母犬の役割
子犬のそばにいる存在として、真っ先に思い浮かべるのは母犬ではないでしょうか?
母犬は生まれたときからずっとつきっきりで子犬の面倒を見ています。
子犬の体をなめたりしてきれいな状態にしてあげたり、肛門をなめて排泄を促したり、甲斐甲斐しく世話をやきます。
まだ目が見えない子犬はたまにはぐれることがあります。そういった場合にも優しく加えて元いた場所に戻してあげたりします。
それが生後3週間ほど続きます。
そしてその後は父犬や他の犬にまざり群れでの生活が始まります。
最初はいろいろなものに興味をもって近づいたりにおいを嗅いだりするでしょう。また他の犬ににおいを嗅がれたり、後ろをついてまわられたりもします。
疲れたら母犬の体に触れながら昼寝をするでしょう。
生後2ヶ月程になるとすでに兄弟の中で優位性を示す遊びを始めます。
そして時折見せる母犬の遊びのポーズを見てよっていき、母犬とのスキンシップをはかります。
母犬は子犬にとって安心できる場所でもあり、他の犬達と関わるための入り口でもあるのです。
母犬の役割はとても大きいと言えるでしょう。
父犬の役割
子犬は自然と犬らしく成長するわけではなく、兄弟や親と接するなかでいろいろなことを学習していきます。
その際、実は父犬に教わることも沢山あります。
子犬は成長していくと動きが活発になり、兄弟犬とじゃれあったり、先輩犬と遊んだりして自分の感情を表現することを学びます。
子犬が生後8〜12週目の役割
社会性を身につけるために大切な時期である生後8〜12週目には、いろいろなことを学習します。
この時期には戦闘遊戯の回数が増えます。
戦闘遊戯とは追いかけっこだけではなく、勝者と敗者が決まる遊びのことをいいます。
戦闘遊戯を通して本能的な動きに加えて、経験から学習して動きを制御できるようになっていきます。
それまでは父犬は子犬になにをされても怒りませんし、好きなことをさせますが、この時期になると徐々に規律を子犬に教えはじめます。
例えば、食事中に父犬に近づくと威嚇したり、口を軽く噛んだりします。また近づいてはいけない場所に近づいたりした場合に、首根っこを噛んで振り回し、いけないことだと教えたりもします。
子犬ははじめのうちは父犬が見ていない隙に近づいたり、触ったりしようとするので父犬が常に見張っていなくてはなりません。
父犬は一貫性を持って見張るので、徐々にいけないことだと学習していくようになります。
子犬が生後6ヶ月頃の役割
6ヶ月をすぎればほとんど成犬と同じように扱われます。
自分に自信をつけてきた子犬に対して、立場の違いを見せつけ、犬社会の厳しさを教えるのが父犬の役割となります。
しかしこの時期になると、オス同士の付き合いになっていきメスの犬には手を出さなくなっていきます。
オスにはオスの、メスにはメスの付き合いがあって、それを干渉せず群れの中ではオスの順位やメスの順位といったものが出来上がっていきます。
またこの時期に父犬がいない場合は、若い犬の中から群れを支配しようとするものが出てきます。
そしてそこまで差がない他の若い犬に対して過剰に何度も攻撃をしたりするので、そういった思い上がりを直すためにも父犬の存在は欠かせません。
父犬の重要性
父犬は子犬のやりすぎたことをいさめ、群れを統率することに大きな役割を担っています。
群れの中で未熟な存在である子犬に規律を教えて、立派な成犬へと導く役割もしています。
そのため父犬の影響力はとても強く、社会的な動物である犬にとっては重要なものなのです。
父犬が不在の場合は?
子犬にとって父犬というのはとても大きな存在です。
しかしペットの流通の都合で生後2〜3ヶ月で親元から離されてしまったり、父犬とは一緒に暮らしていない、といったケースが増えています。
社会化を身につける時期に集団生活を経験することがなく、また母犬や父犬からの教育を十分に受けられなかった場合、コミュニケーション能力に欠けた犬になってしまい飼い主さんや他の犬と仲良くできなくなることがあります。
飼い主さんが父犬の代わりとなってしつけをすることもできますが、やはり存在としては父犬がいたほうが良いかと思います。
まとめ
父犬は戦闘遊戯の中で子犬に様々なことを教えます。そして徐々に他の犬との距離感やコミュニケーションを覚えていきます。
この時期に父犬の代わりに子犬と一緒にいるであろう飼い主さんは、父犬の行動を参考にして愛犬との絆を強くしていきたいですね。
大切な時期に子犬を迎えた方は、父犬代わりになったつもりで子犬に接してみましょう。
それと同時に母犬の役割でもある安心感を与えられると良いですね。
ひとりで引き取られた子犬にとっては家族は飼い主さんしかいません。
父犬や母犬、家族の役割もできるようにいろんな知識を参考にしていきましょう。
家族みんなで子犬を育てていくつもりでいると良いですね。