入学するまで
私は都内にある専門学校のドッグトレーナーコースに入学しました。
当時私はとある企業で事務をしていましたが、仕事にやらされてる感満載、毎日毎日同じことの繰り返しで仕事は嫌いでした。
元々動物好きでしたので、動物にかかわる仕事がしたいと思っていました。特に私の地元では、いまだに犬に引きずられて散歩していたり、やたらめったら吠えたりしている、いわゆる問題犬がたくさんいましたので、犬と飼い主を繋ぐ仕事ができたらなあと漠然と思っていました。
学校を選ぶにあたって、いくつか体験入学してみましたが、どこもかしこもトレーナーは餌を使って犬に言うことをきかせていました。
これじゃあ躾じゃなくて芸当だなと、トレーナーの仕事に疑問を持ち始めた時に、出会ったのが今の私の先生であり、学校でした。
体験入学で私がアジリティーをやった時の犬は、見ず知らずで素人の私の指示を餌なしで聞いてくれました。ただただそれに驚きと感動を覚え、願書を送ったのです。
入学後:犬の世話
当時どこの専門学校でも、担当犬制度をそこまで明言していませんでした。
私の入学した専門学校は、当時から担当犬制度がありました。
ただし、生き物ですので日曜祝祭日盆暮れ正月犬の世話には関係ありません。
担当犬は一人一頭ですとそれこそ365日朝晩世話で学生には大変だろうということから、数人のグループで一頭というものでした。
グループで話し合い、毎月当番のシフトを決め、コピーして担当の先生に提出します。
それを元に出欠が取られ、飼育管理という単位の評価につながります。
しかし、なかなかにこれが大変でした。
授業が始まる前に犬の世話があります。
朝は7時半に登校していました。そして犬の部屋の掃除をします。
犬は、動物病院にあるような檻に入っておらず、相性や大きさで分けられているだけで、フリースペースにいます。
糞尿を取り、床全面は犬がなめても安全な自然由来の洗剤を使って雑巾がけします。
その合間に、水入れを洗ったり、朝食の準備したり、夜の間に汚れた毛布を洗濯したり、広いスペースに犬を出しているので、事故が起きないように管理したりと当番同士、手分けして作業します。
すべての掃除が終わり、犬に食事を与えたら、記録を付けて授業に入ります。
放課後も当番であれば朝と同じように掃除、洗濯、犬の世話をし、記録をつけて帰ります。帰りは20時に学校を出ることはざらでした。
授業:実技
犬を扱うのに、実技がないといけませんので実技の授業は必要です。
私はドッグトレーナーコースでしたが、シャンプーカットの実技もありましたし、糞便検査などの看護士としても必要な実技もありました。
授業時間がそれぞれのコースに応じて違うという形で、どこのコースにいても、就職するのに困らないようなシステムになっていました。
さて、トレーナーとしての実技ですが餌を使いません。気持ちで犬をコントロールしていくやり方です。
ですので、自分の心が未熟だと犬が言うことを聞いてくれません。犬に指示を教えるというよりも、自己鍛錬の場のような感じでした。ここで、「平常心」ということを学びました。この時に先生に言われたことは、「犬は心の鏡である」ということです。
自分の心が定まっていないと、犬は指示に従いません。とにかく自分の心をコントロールするということが難しかったです。
また、初対面の犬を見て犬同士遊ばせられるかどうかという性質を見抜くということも、遊ばせながら授業で学びました。
それは今お客様の犬同士を遊ばせるにあたって、役に立っています。
座学
実技だけでなく、座学もがっつりありました。
学校の方針として、文武両道が挙げられていましたので、知識もなくてはいけません。実践に基づいたさまざまな知識を学びました。
学外授業
いわゆる研修旅行です。
年に二回学校の犬を連れて二泊三日程度、犬と遊びます。
この時も飼育犬の相性や性格を理解していないと、大事故につながりますので、犬と遊びながら周囲に気を配り、安全に配慮するという勉強になっています。
また、海外研修もあり、動物愛護の先進国であるドイツとイギリスに行きます。
それぞれで愛護団体の施設や、トレーニング施設を視察します。改めて日本が動物愛護に関して、犬のしつけに関して遅れているということが、よくわかりました。
授業であっても、犬の散歩の授業だと車で大きな公園に行ったり、徒歩で向かったりと楽しいこともたくさんでした。
企業研修もあり、最低一週間、ペットショップなどで研修させてもらいます。この時に外の企業での犬の扱いがあまりにひどく、驚くことが多かったです。そういう意味ではこの企業研修は、自分の気に入った研修先を見つけるのには非常に有利です。
その他
他の専門学校では、犬の世話や使った教室の掃除などは先生が行うということを聞いて驚きました。
この仕事に就いて新人は基本的に掃除と電話番が多いからです。
そういった意味では私の行っていた学校は、犬の世話、掃除など学生がすべて行っていましたので、即戦力になる教育だったと思います。
生き物ですので日曜祝祭日盆暮れ正月関係ありませんので、学校は365日開いています。担当犬の世話もそうですが、空き教室を使って自主学習をすることもできます。
学校の担当犬は飼育放棄された犬が多く、学校で躾や人間との信頼関係を結ぶ学習をさせ、新たな里親に譲渡されます。ただし二度と捨てられることのないよう、里親の審査は厳しくなっています。
先生から常に言われていたことは、「犬が先生である(犬から教わることが多いため)」「犬に食べさせてもらうのだから大事に扱う」ということです。
また、開業するにあたっての細かなアドバイスや、バックアップも受けられるので何の心配もなく私も開業できました。
すべてを書ききることはできませんが、私が今こうしてトリマーとして独立していられるのも、ここの専門学校の教えがあったからです。