できものができていたら…考えられること

体表などにできものができていることに気づくと、飼い主さんはがんなのでは…などさまざまな悪い想像がよぎってしまうこともあるのではないでしょうか。
できものにはさまざまなタイプがあり、必ずしも悪性のものばかりではありません。
良性腫瘍
良性の腫瘍の場合、悪性度が低く周りの組織への侵襲をしないことや転移をしないこと、大きくなるスピードがゆっくりであることなどが特徴的です。
脂肪腫や高齢犬に見られる乳頭腫などは良性の腫瘍に分類されます。
大きくなるスピードも遅く、他の組織への害も与えにくいため、必ず外科的切除が必要なわけではありません。
物理的に邪魔になったり、犬に負担を与えてしまう場合は切除が選択肢の一つとなります。
悪性腫瘍(がん)
悪性の腫瘍は体表だけでなく体内の器官にもできる可能性があります。
良性の腫瘍と異なり、転移があることや周囲の組織への侵襲が起こること、大きくなるスピードが速いことなどが特徴として挙げられます。
悪性の腫瘍の場合、速やかな治療を行う必要があり、進行している程度や腫瘍の種類によっては余命が限られてしまうこともあるでしょう。
炎症や感染
腫瘍とは細胞が増殖することによって起こるものですが、できものがすべて腫瘍とは限りません。
膿の溜まっている膿瘍や炎症による腫れ、炎症の結果できる肉芽などさまざまな可能性が考えられます。
脂肪織炎もこの中に含まれます。
炎症や感染によって起こっているものであれば、できものの原因となっている炎症や感染が解消されることによってできものの大きさが小さくなることもあり得ます。
判別のために行うこと

できものを見つけたら、そのできものがどんなものであるかということをまずは判別することが、愛犬の予後に大きく関わります。
悪性のものであれば、どんなものなのかを速やかに判別して治療を行うことが、残された余命の長さに直結する場合もあるでしょう。
できものができたことにショックを受けてパニックになってしまうことも考えられますが、冷静に飼い主さんができることを行うこと、そして専門家であるかかりつけの先生と相談しながら速やかに方向性を決めることがとても大切です。
組織検査
まずはできものが良性なのか、悪性なのか、もしくは炎症や感染によるもので腫瘍ではないのかということを判別させます。
針を刺して腫瘍の細胞を採取して行う検査、麻酔下で切除した腫瘍の組織を使用する検査などがあり、ともに顕微鏡下でスライドグラス上に腫瘍細胞を固定して染色して確認する検査です。
針による腫瘍細胞の採取では、細胞の量が少なく正確さにかける可能性が高いため、精度の高さを求めるのであれば、切除した腫瘍細胞による組織検査が有効とされています。
投薬による反応性の観察
感染や炎症によるできものであることが検査により確定した場合、消炎剤や抗生剤の使用によって、できものが小さくなるかどうかという反応性を見ながら治療の方針をたてることもあります。
大きさが小さくならない場合、外科的な切除が選択肢の一つとして有意義な可能性が高いです。
脂肪組織炎も投薬により小さくなる可能性が高い疾患です。
投薬中の定期的な受診によりかかりつけの先生との相談をしながら方向性を決定することが多いです。
家庭での経過観察
組織を採取するには小さく、発見したばかりであれば、今後の大きさの変化を家庭で経過観察することを提案する場合もあります。
大きくなるスピードや、他の場所にもできものができないか、食欲の有無や元気の有無などの体調変化が見られないか等を総合的に経過観察することになりますが、かかりつけの獣医師との連携は欠かせません。
気になることは気軽に相談できる関係性を築くや、特に気をつけておくべきことなどをあらかじめ教えてもらうなど専門家の意見もきちんと聞くことはとても大切です。
脂肪織炎って何?

脂肪織炎の正式名称は「無菌性結節性皮下脂肪織炎」であり、比較的稀な疾患です。
名前の通り、炎症反応であり、できものとして発見されることが多いですが、腫瘍とは異なります。
自分の脂肪組織に対する免疫反応
脂肪織炎自体は感染や外傷、異物、注射後の反応などさまざまな原因によって起こり得ます。
しかし、今回お話ししている「無菌性結節性皮下脂肪織炎」は無菌性という名前からもわかるように、細菌感染は無関係な炎症です。
免疫を抑える薬の投与により改善されることが多いことから、免疫反応が関係しているとされています。
他にも免疫反応が関係する膵臓疾患や関節炎などと併発する場合もあります。
炎症の一種
名前からもわかるように炎症がおこることによって生じます。
細胞診や組織検査をした際に脂肪組織とともに炎症細胞が確認されることが一般的です。
腫れとともに熱感をもつことや、排膿が見られる場合もあります。
膵炎や関節炎などの併発が見られる場合もあり、その場合は食欲不振などの体調変化が合わせて見られる可能性が考えられるでしょう。
ステロイドなどの消炎剤による治療
基本的に投薬による内科治療による改善が期待できる疾患です。
炎症による疾患であるため、免疫抑制剤やステロイドなどの炎症を抑える効果が期待できる薬を使用することが一般的です。
また、膵炎や関節炎などの疾患を併発する場合は、脂肪織炎の改善のための投薬と併せて、治療を行うケースが多いです。
背景に膵炎の悪化などの免疫を刺激する疾患が原因と考えられる場合、膵炎の治療により全身状態や免疫状態が改善されることで、治療を行わなくても脂肪織炎も改善されることもあるとされています。
まとめ

しこりができていることに気づいた場合、悪いものなのでは…といろいろなことを考えてしまい、パニックになってしまうこともあるでしょう。
しかし、すべてが悪性の腫瘍である可能性は低いです。
冷静に観察をし、適切な検査や治療を行って経過を観察しましょう。
しこりの場合、良性のものであっても悪性のものであっても、様子を見過ぎてしまうことはおすすめできません。
悪性のものであったとしても、早期治療によって負担を軽減することができるでしょう。
また、炎症や感染なのであれば適切な治療を行うことで、しこりをより早く小さくさせることも可能なことが多く、愛犬が感じている違和感などの負担を早期に軽減してあげることが可能です。
まずは気づいたら、観察をしながら、受診をしてかかりつけの先生に相談してみることをおすすめします。



