犬は法律上ではどのような扱いなのか
法律上、犬などのペットは「物」として扱われます。
私にとって愛犬たちは家族であり我が子なのに、現在の日本の法律では物として扱われています。とても悲しいなと思いますが、これが現実です。
土地とその定着物である建物のことを「不動産」と言いますが、それ以外のものは全て「動産」とされ、犬などのペットはこの動産として扱われます。
ペットである犬と野良犬の違い
ペットである犬は飼い主の所有物として扱われ、ケガを負わせたり連れ去ったりすると、器物損壊罪や窃盗罪が適用されます。野良犬は自然環境の中に存在する物として扱われます。
つまり、道端に落ちている石や、道端に生えている植物などと同じ扱いであるということです。しかし、野良犬にケガを負わせてしまった場合などには動物愛護法が適用され、ペットである犬と同じ罪が適用されます。
野良犬をペットとして飼うことはできるのか
もし、飼い主のいない野良犬をペットとして飼いたい場合、自然環境の中に存在する物として扱われるため、飼うことに問題はありません。自然環境の中に存在している、蝶やカブトムシや蝉などを飼うことと同じ扱いです。
迷子の犬を飼うことはできるのか
首輪をつけた犬や飼い犬である可能性のある犬が迷子になっていた場合、所有者である飼い主がいる可能性が高いため、遺失物として警察に届け出る必要があります。
警察で預かってもらうことができる期間はとても短いため、飼い主が見つかるまでお世話をするために自宅に連れ帰ることは可能です。民法240条において、半年経っても所有者である飼い主が見つからなかった場合、所有物とすることができるようになります。
狂犬病予防法
これは、犬を飼う全ての人が知っておかなければならない法律です。犬を飼ったことのない人でも知っている法律なのではないでしょうか。
- 1.所有者は地方公共団体に登録する義務を負う
- 2.所有者は犬を取得してから30日以内に都道府県知事に対して登録の申請をしなければならない
- 3.所有者は犬に毎年一回の狂犬病予防注射を行わなければならない
- 4.注射を受けた犬の所有者に交付される注射済票を犬につけなければならない
狂犬病の予防注射は義務であり、注射済票を犬の首輪などにつけることも義務です。もし、怠っている場合には違反とし、3万円以下の罰金が科せられます。
愛犬がトラブルに巻き込まれてしまったら
旅行に行く間、出張に行く間など、愛犬を預けることになり、そこでトラブルが起きてしまった場合はどうなるのか、気になっている方も多いのではないでしょうか。
もし、預けていた先で愛犬がトラブルに巻き込まれてしまった場合、有料の場合も無料の場合も「委託契約」に相当します。有料の場合を有償委託、無料の場合を無性委託と言います。
これは、法律上、犬が物として扱われているからです。
有償委託の場合
愛犬にトラブルが起きてしまった場合、お金をもらった上で預かった人に対して「善良なる管理者の注意義務(民法400条)」が発生します。注意を怠ったために発生してしまったトラブルに関しては、預かった人が責任を負わなければならないというものです。
無償委託の場合
愛犬にトラブルが起きてしまった場合、お金をもらうことなく預かった人に対して、自己の財産における同一の注意義務が発生し、注意を怠ったために発生してしまったトラブルに関しては、預かった人が責任を負わなければなりません。しかし、十分に注意した上で発生してしまったトラブルに関しては、責任を免れます。
動物病院やペットショップの場合
動物病院やペットショップがサービスの一環として無償で預かる場合があります。トリミングをし、お迎えが来るまでの間に預かる等です。このような場合にトラブルが起きてしまった場合には、商法593条において、「商人が営業の範囲内で委託を受けた場合は、善良なる管理者の注意義務を負う」とされ、責任が発生します。
まとめ
犬の暮らしていると必ず何等かのトラブルが発生することがあります。そんなとき、法律を知っておくことで大切な愛犬を守ることができます。愛犬に対してひどい扱いをされたことのある飼い主さんもいらっしゃると思いますが、今の日本では犬は物として扱われています。
また、トラブルが起きた場合、どのように対処するべきなのか、誰に責任があるのかなども知っておくと早期解決できるのではないでしょうか。
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50代以上 女性 リナ