犬用車いす
多くの犬は、シニア期にさしかかると、後ろ足の筋肉から衰えて徐々に踏ん張りが効かなくなり、歩きにくくなって行きます。また、ヘルニアなどの病気で下半身が不自由になってしまったら、歩くのもつらくなり、散歩に行くことも困難になります。
その状態で何も対処せずにいたら、犬の筋力はどんどんと衰え、やがて前足までも筋肉が落ちてきて、だんだんと立つことも難しくなり、ついには寝たきりになってしまいます。
けれど、例え、後ろ足が弱ってしまっても、車いすを正しく使い、後ろ足以外の筋肉を動かすことで全身の筋肉が老化によって低下する速度を遅らせることが出来ます。
また、加齢による筋肉の低下ではなく、ヘルニアや怪我などで、後ろ足が麻痺してしまった犬でも、車いすを装着すれば自由に歩くことが出来ます。
使い慣れれば、走り回ることも出来るようになります。
一匹一匹の体に合わせて作ってくれるメーカーさんもありますし、逆に値段が高いため購入が難しい飼い主さんには、一か月単位の期間を区切って貸し出してくれる会社もあります。
犬用コンタクトレンズ
なんと、犬用のコンタクトレンズを作っているメーカーは、「株式会社メニワン」という会社です。人間用のコンタクトレンズのメーカー、「株式会社メニコン」の子会社だそうです。
「株式会社メニコン」の子会社で、犬用コンタクトレンズを作っている会社の名前が「メニワン」とは…。ちょっと、シャレっけがあって、面白いですよね。
けれど、この「株式会社メニワン」が作っている「犬用コンタクトレンズ」は、人間のコンタクトレンズのように視力を矯正するものではありません。
「犬用コンタクトレンズ」は、角膜炎などの治療中に、犬が自分で目を掻いてしまったり、雑菌が入らないように眼球を保護する目的で装着するものです。
また、白内障の治療のために眼球の中に装着するタイプのコンタクトレンズもあります。
犬用インプラント
歯の場合
人間の歯科は、なるべく自分の歯を治療し、異物である義歯を入れるのは最終手段と考えられているそうです。
けれども、犬や猫の場合、歯科専門の獣医さんはあまり多くいないのが現状ですので、歯槽膿漏や歯肉炎、歯周病が進行して歯や歯茎の状態が悪ければ、ほとんどの場合は抜歯という手段が取られます。
けれども、まだまだ人間の歯科ほどは技術も知識も及ばないとはいえ、少しでも犬や猫の健康の為に役立てようと、歯科を独学で学び、実行している獣医さんもたくさんいらっしゃいます。
噛みあわせが悪く、歯並びが悪かったり、乳歯が抜けないまま永久歯が生えてきて、歯がガタガタに並んでしまったり…と言った場合、歯列矯正しながら、人間の歯の治療のように歯型を取って、入れ歯まで作ってくれるすばらしく高い技術の獣医さんもおられます。
骨接合用インプラント
先天的に股関節に異常のある犬の股関節を、人工の骨に入れ替えたり、骨折した犬の骨を体の中から固定するために使われます。
人間でも、高齢になって膝の軟骨がすり減って歩いたり、座ったりする度に痛んで歩きにくくなって、関節部分に人工の骨を入れ、痛みを緩和し、歩けるようにすると言った治療があります。犬や猫も、その治療法が、動物医療でも生かされています。
犬用補聴器
こちらも、コンタクトレンズ同様、人間の補聴器とは用途も性能も違います。飼い主さんが愛犬の名前を呼ぶ声が、聴覚を失った愛犬に聞こえるようになると言った効果はありません。
人間の補聴器は、音そのものを聞こえやすくするものですが、動物の補聴器は、犬に飼い主やハンドラーが信号を発信し、犬の体に着けた受信機がその信号を受信して振動を犬に伝えるものです。
「一回目の振動があれば、飼い主さんのところへ戻る」
「二回目の振動があれば、おやつが貰える」などのトレーニングをすることで、聴覚を失った犬を呼び戻すことが可能になると言われています。
犬用体温計
若く、健康な犬なら必要ないかも知れませんが、愛犬ちゃんがシニア期や出産を控えているのなら、常に平熱かどうかをチェックするために体温計を準備しておくとよいかも知れません。
体温が高くなっている時は、体の中で病気と闘っている時で逆に体温が低くなっている時は、体が弱っている時なんだとか。
また、出産を間近に控えている犬のこまめな検温は、出産の進行状況をある程度把握することが出来ます。
とはいうものの、犬や猫にとったら、人間の大人のように正確な体温を測るためとはいえ、10分近くも体温計を脇などに挟んでじっとさせているのは酷なことです。
そのために、動物用の体温計には人間用と違って、さまざまな工夫があります。
耳や瞳の奥の熱を感知して測るタイプ
動物の耳の中や、瞳から出る赤外線をセンサーでキャッチし、熱エネルギーに変換して、数値化し、一秒で計測できるタイプです。
人間用と違うのは、センサーカメラがついている部分が長くなっていることと、その先端が人間用よりも細くなっていること。
これは、人間の耳よりももっと奥まで体温計の先端を差し込めるように設計されているためです。
直腸で測るタイプ
低体温だったり、逆に熱中症の疑いなどで、体の奥の体温の計測が必要な時に使います。人間でも同様の使い方をするようです。
このタイプの体温計は、10分ほど実測して正確な体温を表示することも出来るし、ある程度予測ですばやく体温を計測することも出来ます。
動物用の直腸計測用は、人間用よりも先端が長かったり、柔らかく、先端を曲げることが出来ます。
犬猫用血圧計
高血圧がさまざまな疾患を招くのは、人間も動物も同じことです。
体温計同様、動物の血圧を測る時も、動物にストレスがかからないように、なるべく早く計測できるようにいろいろと工夫がされています。
犬用義肢
事故や、先天性の奇形で部分的に足が欠損した場合、人間の義足を作るいくつかのメーカーがペット事業としてペット用の義肢をフルオーダーメイドで作っています。
犬の体の大きさや歩き方など非常に細かいところまでこだわって制作するので、何度も仮の義肢を作って調整をするため、価格も20万近くかかるそうです。
エリザベスウエア
外科手術の術後や、皮膚病の治療中に、犬が患部を舐めないように体を保護するウエアです。
以前から使われているエリザベスカラーに比べると、自由に動けるし、かなり動物が感じるストレスは軽減されるようです。
このグッズは、動物たちのことを一番に考えて開発された、動物医療グッズですよね。
まとめ
今はまだ若くて元気でも、必ず犬は人間よりも先に老いていきます。あるいは、予期せぬ病気で体のどこかが不自由になってしまうこともあるかもしれません。人間の医療同様、動物医療も日進月歩。日々、進化し続けています。それらを日々、勉強されておられる獣医さんや、動物看護士さんの努力には本当に頭が下がります。いつか、愛犬の体の自由が効かなくなってきた時、人間と変わらない医療を受けることが出来る可能性を知っておくだけでも、心強いと思いませんか?
ユーザーのコメント
40代 女性 ポンタ