ハートのしっぽの「あらすじ」
智の働いているのは、別荘地にあるおじいちゃんの動物病院です。そこに働いている獣医師の柴先生はぶっきらぼうでズバズバもの言う人。受付と看護師の甲斐さんは特に猫好き、動物のことを一番に思っている熱い人。
別荘地でホラー小説家をしている京極さんは、ホラー小説家なのに恐がり。主人公の智は、捨て犬のプードルを引き取り『あやめ』と名づけ育てることとした。智とあやめと動物病院のメンバーが中心となり、様々な出来事と出合う物語です。
この漫画の「見どころ」
多頭飼い 老犬 犬のしつけ 外飼い 虐待 犬のメタボなどの問題。また飼い主の問題や飼われている犬の状況そしてそれを取り巻く環境や動物を飼っていない人がどんな風に思っているかなど現実にありそうな問題を智や獣医師が考え、時には厳しく時には優しくそしてコミカルに表現されています。
ジーンとくるシーンと言葉
『私がここにいることは意味がある。あなたと出会ったことと同じように。』
このチャプターは、智の友達の理奈の犬が年を取り癌になり苦しんでいる。この現実に理奈とその母親悩み考えていく話です。この世に生まれてきたものはいつかは死んでしまう。そしてペットは人間よりかなり短い。そして犬は最後まで心配する生きもの・・・と。
犬を飼うときに、大抵の人はこの事を覚悟して飼うと思います。しかしその時は、家族に迎えた犬の可愛さとあわただしさで、お別れの時まではまだまだ先のことと思って実感ができません。
犬が高齢や病気にになり、できないことが増えたり、失敗があったり、足が弱ってきたり、ご飯を食べなくなったり目に見えて具合が悪くなったときに突然お別れが近くなったような気がして、残された時間が少なくなったことを実感して悲しくも苦しくもなります。
ここでも、大事な家族の犬が癌になり苦しんでいる姿を見て安楽死をさせた方が楽になるのではないか、智に決めてほしい、苦しんでいる姿は見てられないなど大事な家族を失ってしまう恐怖から飼い主の感情で取り乱してしまいます。
智は、犬の気持ちの代弁者として犬の幸せとは何なのかを智なりに友人に伝えます。犬の飼い主なら知っているであろう『犬の十戒』を犬の気持ちとして伝えました。
わたしの最後の旅立ちの時には 側にいてください
「見ているのがつらい」とか「わたしのいないところで逝かせてあげて」なんて決して言わないでほしいのです。
あなたがそばにいてくれれば、わたしはどんなことでも安らかに受け入れられます
そして・・・どうか覚えていてください・・・
わたしが あなたのことを とても愛していたということを。
Remember,I love you
Author Unknown
作者不詳
悲しくて苦しいけれど、最後まで責任を持つということは犬の苦しみにも逃げずに寄り添い、側にいるということです。
作者、掲載雑誌などの情報
ハートのしっぽ 1巻
- 作者 あやせ理子
- 掲載雑誌 週刊女性コミックス
まとめ
この漫画は楽しく読めますが、現実の問題と向き合い考えることができます。犬を飼っている人はもちろん、これから犬を飼おうと思っている人に読んでもらいたいと思います。犬を大切な家族として迎え、最後まで大切な時間として一緒に過ごすことができれば、犬は多くの楽しい思い出を与えてくれ飼い主の人生を豊かにしてくれます。
何年も一緒に暮らしていると、今犬と過ごしていることが当たり前となりありがたみを忘れてしまいがちです。後で後悔をしても取り返しはつかないので、今ある幸せを大切に思い過ごしていきたいものです。