犬と人をもっとシンプルに繋ごう

犬と人をもっとシンプルに繋ごう

インターネット上では犬のしつけ論や、健康についてのトピックなどが日々更新されており、様々な情報が飛び交っています。そんな中、「何が正解なの?」と思う飼主は多いのではないでしょうか。犬と人はもっとシンプルに暮らすことができると私は考えています。本稿では、私が実践していることを少しだけご紹介します。

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【Healthy Dog Ownership 犬の行動心理カウンセリング ドッグビヘイビアリスト】DBCA認定ドッグビヘイビアリスト・JCSA認定ドッグトレーナー。 JDBA日本ドッグビヘイビアリスト協会理事長。ISAP国際アニマルプロフェッショナル協会正会員(MISAP)。心理学・動物行動学が専門。重度な問題行動のリハビリも行う。
《公式HP》Healthy Dog Ownership

犬の健康に気を配る

笑顔の犬

多くの飼主にとって、愛犬の健康は最大の関心ごとであり、愛犬に元気で長生きしてほしいと願っています。それは私も同じ思いです。犬の一生は我々に比べれば短く、その輝きはあっという間に過ぎ去ってしまいます。我々飼主はこれを素直に受け入れるしかなく、抗うことはできません。

犬に限らず、我々の健康は、健康診断だけでは測ることができません。健康診断の数値はもちろん大切な情報ですが、あくまでもそれは現時点での数値にすぎません。この数値をいかに向上させ、安定させるかは日頃の生活習慣にかかっています。これには遺伝的要因、食べ物、運動量、飼い主との絆、生活環境や生活習慣など、犬が置かれている全ての要因が絡み合います。

犬の心の健康と躾

ハートの柄がついた犬

  • 無駄吠え
  • 散歩の時の引っ張り
  • 興奮が酷い
  • 家具を壊す
  • 排泄ミスをする…

これら飼い主が困る行動を起こすと、犬のしつけについて調べる人も多いのではないでしょうか。でもこれらの行動は、もしかしたら躾の問題ではない可能性もあります。心の健康が害されていると、これらの行動が現れます。

心の健康の維持には、心理的な要因を切っては考えられません。家の中で十分な活動スペースはあるか、毎日の散歩・運動ができているかも重要なトピックです。運動不足や、犬の本来の行動が阻害されていると欲求不満となり、ストレスは高まります。ストレスが高まることは、問題行動が出るだけではなく、多くの病気の原因にもなります。健康を維持させるには、こうした心理や行動面も十分に考慮されるべきです。

以下に、私が実践している心と体の健康のためにしていることを挙げます。

質の良い食事を与える

生食を混ぜた栄養食を与えます。手作り食も含め、個体の体調に合わせた食事を与えます。添加物や、保存料の多いフードは与えません。体臭はなくなり、目ヤニも減り、シャンプーをする必要もほとんどありません。我が家ではシャンプーは年に1〜2回程度です。

運動量を確保する

たとえ雨でも散歩と運動を欠かしません。雨が苦手な個体へは雨を好きになってもらうように慣らします。運動は筋肉を作ります。若うちの筋肉量は健康寿命を伸ばすという研究もあります。どうしても雨に慣れないようなら家の中でのできるノーズワークなどのイベントで発散させます。

家の中での行動の自由を保障する

犬をケージに入れて閉じ込める行為はしません。犬が立ち入り禁止なのはトイレだけです。各々の(中大型犬が5~6頭います)好きな場所でくつろげるように工夫します。もちろん、寝るときも一緒です。

本能行動を保障する

犬が本来持つ行動をできる限り尊重し、制限しないようにします。本能行動を抑制すると犬はストレスを溜めることになるからです。

過保護にしない

過保護にされた犬の多くは大きなストレスを感じるようになります。一見、矛盾するように思うかもしれません。しかし、人間の過剰な愛情は犬の世界には存在しないものであり、極めて不自然です。不自然な状態が長く続くと動物はストレスに対する耐久性を失い、情緒が乱れます。

