タバコは犬にとって危険な物
近年高まる禁煙ブームや、健康意識が高まった事で、昔に比べれば喫煙者の数は減ってきています。
それでも、家族に喫煙者がいたり、換気をしている時に外から煙が入ってきたり、ご自身が喫煙者ではなくてもタバコの煙を見ない日は無いでしょう。中には、タバコを吸いながら犬の散歩をしている人もよく見かける事も・・・
実際に、生活をしていく中でタバコの煙を避けて通ることはできないと思います。
犬にとってタバコは「百害あって一利なし」
タバコの煙には約4000種類の化学物質と約200種類の有害物質、約60種類の発ガン物質が含まれています。
部屋でタバコを吸っている人も多いかと思いますが、タバコの火を消しても副流煙に含まれる有害物質は床に沈着していくため体高の低いペット達は人間よりも影響を受けやすくなります。
犬の身体にタバコの有害物質がつき、犬が身体を舐めてしまうと体内に有害物質が取り込まれてしまい、病気を引き起こす原因にもなります。
タバコと犬の病気
それでは、犬がタバコの煙を吸ってしまうと、どんな病気を発症しやすくなってしまうのでしょうか?
鼻腔ガン
「鼻腔ガン」は鼻の中に腫瘍ができてしまう病気です。特に、マズルの長い犬は鼻腔ガンの発症率が高くなります。症状は苦しそうに呼吸をしたり、膿性の鼻汁がでる、少しの刺激で鼻血がでる、など様々です。
手術での全面切除は難しく完治の難しい部位で、放射線で治療を行います。鼻の腫瘍は肺や脳、口腔内に転移しやすく早期発見が大切です。
肺ガン
「肺ガン」は肺腫瘍は進行が早く気づいた時には末期状態になっていることがほとんどです。特に、マズルの短い犬は肺がんの発症率が高くなります。
症状は、運動後に咳、呼吸が荒い、息切れ、がみられます。治療が難しく再発もありえる病気で末期の場合はとても苦しく、安楽死をすすめられるケースもあります。
発ガン率は1,6倍で発症年齢は「約70%が3歳以下」「約85%が5歳以下」となっています。乳幼児にも害があるように子犬の頃の身体の成長段階での受動喫煙がとくに悪影響になっていることがわかります。
アトピーと脱毛
タバコの煙を吸う事で、アトピーや脱毛リスクが高くなる場合があります。アトピー発症部位は主に皮膚の薄い所に出やすくなります。
- 足の先
- 脇の下
- 耳
- 顔
- お腹
- 足の付け根 など
時期的なものもありますが、愛犬が痒そうにしていたら掻きむしってひどくなってしまう前に病院に行きましょう。
その他の病気
そのほか、にも「気管支炎」や「喘息」、「呼吸器疾患」などの病気の発症リスクが高まったり、
また、血管を収縮させるため血行が悪くなったり、一酸化炭素が血中のヘモグロビンと結びつくことで酸素不足になる場合も有ります。また、タバコの影響で体内のビタミンCが壊れたり、活性酸素が増えるため、結果としてわんちゃんの身体の老化を早めてしまいます。
近年増えているタバコの「誤飲事故」
近年増えているのは、散歩中のタバコの誤飲事故です。タバコのポイ捨て等で道に捨てられた吸いがらを、わんちゃんが誤って食べてしまうケースが増えているそうです。
誤飲時の症状
誤って食べてしまった場合15~45分以内に以下のような中毒症状が出ます。
- 興奮
- 震え
- 聴覚、視覚の幻覚
- よだれをたらす
- 嘔吐
- 下痢
重度になると呼吸困難や血便、血尿をするようになり、量によっては致死量に達してしまいます。
吐き出してしまえば大きな問題に発展することは多くはありませんが、胃を通過し小腸に至ると急激に吸収が進んでしまいます。
誤飲の対処法と注意点
家でできる対処法としては塩を使って吐き出させる方法があります。小さじ1程度の塩をわんちゃんの口に入れ、誤飲したものを吐き出させる方法です。
ただし、緊急時の対応方法なので、出来るだけ早めに動物病院等へ行き、受診するようにしましょう。
また、水を飲むとニコチンが溶けだして吸収しやすくなってしまうため、水の飲みすぎには注意が必要です。
重度の場合は点滴をし入院をすることになってしまいます。吸殻に限らず愛犬が口にしてしまいそうなものはしっかりと管理しておきましょう。
吸殻のたまった水を口にしてしまった場合は、症状が重くなります。もちろん命にかかわることもありますのでくれぐれも煙草の置き場所には注意してください。
まとめ
タバコは犬にとって危険な物です。家に喫煙者がいる場合は、よく換気をしてもらい、別の部屋で吸ってもらったり、換気扇の下で吸ってもらったりして、気を使って貰うことが必要です。
また、空気清浄機もオススメです。最近は高性能でも安く購入できるものも多い様です。またタバコだけでなく、花粉やPM2.5などアレルゲン物質にも対応していますし、ペットを飼っている飼い主さんなら臭いはとくに気になるはずです。
毎日の生活で何が起こるかわかりません。緊急を要する場合の治療や長期にわたり通院が必要になったときに治療費は高くなってしまいます…いざという時のためにペット保険や治療費対策もしておくと安心かもしれません。
愛犬と楽しく健康で生活していくために工夫や管理はしっかりとしていきましょう。