戌の日とは?由来って?
「戌の日」の「戌」という字は、「犬」という字を使っていません。それは、この「戌」という字が、十二支の「戌」を表しているからです。
暦の上では、毎日、十二支のうちの1つがあてはめられていて、「戌の日」以外でも、「午(うま)の日」、「寅の日」、「酉の日」など全ての十二支の日があります。
例えば、「寅の日」。寅は、黄金色に黒の縞々がある姿をしていることから、金運を呼び寄せるので、この「寅の日」に財布を買うと、「出て行ったお金が戻ってくる」と言われています。
そんな風に、全ての日に干支が割り当てられていて、さらに全ての干支にはなんらかの幸運を呼び込む由来も割り当てられているワケです。
つまり、12日に一度は「戌の日」が必ず巡ってくることになります。
「戌」は安産、多産を象徴しているので、「戌の日」に安産祈願をするようになりました。
この風習は、日本独特なものなので、もしかしたら、古来からずっと日本に根付いている犬達は、本当に安産だったのでしょうね。
「戌の日」の行事はどんなモノ?
妊娠5カ月になったら、神社かお寺にお参りに行き、安産祈願をしてもらい、この日からお腹に「腹帯」を巻きます。
「腹帯」というのは、妊娠して大きくなっていく妊婦さんのお腹を支えたり、冷えから守るためにお腹に巻くいわゆる「マタニティ用品」の一つです。昔からの腹帯は、サラシで5m~10mほどの長さがあります。
現代では、下着のお腹部分が補強されたものや、ベルトのように簡単に着脱できるタイプもあります。
「戌の日」の安産祈願は、夫婦だけでお参りして簡素に済ませる人もいれば、夫婦、それぞれの両親揃って神社にお参りし、安産祈願の御祈祷までしてもらう人など、やり方は人や地方によってもさまざまです。
安産祈願で有名な神社など、HPに戌の日を簡単に計算してくれるコンテンツを用意している所もあります。
今よりも医学が発達していない頃のお産は命がけだったことでしょう。
現在でも、初めてお産を迎える妊婦さんにとっては、どのくらい苦しい経験をするか、想像もつかないもの。
少しでも安産でありますように、母子ともに健康で、無事に子どもが生まれますように…と神様や仏様にお願いしたくなるのも当然のことですよね。
仏滅でも、「戌の日」の安産祈願は問題なし!
日本人は、宗教に無頓着な人が多いのに、結婚や出産、引っ越しなどの時、仏滅か、大安かなど気にする人も多いですよね。
「安産祈願なのに、仏滅で大丈夫?」と気にする人がいても不思議ではありません。
でも、ご安心ください。
「仏滅」は、仏教上の考え方で、「仏様が滅する日」と言われて、禁忌とされていますが、
もしも、「戌の日」の安産祈願を神社で行うのであれば、神道では「仏滅」という考え方そのものが存在しないので、全く問題ありません。
海外でも安産祈願できる神社がある!
日本独特の風習「戌の日」。もちろん、日本国内にいれば、たくさんの神社やお寺で御祈祷を受けることが出来ますが、実は海外でも「戌の日」の安産祈願をしてくれる神社があります。
いくつかご紹介しましょう。
アメリカ椿大神社(つばきおおかみやしろ)
三重県鈴鹿市になる椿大神社のアメリカ分社で、猿田彦大神、その妻神であるアマノウズメノミコトをお祀りしている神社です。
カリフォルニア州ストックトン市にあります。
ハワイ出雲大社
日本の島根県出雲市にある出雲大社の分社にあたります。
ハワイ金毘羅宮
香川県にある金毘羅宮の分社です。ハワイ出雲大社同様、移民としてハワイに渡った日本人が建立したお社です。
フランス和光神社
三重県にある水屋神社の分社。ヨーロッパで初めて建てられた神社です。
安産祈願の御祈祷をしてくれるかどうかは確認できませんでしたが、お祀りしている神様の中で安産の御利益がある「神功皇后」をお祀りしていることから、安産にもご利益がああると思います。
フランス・ブルゴーニュ地方に日本の神社があるなんて、なんだかノスタルジックですね。
まとめ
私たち日本人が「戌の日」に安産祈願をするという習わしを、ずっと昔から絶え間なく行ってきたこと、そして「犬が安産で、多産だから」という理由を由来としていること、その二つのことから、私たち人間と犬がとても近くで、親しく暮らしてきたことの証だと思います。また、もし、多産で安産であっても、子供を慈しみ、愛し、しっかりと育て上げる姿を見ていなければ、犬を「安産の守り神」として敬うこともなかったと思います。丈夫な子供を愛情いっぱいに育てる犬の姿をみて、昔の女性たちは、「私たちもこんな風に立派に子供を産んで、育てたい」と願ったのかも知れませんね。
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女性 きのこ