コミュニケーションをとる

犬は言語を使いません。しかし、非言語での会話をします。その多くは行動で現れます。そして犬は高い学習能力を持っています。この犬の能力を使って、人は行動で会話をしながら話しかけます。犬は行動と言葉を結びつけて言葉を覚えることと、その意味を理解することができます。多くの会話ができる犬は、飼い主との繋がりを感じ、幸福を感じてくれるでしょう。

ここでは、大枠のみ列挙しました。犬の欲求を満たし、コミュニケーションをとることができれば、犬はリラックスし、穏やかになります。もちろん、これらの条件を実施した上で、興奮している犬を構わないようにするなどの習慣も大切です。外でのトレーニング時や、運動をしているときは、しっかりと興奮させてエネルギーを発散させます。

犬の生活習慣に気を配る

散歩中の犬

私のクライアントの中には十分な散歩や運動ができていないケースが多くあります。これが元で犬の問題行動になっていることが多いです。

犬が問題を起こすのは、犬が幸せではない証拠です。鬱憤の溜まった犬は、吠えたり、家具を壊したり、暴れたり粗相をしたりと散々な結果になります。こうした行動がある場合、犬が悪いのではなく、十分な環境や習慣を与えていない飼主に原因があります。

私の家では、散歩は毎日の日課です。朝晩の2回、十分に運動させ欲求を発散させます。排泄も庭や外ですませるようにします。こうすれば、犬は家の中ではリラックスし、排泄ミスをすることもなくなります。散歩に行かない理由はありません。飼主のどんな事情があろうとも、運動不足は犬を爆発させてしまいます。したがって何があっても散歩と運動は欠かせません。老犬の場合では、歳に合わせた運動量を確保し、無理をさせないようにします。

犬との会話を大切にする

目を閉じている犬

ドッグトレーニンで犬を我々人間にとって都合の良い犬に変える必要はありません。お互いに意思の疎通ができれば大方の訓練は必要ないというのが私の考えです。したがって家庭犬を訓練所に預けることはお勧めできません。飼い主と犬とでコミュニケーションが取れて入れば、狭いクレートに閉じ込める必要もありません。物を壊すイタズラに悩む必要もないでしょう。もちろんこれらを満たすには、先述の生活習慣を改善しなければ成り立ちません。

愛犬を尊重し、愛犬にも尊重してもらう。これを確立させるにはコミュニケーションが必要です。コミュニケーションが取れている犬は、孤立することもなく、安心し、我々を信じてくれるようになります。

まとめ

3匹の犬

色々と決め事を書きましたが、シンプルな感じがしないと思った方も多いのではないでしょうか。でも、私が実践しているのは、人間の家族と暮らすのと同じようにしているだけです。ポイントは犬と人の違いを穴埋めするだけです。根底となる概念を押さえておけば、犬はもっと自然に人と暮らすことができます。

「動物を飼う」という意識から「家族と暮らす」に変えることができれば、とてもシンプルに共生できます。ただし、目の前にいるのは犬であり、その欲求は人とは少し違います。犬のニーズを満たしておけば、犬との暮らしはもっとシンプルに、楽に、ハッピーになると私は感じています。

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ユーザーのコメント

  • 投稿者

    女性 匿名

    愛犬は可愛い家族です。尊重しているつもりですが、どう感じているかは計り知れません。
    うちの子は他の犬に興味を持ってもしつこくはなく、吠える事もありませんし友好的です。シニアではありますが、まだまだ元気に歩きます。朝晩の散歩は40分くらいで、後はよく寝ています。刺激がある方が認知症になりにくいと聞きました。お手などのコミュニケーションはしていませんが、散歩でストレス発散させているつもりです。
    穏やかで愛嬌もあり甘えん坊。大切な家族です。
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