秘の解消に効果があるとされており、人間にとっては健康食材です。
犬用のサプリメントでもその効果がうたわれていますが、ちょっと待ってください!絶対に与えてはいけない犬がいるだけでなく、緊急を要する危険性が低いというだけで、絶対に大丈夫というわけではありません。
犬がよもぎを食べない方が良い理由
犬がよもぎを食べない方が良い理由は、主に4つあります。よもぎは飼い主さんが積極的に与えなくても、お散歩中に誤って食べてしまう可能性も。ここでは、よもぎを食べない方がいい理由をご紹介します。
アレルギーに注意
よもぎはアレルギーを発症しやすい植物です。食物アレルギーは大きな症状が現われないこともあり、愛犬にアレルギー症状が出ても気づかない飼い主さんも少なくありません。
もし愛犬がよもぎを食べてしまって、体を痒がっていたり、口の周りを痒がる、足を舐める、皮膚が赤くなるなどの症状が現われればよもぎアレルギーの可能性があります。
アレルギーを発症してしまった場合、内服薬による痒みのコントロールと原因物質であるよもぎを食べさせないことが対策となり、犬は人間と違って呼吸器症状が現われないため食物アレルギーで命を落とすことはありませんが、愛犬が痒みによるストレスを抱えることを防ぐためにも、よもぎを食べさせないようにしましょう。
下痢を引き起こす
よもぎを食べてしまった場合の主な症状は下痢です。よもぎにはほうれん草の3倍の食物繊維が含まれており、不溶性食物繊維です。
水溶性食物繊維よりも不溶性食物繊維のほうが便秘の解消に最適で、犬にとっても食物繊維は重要な働きをしてくれるものですが、食物繊維を多く摂り過ぎて下痢になってしまった経験がある飼い主さんもいるのではないでしょうか?
犬がよもぎを食べて下痢になってしまうのは、食物繊維の量が豊富すぎるから。人間と犬では体の作りが違うため、犬には適していない食材なのです。
たかが下痢と思われがちですが、下痢が続くと脱水症状を引き起こしたり、体力の消耗が激しく命に係わることも。よもぎは下痢を引き起こす可能性が高いため、十分に注意してくださいね。
中毒症状を起こすことも
よもぎには、シネオールの成分が多く含まれています。シネオールには殺菌・抗菌効果、痙攣を抑える効果、鎮痛・鎮静効果、鎮咳効果、抗炎症作用、抗ウィルス作用、薬物代謝の促進など、人間にとってはとてもありがたい効果がたくさんありますが、犬にとっては危険な成分です。
シネオールは、植物が病原体や虫などの外敵から身を守るために作り出されている成分です。人間でもシネオールが主成分であるハーブの精油を誤飲すれば、命を落とすこともあると注意が必要なもの。
犬の小さな体にはよもぎの成分が効きすぎて、効果がすべて裏目に出て中毒症状を起こす危険もあります。
特に動物病院からアスピリンを処方されている場合は、薬物代謝の促進の影響が大きいため、絶対に与えてはいけません。
精油やオイルは絶対にNG!
上記でも触れましたが、よもぎは精油として使用すると成分が濃縮されてしまうため、食べたり飲んだりだけでなくオイルとしての使用はとても危険で、健康な犬であっても絶対にNGです。中毒症状を引き起こす可能性が極めて高く、命に係わることにもなりかねないため、注意してください。
犬がよもぎを食べてしまった時にとるべき行動
では、犬がよもぎを食べてしまった時にはどうすればいいのでしょうか?何事もない、アレルギー症状が現われる、少し下痢をしたなどの場合では、様子を見ていても問題はありません。
しかし、1日中下痢が止まらない場合や、突然の嘔吐や激しい下痢、痙攣発作、虚脱や昏睡、口から泡を吹くなどの中毒症状が現われた場合はすぐに動物病院で診察を受けてください。
アレルギーであれば食べてしまってから15分~30分以内に症状が現われ、中毒の場合は数分~4時間以内に症状が現われます。念のため半日くらいは様子を見て、異変があればすぐに動物病院を受診できるように準備しておきましょう。
最後に
よもぎは人間にとって健康食材です。しかし、犬にとっては積極的に与えるべき食材ではありません。犬用のサプリメントやハーブティなども販売されているため、食べさせても大丈夫だろうと勘違いしてしまいがちですが、アレルギーや下痢だけでなく中毒症状を引き起こす可能性のあるものです。
よもぎは山や野原だけでなく、空き地や公園、土手や道端など、あらゆる場所に生えています。お散歩中に草を食べることが好きな犬にとって、何が食べてはいけない草なのかなどはわかりません。誤ってよもぎを口にすることがないように、十分に注意してあげましょう。