飼い主の責任は犬を迎える前から
①子犬の健全な発達を守る責任
現在動物愛護管理法によって、生後56日を経過しない犬や猫の販売、販売のための引き渡しは禁止されています。
生後早い段階で母犬や兄弟犬と引き離されてしまうと、発達段階で吠え癖や噛み癖などの問題行動を起こす傾向にあることがわかっています。
もし子犬を迎えることを決めている場合は、心身ともに健康な状態の犬を迎え入れるため、また子犬のためにも、生まれて間もない仔犬を引き取ることはやめましょう。また、必要な情報をきちんと提供してくれる信頼できる業者やブリーダーから迎え入れましょう。
②所有者を明確にする責任
犬を迎え入れたらやらないといけないことに、犬の所有者を明確にすることがあります。
お住まいの市区町村へ届け出をし、犬に鑑札をつけること。また、首輪に鑑札がついていても、首輪が外れてしまっては意味がありません。マイクロチップなどで犬とはぐれてしまったときのための対策を講じましょう。くれぐれも引っ越しをした際には転居先で再度犬の届け出を忘れずに。
③1年に1回狂犬病予防注射を接種させる責任
これは狂犬病予防法によって義務付けられていることです。違反すると罰金刑の対象となります。
④適切なしつけをする責任
興奮しやすい、噛み癖がある、吠え声がうるさいなどは、しつけが行えていないからかもしれません。家庭内でも困るでしょうが、他の人に迷惑になったり危険が及ぶ行為や行動は絶対に直さなくてはいけません。
適切なしつけをいれることも飼い主の責任です。
また、愛犬との散歩中は必ずリードをつけ、他の犬や人間との接触には気を付けましょう。他の犬や、人間に噛み付いたりして怪我をさせてしまった場合は、たとえ相手に落ち度があったとしても飼い主に責任が発生します。
法律上は、怪我をさせた犬の動物占有者に責任が生じ、損害賠償義務を負わねばなりません。ときには治療費以外に慰謝料が発生し、高額な賠償金額になることもあります。
⑤怪我・病気など適切な治療の機会を与える責任
愛犬の健康を守るのは飼い主の責任です。怪我や病気の際には、犬に適切な治療を与えることも責任のひとつです。
最近ではペットの寿命も延び、高齢化するにしたがって病気などで長く闘病する犬が増えました。まだ若い犬でも、いつ必要になるかわからない高額な医療費に備えてペット保険に加入しておくなど、愛犬の将来のために備えておきましょう。
⑥終生飼養の義務
飼い主には、愛犬を最期まで看取る責任が課せられています。
当然ですが、途中で飼育できなくなってしまっても保健所で引き取ってもらうわけにはいきません。
もし、何かイレギュラーな事態に陥り犬を飼えなくなってしまった場合のために、親戚や知り合いに愛犬を託せるよう手配をしてから犬を迎えるべきです。
また、犬は健康であれば15年前後は生きます。その間、収入減になってしまったり、転勤などで引っ越しがあったり、ご自身の健康問題や高齢になってしまうことなど、さまざまなことを想定して、愛犬と安定した生活を送れるか検討してみてください。
⑦愛犬の火葬や埋葬の責任
犬や猫などの火葬、埋葬については自治体によって条例で規制しているところがありますので、念のためお住まいの自治体で調べてみてください。
全国的な法令はありませんが、愛犬の最後はきちんとしてあげたいですよね。
まとめ
人間の子どもはいずれ成長して自立していきますが、犬は死ぬまで子どものようなもので、飼い主は最後まで保護者です。
穏やかに楽しく愛犬との生活を送るためには、経済面だけでなく適切なしつけや、社会のルールにのっとったマナーも重要です。
飼い主の責任は重大なものですが、それ以上に愛犬から与えてもらう幸せも多くあります。これから犬を迎えることを検討している方も、すでに愛犬と生活を送られている方も、愛犬とのよりいっそうの穏やかで幸せな生活のために、いまいちど飼い主の責任について再考してみてはいかがでしょうか。